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小林研一郎

  指揮者の小林研一郎が、4月9日に80歳のお誕生日を迎える。
  これを記念し、4月7日から12日までサントリーホールで5日間に渡り、チャイコフスキーの交響曲全曲チクルスを開催することになった。
  日本フィルハーモニー交響楽団との共演で、ピアノ協奏曲第1番(ソロは上原彩子)、ヴァイオリン協奏曲(ソロは神尾真由子)も加わり、「炎のコバケン」が全身全霊を傾けたチャイコフスキーを披露する。
  先日、このチクルスの記者会見があり、その内容と抱負、チャイコフスキーに対する思いなどを熱く語った。
  その後、個人的なインタビューも行い、さらに詳しくいろんなことを聞くことができた。
  コバケンさんには何度も話を聞いており、15年前にはアーネム・フィルとの録音を行うというので現地取材にも出かけた。
  「いやあ、もう15年になる?  早いねえ。ついこの間のことだと思ったのに…」
  コバケンさんと同様、私もアーネムにひとりで取材に出かけ、前日にはアムステルダムのコンセルトヘボウで演奏を聴き、翌日アーネムに移動して録音を聴いたが、それが15年前とは…。
  コバケンさんと話していると、いつのまにか話題がどこか違う方に飛んでいってしまい、そっちの話がとてもおもしろいため、インタビューの本筋からはるかかなたに離れてしまう。
  でも、80歳になるとは思えぬほどお元気で、いつもながらの熱い口調だ。
 「でもね、私はチャイコフスキーはペシミスティックに演奏したいんです。オーケストラにはそれを要求し、どんなに舞踏のリズムがある箇所もおだやかな旋律も、ペシミスティックにもっていくわけ。チャイコフスキーはそういう作曲家ですから」
  彼はオーケストラに非常に丁寧なことばで指示を与え、けっして威圧的な物言いはしない。だが、オケのメンバーによると、「真綿で首を絞められるように、じわじわ要求が迫ってきて、最後はマエストロのいう方向性に完全にもっていかれてしまう」のだそうだ。
  このインタビューは、「東京新聞」の連載コラムに書く予定になっている。
  今日の写真は記者会見のときと、数日後にインタビューをしたときのもの。

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posted by 伊熊よし子 at 22:16 | 情報・特急便

イーヴォ・ポゴレリチ

  イーヴォ・ポゴレリチにインタビューするのは、本当に久しぶりである。
  以前は来日のたびに話を聞いていたが、最近は機会がなく、先日久しぶりに会うことができた。
  彼は長年ドイツ・グラモフォンで録音をしていたが、ソニーに移籍し、昨年8月21日にソニー・クラシカルからのデビュー・アルバムをリリースした。
  曲目はラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番、第24番という組み合わせである。
  今回のインタビューはその新譜の話を中心に、近況など幅広く聞いた。
  ポゴレリチは、一見すると非常にインタビューしにくいアーティストのように思える。気難しく、どんな質問を好むのか理解しにくいからである。
  しかし、長年に渡って彼に話を聞いてきたため、ごく自然に話に入ることができた。
  このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定にしている。
  ポゴレリチは、あるときからとてもリラックスした雰囲気をただよわせるようになった。もちろん、最初に来日したころはピリピリしていて、あまり雄弁ではなく、インタビューの部屋の空気は張り詰めたものだった。
  ところが、あるときからジョークをいうようになり、よく笑い、こちらの反応を見て話の方向性を幾重にも変えていくようになった。
  今回も、新たな話題が突然飛び出したり、これまで耳にしたことのないような内容を話し出したり、実に興味深いインタビューとなった。そのすべてを記事に反映させたいと思っている。
  なお、2月16日にはサントリーホールでリサイタルが予定されている。
  今日の写真は、インタビュー後のワンショット。この日はとても寒い日で、ポゴレリチはホテルのなかでも真っ赤なニット帽をかぶっていた。さすがに、写真を撮るときは外していたが…。

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posted by 伊熊よし子 at 21:55 | アーティスト・クローズアップ

ジャン・チャクムル

  ようやく、ほぼ1カ月に渡る「音楽の友」の「若手ピアニスト特集」の取材、インタビュー、入稿がすべて終了した。
  一番最後のインタビューは、ジャン・チャクムルだ。
  彼は1997年トルコ・アンカラ生まれのピアニストで、2018年の浜松国際ピアノコンクールの優勝者である。
  その演奏は柔軟性に富む美音が特徴で、けっして力で押す攻撃的なピアニズムではない。昨夜は、Hakuju Hallでコンクール優勝記念コンサートが行われ、演奏を聴きに行ってきた。
  チャクムルはプログラムにこだわりをもつタイプで、この日はスカルラッティのソナタ4曲からスタート。その第1曲目が、スコット・ロスがこよなく愛したK208。私も大好きなソナタで、これを聴いただけで、もう存分に幸せな気分になった。
  次いでワイマール音楽大学の友人であるエリック・ドメネクの「ピアノのための短編小説」より第4曲「かくれんぼ」が奏され、メインのプログラム、シューベルト/リスト編「白鳥の歌」全曲に移った。
  チャクムルは、こうしたトランスクリプションが好きなようだ。インタビューでは、リストが大好きだと語っていたが、その編曲による「白鳥の歌」は、ピアノ1台でドイツ・リートのこまやかさまで表現。とりわけ、最後の「鳩の便り」が印象深く、ヘルマン・プライのステージを思い出して胸が熱くなった。
  この公演評は「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
  チャクムルのインタビューは非常に内容が濃く、興味深い内容だった。学究肌の面もあり、作品の研究・分析も得意とか。さらに古い時代の録音・録画をネットで検索し、それらを研究対象にしているそうだ。
  こうしたことを率直に原稿に書き込んだつもりである。
  彼は笑顔がとてもやわらかく、気取らず、ごく自然体。いろんなところに話が飛んだが、サッカーを見るのが好きで、お料理も大好きだという。
  今日の写真は、ひとつずつ質問に対してじっく考えて答えるチャクムル。もう1枚は、カメラマンの撮影に対して、ポーズをとっているところ。でも、これも髪を気にしたりすることなく、ありのまま。スリムで、手足がとても長い。

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posted by 伊熊よし子 at 23:28 | ああ愉しき(?)、締切り地獄
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