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単行本の追い込み

 いま、単行本の最終的な原稿の推敲を行っている。
 本当は年末にすべての入稿を済ませるはずで、2月発売ということだったが、諸般の事情から4月上旬発売に延期となった。
 というわけで、いまがねじり鉢巻きの時期。なんとか全部の原稿を書き上げたものの、読み直すたびにもっと直したくなり、ちっとも終わらない。
 納得がいかないものを入稿するわけにもいかず、頭を悩ませている。どこかで「エイッ」と区切りをつけ、英断しなくてはならない。
 明日は、編集担当者との最終的な打ち合わせがある。これで決めなくちゃ…。
 さて、明日だ、明日。ここが正念場となりそう。
posted by 伊熊よし子 at 22:50 | ああ愉しき(?)、締切り地獄

ベルリン・フィル特集

 昨年の4月にベルリン、10月に姫路と、樫本大進をメインに取材した「家庭画報」のベルリン・フィル特集が発売となった。
 12月末にねじり鉢巻きで原稿を書いた、思い出深い特集記事である。
 ベルリンでは団員、ゼネラル・マネージャー、客演指揮者をはじめさまざまな人にインタビューをしたが、そのなかで貴重な出会いがあった。
 実は2004年、サイモン・ラトルにインタビューするためにベルリン・フィルの本拠地であるフィルハーモニーに出かけたのだが、このときにマエストロの担当者はドラマトゥルク(文芸)部門のヘルゲ・グリュールヴァルトという人物だった。
 グリューネヴァルトとは、ベルリン南西部の広大な森林地帯の名称。それと同じ苗字で、彼は流暢な日本語で「私は緑の森さんです。緑の森と呼んでください」といい、私はそれがずっと頭のなかに残っていた。
 そのグリューネヴァルト氏と、楽屋の入口でパッとすれ違ったのである。人間の記憶とは不思議なもので、私は「あっ、グリューネヴァルトさん」と、咄嗟に呼びかけてしまった。相手が目を真ん丸にして驚いたのはいうまでもない。
 再会を喜び、その後の様子を伺った。現在はベルリン・フィルの顧問的な立場で、音楽学者としてコンサートのプレトークなども行っているという。
 即座にインタビューを申し込み、貴重な話をいろいろ聞くことができた。この内容は雑誌には掲載するスペースがなかったため、のちにじっくりと紹介したいと思う。
 長い間いろんな取材を続けていると、こういう出会いもあるのだと不思議な感覚を抱いた。
 今日の写真は、「家庭画報」3月号の「輝けるベルリン・フィル―コンサートマスター樫本大進の挑戦―」の一部分。それからインタビュー中の緑の森さん。

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posted by 伊熊よし子 at 23:21 | 情報・特急便

辻彩奈

 J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」は、ヴァイオリニストが生涯に一度は全曲演奏をしたいと望み、バイブル的な存在に位置付けている。
 それを21歳で成し遂げたヴァイオリニストがいる。辻彩奈である。
 1月25日、紀尾井ホールで行われた辻彩奈のバッハ「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」のリサイタルは、2度の休憩をはさんで約3時間。
 辻彩奈は冒頭から凛とした響きでスタート、ソナタ第1番、パルティータ第1番を演奏。休憩後にソナタ第3番、パルティータ第3番を演奏し、再び休憩後にソナタ第2番、パルティータ第2番を演奏した。
 最後の「シャコンヌ」は、堂々たる演奏。全編に大作に挑む意欲的な気持ちが横溢していたものの、けっして憶することなく、一瞬たりとも弛緩することもなく、最後までみずみずしい響きを前面に押し出し、あたかもエベレストの高い頂に勇気をもって登頂していくような潔さを見せた。
 辻彩奈は、2016年のモントリオール国際音楽コンクールの覇者。そのライヴCDのライナーノーツを綴り、デビュー当時からずっとインタビューや取材を続けてきた。
「伊熊さん、私、バッハの無伴奏を全曲演奏することにしたんですよ。来年の1月です。聴きにきてくださいね」
 こういわれたのは、昨年のインタビュー時のことだった。
「えっ、もうその若さで全曲演奏に挑戦するの?」
「ええ、いま猛勉強中です。先生からも弾け弾けっていわれていたんです。いよいよその時が来たな、という感じで…」
 すごいことである。でも、そのときの辻彩奈の表情は、大作に挑む恐れのようなものはまったく見られず、いま弾きたいから弾く、といったごく自然な感じだった。
 この夜のバッハはこれまで聴いてきたどの無伴奏とも異なり、若鮎が清流をぐんぐん泳いで上っていくような活力と情熱と根性を醸し出していた。
 彼女はいまフランスでもレッスンを受け、自身の演奏を磨いている。
 このバッハ、ぜひレコーディングしてほしいと願ってやまない。
 今日の写真は、リサイタルのプログラムの表紙。終演後のCDのサイン会は長蛇の列。私のライナーを読んでくれる人がまた少し増え、うれしい限り…。この公演評は「公明新聞」に書く予定である。

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posted by 伊熊よし子 at 17:25 | クラシックを愛す
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