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フォーレ四重奏団 インタビュー

 フォーレ四重奏団のメンバーは、ヴァイオリンのエリカ・ゲルトゼッツァー、ヴィオラのサーシャ・フレンブリング、チェロのコンスタンティン・ハイドリッヒ、ピアノのディルク・モメルツ。
 インタビューでは、23年間メンバーチェンジなしという仲のよさの理由を聞いたが、「私たちはあまり想像力豊かではないため、他のメンバーが考えられなかった」とジョークで答えられてしまった。
 確かに仲のいい4人で、音楽はもちろん、全員で何でもディスカッションして決めるのだという。
「私たちは弦楽四重奏団のように第1ヴァイオリンがすべてを握っているという形ではなく、学生時代からのつきあいだからすごく民主的。それぞれがソリストとしての自覚をもち、責任を担っている」とのこと。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」に書く予定である。
 今回は、新譜のムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ディルク・モメルツ、グリゴリー・グルツマン編曲によるピアノ四重奏版)、ラフマニノフ:絵画的練習曲集「音の絵」よりOp.39-6、Op.39-2、Op.33-6、Op.39-7、Op.39-9 (ディルク・モメルツ編曲によるピアノ四重奏版)―ベルリン・クラシックスを中心に話を聞いた。
 主として編曲を行ったピアニストのディルクにその内容と経緯を聞き、弦楽器3人には編曲版の演奏について詳細を語ってもらった。
 彼らはジョークが大好きだそうで、だれかが話していると、隣でペチャクチャ冗談をいっている。それがもっともらしいから信じそうになると、「いやいや、いまのはほんジョークだよ」と一蹴されるという具合だ。
 音楽についてはもちろん真摯に話してくれ、さまざまな質問にことばを尽くして語ってくれたが、それでもずっと笑顔が絶えなかった。
 記事には、その音楽に対しての一途な思いを記したいと思う。
 チェロのコンスタンティンとヴィオラのサーシャは3人の子どもがいるそうで、休日は子どもと遊ぶのに忙しく、自分の趣味を楽しむ時間はなさそう。ピアノのディルクは、ミュンヘンの山岳地帯でパラグライダーを楽しんでいるそうだ。紅一点のヴァイオリンのエリカは裁縫が好きで、今回も来日中に日本の生地を求めてお店を回ったという。
 私は、学生時代からのつきあいだとしても、男性3人と女性ひとりではなにかと大変なのではないかと聞いたら、ケラケラ笑いながらこういった。
「あら、ちっとも大変なことないわよ。私は男きょうだいのなかで育ったから、慣れているの。3人は悪ガキみたいなもので、私がいつもひとまとめにしているのよ」
 そうか、姉御肌なのね、安心しました(笑)。
 フォーレ四重奏団は緊密で精緻で鍛えられたアンサンブルを聴かせてくれるが、素顔も見事なチームワークを感じさせた。
 今日の写真はその自然な笑顔の4人。左からピアノのディルク、ヴィオラのサーシャ、ヴァイオリンのエリカ、そしてチェロのコンスタンティン。ラフマニノフとムソルグスキーの編曲版は、聴き慣れた作品に新たな光を投げかけるもの。この版を演奏してみたいと思う人が現れるんじゃないかな。

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posted by 伊熊よし子 at 22:54 | 親しき友との語らい

フォーレ四重奏団

 四重奏団といえば、弦楽四重奏団を思い浮かべる人が多いと思う。
 しかし、フォーレ四重奏団はピアノ四重奏団である。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノという構成で、1995年にドイツ・カールスルーエ音楽大学卒の4人によって結成された。
 以来、23年間、メンバーチェンジなしで活動し、いまやこの分野を代表する四重奏団となっている。
 今日は、トッパンホールで行われたコンサートを聴きにいった。これはトッパンホール18周年バースデーコンサートと銘打たれ、今日と10月5日にコンサートが組まれ、明日の2日は公開マスタークラスが行われる。
 今夜のプログラムは、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番、メンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番、シューマンのピアノ四重奏曲変ホ長調。いずれも精緻で緊密なアンサンブルが際立ち、各々の音がくっきりと伝わってくる。
 彼らはムソルグスキーの「展覧会の絵」の編曲版の新譜をリリースしており(ベルリン・クラシックス)、その一部をアンコールで披露した。すごい迫力で、いままで聴いてきた「展覧会の絵」とはまったく異なり、新たな作品を耳にする思いがした。
 実は、明日のマスタークラスの前の時間にインタビューを行うことになっている。
 さて、どんな話が聞けるだろうか。
posted by 伊熊よし子 at 23:29 | クラシックを愛す

ベンヤミン・アップル

 男性歌手の場合、多くの人がテノール・ファンである。テノールはオペラでは主役であり、王子や恋人や善人の役を担う。
 しかし、私はバリトン・ファンである。オペラにおいては、バリトンはあまり主役を与えられていない。主人公の相手役や悪役や目立たない役が多い。
 ただし、ドイツ・リートでは、バリトンに向いた作品が多く書かれている。
 そのリートを得意とする新たな才能が登場した。1982年、ドイツ・レーゲンスブルク生まれのベンヤミン・アップルだ。レーゲンスブルク大聖堂少年聖歌隊でうたい、ミュンヘン音楽演劇学校を経て、ギルドホール音楽演劇学校で学んだバリトンで、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの最後の弟子として知られる。
 アップルは2010年ロンドンに移り、2014年から次々に新人賞にあたるさまざまな賞を受賞。ドイツ・リートを中心にオペラにも出演し、2017年ソニー・クラシカルと専属契約を結んだ。
 デビュー・アルバムは「魂の故郷〜シューベルト→ブリテン歌曲集」。シューベルト、レーガー、ヴォルフ、ブラームス、R.シュトラウス、プーランク、ブリテン、グリーグなど多彩な歌曲をしっとりと抑制の効いた低音でうたい上げている。
 先日、ベンヤミン・アップルにインタビューし、そのアルバムのこと、これまでの経緯、恩師のこと、家族のこと、今後の活動についてなど、さまざまな話を聞いた。
 来日してから、会った人がみな驚くのは、彼の身長の高さ。なんと196センチの長身である。私はテニスが好きなので海外のテニス選手の身長の高さをいつも耳にしているが、「なるほど、196センチってこんなに大きいものなのね」と実感。ただし、スリムなため、ものすごく威圧感があるというわけではない。
 オペラ歌手というと立派な体格の人を思い浮かべるが、彼は特有の美意識があるらしく、太らないようにしているそうだ。
 とても感じがいい人で、話をしている間、ずっとインタビュアーの目をまっすぐに見ている。ジョークも好きらしく、歌手になる前の銀行勤務だったときのことをおもしろおかしく話してくれた。
 いまはリートをしっかりうたう歌手が少なくなってきたとのことで、「私は絶対にこの道を極めたい。フィッシャー=ディースカウの教えを忠実に守りながら、自分なりのリートを作り上げたい」と熱く語っていた。
 バロック作品や古典的なオペラにも意欲的で、第2弾のアルバムは「バッハ:アリア名曲集」。ピリオド楽器使用のコンチェルト・ケルンとの共演である。
 このインタビューは、次号の「日経新聞」に書く予定である。
 ベンヤミンはこの日、新品の真っ白な革のスニーカーを履いていた。
「これ、日本にくるから特別に買ったんだよ。だって、メーカーはAXEL ARIGATOっていうんだもの」といった。アクセル・アリガトウ?? 早速、レコード会社の担当者のKさんが調べると、ありました、この名前が。ありがとうなんて、初めて知ったワ。ベンヤミンは「ねっ、あるでしょう、それだよ」とにやにやしていた。
 新たなバリトンの登場は、声楽界を活性化してくれる。彼は10月1日「NHK音楽祭」(NHKホール)でパーヴォ・ヤルヴィ指揮NHK交響楽団と共演し、オルフ「カルミナ・プラーナ」に出演。12月2日には大阪城ホールで「サントリー1万人の第九」の第1部に出演する予定だ(佐渡裕指揮、マーラー:リュッケルト歌曲集、バーンスタイン:ウエスト・サイド・ストーリー、キャンディードから)
 今日の写真は、インタビュー後のショット。「靴も写してね」といわれたため、1枚はありがとうのスニーカーを入れ、もう1枚は背の高さを表すため、ドーンと全身を入れました。とにかくデ、デカイ。 

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posted by 伊熊よし子 at 22:24 | アーティスト・クローズアップ
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