ブログ

ダン・タイ・ソン

  ピアニストのダン・タイ・ソンが、10月にリサイタル・ツアーを行うことになった。
  スケジュールは、10月5日(大分・グランツたけた)、6日(北九州・響ホール)、10日(武蔵野文化会館)、13日(福島市音楽堂)、15日(愛知県芸術劇場)、16日(紀尾井ホール)。
  そのリサイタルに関し、さまざまな媒体に記事を書き分けるため、代表インタビューを行った。
  今回は2種類のプログラムが用意され、Aプロは前半がシューベルトのピアノ・ソナタ第15番「レリーク」、ショパンの3つのワルツ、同マズルカ風ロンド、後半がパデレフスキの4つの小品、ショパンの「舟歌」「ボレロ」「バラード第1番」となっている。Bプロは、前半のシューベルトだけが変わり、ドビュッシーの「前奏曲集より」6曲が組まれている。
  ダン・タイ・ソンには久しぶりに会ったが、とてもリラックスし、余裕があるように見え、けっしてそれを声高にはいわないものの、自信が感じられた。
  インタビューではプログラムの全体の構成、ひとつずつの作品に関して、それぞれの曲に対する思い出など来日公演に関することが中心となったが、いまのダン・タイ・ソンの心身の充実をぜひとも知りたかったため、あらゆる角度から質問を試みた。
  彼は昔からそうだが、いずれの質問にもきちんとことばを尽くして答え、時折ユーモアを交え、あちこちに日本語を織り込みながら、ゆったりと話していく。
  近年、ダン・タイ・ソンは教える仕事が増え、「いまは音楽院で教える以外にも、来年のショパン・コンクールに向けて教えてほしいという若いピアニストがたくさん訪れ、とっても忙しいんですよ」と、いっていた。
  当初、私はこれほど彼のお弟子さんたちが、コンクールで好成績を残すとは想像しなかった。
  よくダン・タイ・ソンの教授法を知っている人によると、その教授法はすべて弾きながら教えるそうで、生徒がもってくる作品がたとえ初めて見る楽譜でも、ちょっと眺めただけですぐに弾けてしまうそうだ。
  それゆえ、生徒と一緒になって演奏しながら曲を深めていけるとか。
 「ショパン・コンクールを受けたいという若手ピアニストは、年々若くなっています。私のところにくるのは、14歳とか15歳とか、本当に若い人ばかり。 あるとき、13歳と聞いたときには、びっくりしましたよ。でも、みんなとても才能豊か。そしてショパンを愛しています。ですからそれぞれの個性を尊重し、才能がいい方向に伸びるよう、最善を尽くします」
  ダン・タイ・ソンの演奏は、いまや強い説得力をもつ、ピアノ好きをうならせるような巨匠性を備えたものとなった。今回のリサイタルも、いまのダン・タイ・ソンの充実を示すものになるに違いない。
  記事は、そんな彼のピアニズムがどこからか聴こえてくるような文章にしたいと思う。
  今日の写真は、インタビュー後の1枚。以前より体重が増え、おだやかな表情にゆったりとした雰囲気が感じられる。

y3353_R.JPG
posted by 伊熊よし子 at 22:54 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

辻井伸行&ルシエンヌ

  ピアノとトランペットをソリストに迎え、オーケストラとの緊密な音の対話を繰り広げるショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番は、そうそう演奏されるコンチェルトではない。
  いま、パトリック・ハーン指揮オーケストラ・アンサンブル金沢とのツアーが行われている真っ最中だが、そのソリストとして参加している辻井伸行とルシエンヌが、7月19日にサントリーホールでこのコンチェルトを演奏した。
  ショスタコーヴィチが27歳のときに書いた作品で、冒頭から劇的で躍動感に満ち、快活な部分と悲劇的で瞑想的な面も織り交ぜ、美しいトランペットの独奏、ピアノのカデンツァなどが登場し、約21分間というもの一瞬たりとも弛緩することなく、高揚感をもって聴かせる。
  辻井伸行は、オーケストラの重厚な序奏に次いで第1主題を奏でるところから、集中力全開。フィナーレまで曲の内部に入り込み、ルシエンヌ、ハーン&オーケストラと一体となって突き進んだ。
  一方、フランスの若きトランぺッター、ルシエンヌはかろやかに情感豊かにうたうような音色を響かせ、天才性を示した。
  以前、ルシエンヌに話を聞いたとき、「私は倍音を感じるため、ステージでは裸足で演奏するの」といっていたが、ミニスカートでフワフワの巻き毛を揺らしながら裸足で登場したときは、会場中が「オーっ」という感じで驚きを隠せなかった。
  背中に羽をつければ、まさにエンジェルのよう。ヨーロッパの壁画に描かれているような天使を想像してしまった。
  このコンチェルトはアルゲリッチ&ナカリャコフで聴いたことがあるが、今回はまたひと味異なる、みずみずしさにあふれた演奏だった。
  昨日は、東京オペラシティで再びコンサートが行われ、このときはハイドンのトランペット協奏曲とモーツァルトのピアノ協奏曲第27番がプログラムに組まれた。
  終演後、辻井伸行に今回のツアーについて、ルシエンヌとの初共演について、ハーンとアンサンブル金沢についてなどの話を聞いた。このインタビューは「家庭画報」の連載記事に書く予定になっている。
  辻井伸行は、ショスタコーヴィチの作品は初挑戦。あんなに難しい曲で音符が多いのに、「すっごく楽しいんです。弾いていて、心がウキウキします」と明るく語った。さすがですねえ。

posted by 伊熊よし子 at 22:39 | クラシックを愛す

マリアム・バタシヴィリ

  ジョージア(旧グルジア)からは、すばらしい才能をもったアーティストが何人も国際舞台へと飛翔している。
  2014年、オランダ・ユトレヒトで開催されたリスト国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いたマリアム・バタシヴィリもそのひとり。
  彼女はコンクール後、「リストのスペシャリスト」として国内外で幅広く活躍、ワーナークラシックスと専属契約も結び、デビュー・アルバムがリリースされることになった(9月3日 輸入盤CD、デジタル同時配信)。
  バタシヴィリが選んだ作品は、リストとショパン。リストの「孤独の中の神の祝福」から幕を開け、リストとショパンの練習曲で幕を閉じるというこだわりのプログラムである。
  そんな彼女が、7月19日・20日には上岡敏之指揮新日本フィルのトパーズ(トリフォニー・シリーズ)のソリストとして出演。サン=サーンスのピアノ協奏曲第2番を演奏した。
  バタシヴィリの作り出す音楽は、真摯で深遠で内省的な抒情に包まれている。サン=サーンスのオルガンの手法を感じさせる作品をときに繊細に、またあるときは華麗に、そして超絶技巧をごく自然に奏で、作品の魅力を知らしめた。
  終演後、インタビューを行ったが、いずれの質問にも実に真面目に、誠心誠意ことばを尽くして語り、そのあまりにもひたむきでまっすぐな性格に、心を打たれるものがあった。
  バタシヴィリはとても小柄でスリム。いつもステージではドレスを着用せず、パンツスーツを好むそうだ。
  このインタビューは、ヤマハのWEB「音遊人」に書くことになっている。
  今日の写真は、艶やかな黒髪、まっすぐに相手を見つめる黒い瞳が印象的なマリアム。また、すぐにでも来日してほしいピアニストである。次は、ぜひリストをナマで聴きたい。

y3355_R.JPG
  
  
posted by 伊熊よし子 at 22:28 | 情報・特急便
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE
検索ボックス