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イム・ユンチャン

 近年、バッハの《ゴルトベルク変奏曲》全曲を演奏するピアニストが増えている。
 今日は、東京オペラシティコンサートホールに、イム・ユンチャンの「ゴルトベルク変奏曲」を聴きに行った。
 彼は2022年第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにおいて、史上最年少で優勝の栄冠を手にしたことで知られる。以来、国際舞台で活発な活動を展開している。
 演奏は、以前の来日公演でも聴いているが、今回の《ゴルトベルク変奏曲》もみずみずしく推進力のある奏法で、装飾音もごく自然に加え、全体は流れる水のような清らかさ。鍛え抜かれたピアニズムは、バッハと一体化し、最後までけっして飽きさせない。
 「アリア」の再現では弱音を重視し、長い旅の終わりに向けてひと呼吸置く感覚をもたらすが、けっしてこれは旅の終わりではなく、また次なる旅の始まりへと意識を向ける。
 イム・ユンチャンはデッカ・クラシックス専属アーティストとして、8月22日にチャイコフスキーの「四季」をリリースする。実は、「モーストリー・クラシック」からの依頼により、いまブルース・リウとイム・ユンチャンの「四季」の聴き比べの原稿を書いているところだ。
 今日はバッハを聴いたが、これからチャイコフスキーに気持ちを切り替えなくてはならない。
 それにしても、最近はアジア出身のピアニストが元気である。さまざまな国際コンクールでもアジア勢が上位入賞を果たしている。さて、ショパン・コンクールはどうなるのだろうか。
 
posted by 伊熊よし子 at 23:02 | 日々つづれ織り

ライナーノーツの打ち合わせ

 いま、偉大なピアニストの復刻CDの発売に向けて、5枚のアルバムのライナーノーツを書いている。
 その録音に関し、当時のレコーディングディレクターのNさんに久しぶりに会い、話が弾んだ。
 彼とは以前から親しくしているが、定年退職されてからフリーで仕事をしているという関係上、最近はなかなか会うこともなく、本当に久しぶりにゆっくり話すことができた。
 「もうそろそろ遊びたくて、仕事は全部やめてしまおうかと思って…」というのを聞いて、びっくり。あんなに仕事が大好きで、録音に情熱を傾けていたのに、やめてしまうとは。
 私の周囲の定年退職以降の人たちは、ふたつに分かれるようだ。できる限りはなんらか仕事にかかわりたいと考えている人、一方は、そろそろのんびりしたいという人。
 私は前者で、心身ともに仕事ができる状態ならば、できる限り続けたい。仕事は社会とつながっていることであり、必要とされているという思いがあるからだ。
 Nさんと会って、いろいろ考えさせられた。さて、彼に聞いたアーティストの情報を参考に、ライナーノーツの執筆にとりかかりますか。
posted by 伊熊よし子 at 17:02 | 親しき友との語らい

小倉貴久子

 昨年の夏、「音楽の友」の「マリアージュなこの1本」に出演してもらい、ご自宅で手料理を披露してくれたフォルテピアノの小倉貴久子。今回は、また同誌のバッハの特集ページに登場。バッハが食べたという料理「牛肉の煮込み、ジュニパーベリー添え」(歴史料理研究家の遠藤雅司によるレシピ)を作り、それを食べながらバッハに思いを馳せるという長時間にわたる企画に参画してもらった。
 料理自慢の彼女のすばらしいキッチンは、訪れるたびに「いいなあ、うらやましいなあ」とため息が出るほど美しく機能的。今回もまたそのキッチンで料理の腕をふるってくれた。
 レシピや内容は、次号の「音楽の友」で詳しく紹介する予定。小倉さんには、バッハに関する話を聞き、このレジピを作り、味わったことで、バッハの音楽に対するイメージや考え方がどう変化してかを聞いた。
 今日の写真は、材料と仕上がった料理。これまでのバッハの食事に対する先入観念がくつがえされるほど、さまざまな素材が用いられ、仕上がったレシビもとてもおいしかった。

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posted by 伊熊よし子 at 21:56 | 美味なるダイアリー
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