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渡邊康雄

 ピアノと指揮の両面で活躍している渡邊康雄が、オーケストラ・アンサンブル金沢を弾き振りして、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番と第5番「皇帝」を演奏することになった(3月17日14:00開演、紀尾井ホール)。
 その話を聞きに、出版社まで出かけた。このインタビューは、次号の「ぶらあぼ」に書くことになっている。
 渡邊さんは、いずれベートーヴェンの5曲のピアノ協奏曲を弾き振りしたいのだそうだ。インタビューでは、ベートーヴェンのコンチェルトに対する熱き胸の内をことばを尽くして話してくれた。
 やはり、ピアニストにとっても指揮者にとっても、ベートーヴェンは偉大であり、生涯ずっと演奏していきたい作曲家であり、夢は尽きないのだと思う。
 ベートーヴェンにまつわる思い出、コンチェルトの各楽章の話、弾き振りの楽しさ、オーケストラとの音の対話、楽譜の読み方まで、非常に興味深い話を聞くことができた。
 今日の写真は、インタビュー中のワンショット。もっと時間があれば、より深いベートーヴェンの話を聞くことができたに違いない。春爛漫の3月のコンサートが楽しみだ。

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posted by 伊熊よし子 at 21:44 | 情報・特急便

ホアキン・アチューカロのショパン

 昨夜のホアキン・アチューカロのリサイタルでは、冒頭のショパン「24の前奏曲」に関し、本人がステージでマイクを握り、「演奏に寄せて」というトークを披露した。
 その内容を紹介してみたい。

 ショパンの「24の前奏曲集」を24個の美しい小さな宝石たちと考える方がいらっしゃるかもしれませんが、私はこの作品を、それらが綿密に連関して崇高な価値を創り出している1つの大きな建造物だと思っております。
 ハ長調―イ短調―ト長調―ホ短調…と、平行短調を間に挟みながら5度ずつ上がっていく調構成で作られたこの美しい建造物において、私が、ショパンの唯一無二の天才性を感じるのは、愛、哀しみ、歓び、憤り、夢、恐怖、郷愁…といった、人間が感じ得るすべての感情が、ここに強烈に刻み込まれているという点であり、また、さらに驚くべきことに、各曲に投影された感情がそれぞれ、前後に連なる曲と大きく隔たりつつも連続していくという見事な構成なのです。
 この作品を、単に24曲の小品の連作集と捉えるのではなく、人間の感情のすべてが刻み付けられた、マーラーの交響曲にも匹敵する巨大な建造物として捉え、曲と曲の間にこそ描かれている感情の移ろいや隔たりにまでじっと耳を澄ませながら、日本のみなさまに、この壮大な旅をご一緒していただければと願っております。
 
 このことば通り、彼のショパンは24曲の全体を俯瞰し、それぞれの曲の個性を生かしながらも、ひとつひとつが有機的なつながりをもって演奏された。
 まさに大きな感情の流れが全編を支配し、最後のニ短調の曲が終わったときには、長い旅路が終わりを告げた感覚に陥った。それを味わうために、またCDを聴き直そうと思っている。
 
 
posted by 伊熊よし子 at 20:56 | クラシックを愛す

ホアキン・アチューカロ

 1936年11月1日にスペイン・バスク州ビルバオに生まれたホアキン・アチューカロ(アチュカロ)が、長年演奏し続けてきたものの、録音を行わなかったショパンの作品集をリリースした(キングインターナショナル)。
「24の前奏曲」からスタートし、次いで「前奏曲嬰ハ短調」「前奏曲変イ長調」「幻想即興曲」「夜想曲第2番」「夜想曲第20番」が登場し、最後は「舟歌」でフィナーレを迎えるという選曲だ。
 冒頭から、あまりにも謙虚で真摯で内省的なショパンに、身も心も引き付けられ、最後まで頭を垂れて聴き入ってしまう。なぜこんなにも胸に響いてくる演奏なのだろうか。
 ルバートが絶妙で、ゆったりしたテンポのショパンに本来の作品の姿を見る思いだ。
 今日は、そのアチューカロのリサイタルが東京文化会館小ホールで行われ、前半がショパンの「24の前奏曲」だった。文化の小ホールの親密的な空間で聴くショパンは、まさに極上の音楽。
 後半は、アチューカロの独壇場のプログラム。「アラウンド・グラナダ」と題され、アルベニス、ファリャ、ドビュッシーが書いたグラナダにまつわる音楽が6曲披露された。
 グラナダを勝手に自分の故郷のように思っている私は、至福のときを味わった。1曲ごとに、グラナダの街並みや曲がりくねった迷路や白壁や輝く陽光を思い出し、心はグラナダへと飛翔していった。
 なんと味わい深い音楽を聴かせるピアニストだろうか。今回はインタビューする機会を逃したが、またすぐに来日予定があるそうなので、次回はぜひ話を聞きたいと思う。
 今日の写真は、プログラムの表紙と、ショパンのジャケット。
 CDにも収録されているが、今日のアンコールの最後に演奏されたショパンの夜想曲第2番は、ショパンの生家ジェラゾヴァヴォーラ村の緑豊かな景観を思い起こす、素朴で清涼な美しさに彩られていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:46 | アーティスト・クローズアップ
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