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宮田大

 今日は、浜離宮朝日ホールで宮田大のチェロ・リサイタルが行われた。
 これはCD第3弾リリース記念コンサートで、ピアノは録音で共演しているジュリアン・ジェルネがパリから駆け付けた。
 プログラムはCDの収録曲がメインを成し、これにドビュッシーのチェロ・ソナタ ニ短調と、ドヴォルザークの「森の静けさ」が加わり、宮田大とジュリアン・ジェルネの息の合ったデュオを存分に披露した。
 実は、以前のブログにも綴ったが、このライナーノーツを担当したため、音源は何度も耳にしていた。それらの作品をナマで聴くことを非常に楽しみにしてホールに出向いたが、やはり、ふたりの呼吸はピタリと合っていた。
 彼らは2011年からの付き合いだそうで、宮田大がジェルネのことを「ベストパートナー」と明言するように、ふたりの作り出す音楽はお互いの信頼と絆が感じられ、本番のステージでは多分に即興性も含んでいた。これが、ナマの演奏を聴く一番の醍醐味だと思う。
 今回の新譜は、「木洩れ日」(N&F)と名付けられている。宮田大がこだわったタイトルであり、CDの帯には「音楽は、日に時に、うつろう木洩れ日のよう。いま見た光、また遭う光―」と記されている。
 フォーレ、グラズノフ、ピアソラ、サン=サーンス、ファリャ、カッチーニ、ブルッフのよく知られた名曲、情感豊かな小品が多彩な光を放っているようだ。
 今日の写真は、終演後のふたり。そしてもう1枚は、木洩れ日のような雰囲気にデザインされたCDのジャケット(10月10日発売)。





 
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posted by 伊熊よし子 at 23:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | クラシックを愛す

新譜の届く時期

 毎月、中旬から下旬にかけて、レコード会社各社から新譜が送られてくる。
 それをひとつずつ選り分け、新譜紹介やレビュー、ニュース、情報などを書くものとして整理していく。
 実は、これがとても時間のかかる仕事なのである。
 もちろん、すぐに聴いてみたいものがあり、整理どころか即座に音出しの状態となる。
 新譜をじっくり聴く時間というのは限られているため、たとえば京都に行く新幹線のなかで聴くということも多い。
 来日記念盤もあり、そういうCDは、コンサート前にいち早く聴いておかなければならない。そして、コンサートに期待がかかるというわけだ。
 今日の夕方、久しぶりにジムにいってからだを動かし、トレーナーのHさんに、「まだこれから仕事ですか?」と聞かれた。
「ええ、新譜がたくさん届いているし、それを聴いて原稿を書かなくてはならないので、夜遅くなると思う」と答えると、あきれたような、困惑したような表情をされた。
「本当は、ストレッチをきちんとしたので、からだを休めるといいんですけどね」
 そりゃあ、もう十分にわかっています。でも、締め切りはそんなに延ばせないし、録音を聴く時間も必要。だから、いつも夜中になってしまうんだよね。
 さて、明日と明後日はインタビューが続く。
 その準備もしないとね。やれやれ、やっぱりストレッチの効果は薄まっちゃうかな…。
 
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posted by 伊熊よし子 at 22:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | クラシックを愛す

マティアス・ゲルネ

[ヤマハWEB「音楽ジャーナリスト&ライターの眼」]2014年7月23日

[アーティストの本音トーク マティアス・ゲルネ ?]


 マティアス・ゲルネはひとつの歌曲をうたうとき、徹底的に作品を研究し、歌詞の内容に寄り添い、ピアニストとの音の融合を図り、旋律と詩との有機的な結びつきを極めていく。
 そこには完璧主義者としての顔がのぞく。それは子ども時代に培われた性格なのだろうか。
「子ども時代はワイマールで過ごしました。とても自由で、いま思い出してみると、独特の空気に包まれていたような感じがします」
 ゲルネはこういって、目を遠くに泳がせるような表情をした。それは自身の思い出をたどっているようにも見えた。
「ごく最近、おもしろいことがあったのです。母が1枚の古い写真を送ってくれたのですが、もうそれを見た途端に爆笑してしまいましたよ。すっかり忘れていたんですが、急にそのときのことが鮮やかに蘇ってきました」
 それはゲルネが3歳のころの写真で、幼稚園のカーニヴァルに参加したときのものだった。その日は、みんなが仮装することになっていた。
「母は私に“何になりたいの“と聞きました。インディアン、カウボーイ、パイロットなどと聞くのですが、私はいやだいやだといったんです。どれも私か着たいコスチュームではありませんでしたから。母は困惑して、”じゃ、いったい何になりたいの“と聞きました。すると私は、はっきり”赤ずきんちゃん!”といったのです。母は驚いて“な?に、本当に赤ずきんちゃんがいいの”と再度聞きました。私はハイと答え、赤ずきんちゃんのコスチュームを着てカーニヴァルに参加したわけです。母が送ってくれたのは、そのときの写真だったんですよ(笑)」
 ゲルネの話を聞いた途端、インタビューに居合わせた全員が大笑いし、しばらく笑いが止まらなかった。ぜひ、その写真を見せてほしいものだ。
 体躯堂々としたゲルネが、幼少時代に「赤ずきんちゃん」に変装したとは、想像を絶する。彼はそんな子ども時代を「独特の空気」ということばで表現したのだろう。
「すごくいい子ども時代だったと思います。私の要望したことがそのまま“いいよ”といわれる環境だったわけですから。子どもというのは、はっきりした希望をもっているため、それが受け入れられることがとても重要になります。私はけっして子どもらしさの芽を摘まれることがなかったのです。そう、折られることがなかった。親が子どもに何かを強制したり、否定したりすることがなかったんです」
 それはライプツィヒで最初に師事した声楽の先生、ハンス=ヨアヒム・バイヤーの教えにも共通していたことだという。
「先生は、お前はダメだとか、個性をいじる人ではありませんでした。何が正しいか、何が正しくないかを教えてくれ、まちがっていることははっきり指摘されました。私は子どものころからとてもわがままな性格で、一度いやだと思ったら絶対に引かない。そんな私を先生はよりよい方向へと導いてくれました」
 そうした子ども時代に培った精神は、いまなお彼の仕事ぶりに現れ、シューベルトの録音シリーズでも大いに発揮されている。
 さらに次なる大きなプロジェクトとして、シューベルトの「冬の旅」を京都賞を受賞した南アフリカの美術家、ウィリアム・ケントリッジの映像とのコラボレーションでうたうという計画も進められている。
 これは6月9日にプレミエが行われ、ウィーン、エクサンプロヴァンス、アムステルダム、パリ、ニューヨーク、ドイツの各都市などで5年間にわたって展開されるプロジェクト。ドイツ・リートの新たな地平を拓くゲルネの挑戦は、ここからまた快進撃が続く。
「このプロジェクト、ぜひ日本でも実現させたいんですけどね」
 目力の強いゲルネの表情が、なお一層強い光を放って見えた。
 



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posted by 伊熊よし子 at 14:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | インタビュー・アーカイヴ
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