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エマニュエル・パユ

 いつもエマニュエル・パユにインタビューで会うと、その仕事ぶりに驚かされる。
 彼は頭のなかに向こう3年間から5年間くらいのコンサートと録音の企画がビッシリ詰まっていて、それをどんどん話してくれるからである。
 今回は、来年リリース予定の新譜の情報がまだヨーロッパのレコード会社から日本のレコード会社の方に届いていないとのことで、本人に直接聞いた方が早いだろうということになった。
 ライナーノーツを担当する身としては、新譜の内容の詳細を聞く必要がある。
 パユは次々に曲目を並べ、内容をガンガン話していくのだが、あまり演奏されない作品や聞き慣れない作曲家の名前が飛び出し、こちらは四苦八苦である。
 いやあ、これは大変なことになった。曲目解説に時間がかかるなあと思いつつ、話を進めていく。
 レコード会社の担当者もメモを取るのに必死で、私もインタビューではなく、情報収集に徹することになった。
 そうこうするうちに話は終わり、帰宅すると、パユは先ほど話した曲目のリストをすぐにメールで送ってくれた。
 本当にすごい人だよねえ。私が話を聞いたのは、彼のリサイタルの本番前なのに、すぐにこうやって情報を流してくれるなんて…。
 よく樫本大進が、「エマニュエルは本当の天才」といっているけど、確かにそうだと思う。なんでも簡単に吹けてしまうし、録音の話を聞いても、苦労話はいっさいない。
「なんで? 録音で苦労なんかしていないよ。準備はきちんとできているからさ。その前にちゃんと用意しておけば、録音は楽しんでできるよ」
 そうでしょうね。なんといっても、真の天才だから。
 それでも、何かないかなと考え、苦心したことや困難にぶつかったことを聞き出そうとすると、こんな答えが戻ってくる。
「私はねえ、ストレスがないんだよね。努力して自分がやるべきことをやれば、結果はついてくる。いつも楽しんで演奏しているよ」
 ハイハイ、よくわかりました。こういう人に野暮な質問をしてもダメなんだよね。もっと、音楽的な質問をした方がいいと思い、方向転換をすることになる。
 パユは毎年のように来日し、2018年も来日公演が組まれている。その前に新譜のライナーを仕上げなくてはならない。まず、いま手に入る情報から進めましょうか。
 今日の写真は、天才のパユさま。でも、けっして鼻高々にならず、いつも一生懸命ことばを尽くして話してくれる真摯な性格の持ち主。熱心なファンが多いのもうなずける。

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posted by 伊熊よし子 at 22:33 | 情報・特急便

川井郁子

 クラシック作品から自身のオリジナル曲まで、幅広いレパートリーをもつヴァイオリニストの川井郁子が、2018年1月13日から2月18日にかけて、全国6都市で「川井郁子コンサートツアー2018 LUNA〜千年の恋がたり〜」と題する公演を行うことになった。
 東京公演は、2月23日にBunkamuraオーチャードホールで開催される。
 先日、このツアーに関する記者発表会が行われ、オフィシャルライターを依頼された私は、TBSまで出向いた。
 川井郁子は2017年11月1日に「LUNA」というアルバムをリリースしている。7年ぶりの新譜で、月にまつわる全17曲が収録されている。
 来年の公演はこのアルバムの曲も演奏され、3部構成となっており、スペシャルゲストとして「ロシアの至宝」と称されるバレエダンサーのファルフ・ルジマトフが参加することになっている。彼は岩田守弘の振り付けにより、ヴァイオリンと共演する。
 公演では、和太鼓を中心とする和楽器と洋楽器のコラボレーションも展開される。
 今日の写真は、会見での川井郁子。私は以前から彼女の取材を続けており、「お久しぶりです」とお互いにあいさつを交わした。

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posted by 伊熊よし子 at 22:28 | 情報・特急便

ポール・ルイス

 イギリスの実力派ピアニスト、ポール・ルイスは、ある種のまとまった企画でプログラムを組み立て、シリーズとして何年間にもわたり、コンサートを行うことを好む。
 今回の来日では、長年共演を重ねているテノールのマーク・パドモアと王子ホールで2夜にわたって「歌曲の夕べ」を開いた。
 そして29日には、「HBB PROJECT Vol.1」と題するリサイタルを行う(王子ホール)。これはハイドン、ベートーヴェン、ブラームスの3作曲家の作品をシリーズで演奏するもので、第2回は2018年11月20日、第3回は2018年11月22日、第4回は2019年9月の予定である。
 そのシリーズについて話を聞くべく、インタビューを行った。
 ルイスは、ハイドンをこよなく愛しているそうだ。ユーモアがあり、サプライズがあり、笑いもあり、すばらしく豊かな作品が多いと力説する。
 そのハイドンとまったく逆の、内省的でシリアスなブラームスの作品を組み合わせたプログラムを作りたいと考え、そのふたりの作曲家の橋渡しができる存在として、ベートーヴェンを入れたのだという。
 ただし、ベートーヴェンは、「バガテル」や「ディアベッリ変奏曲」で、ピアノ・ソナタではない。ブラームスは、晩年の間奏曲や小品が選ばれている。
 ハイドンに関しては、ピアノ・ソナタが主流となっている。
「そんなにもあなたはハイドンが好きなのに、どうしてほとんどのピアニストはハイドンを弾かないんでしょうね」というと、「ホント、どうしてだろうといつも思っている。ハイドンは退屈だとか、おもしろくないという人が多いんですよ。まったく逆なのにねえ」と、真剣な眼差しで考え込んでいた。
 ルイスは録音にも積極的に取り組み、最近ではベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、ブラームスのピアノ協奏曲第1番と4つのバラード、シューベルトの後期ピアノ・ソナタ集、マーク・パドモアとのシューベルト・チクルスなど、興味深い録音を世に送り出している(キングインターナショナル)。
 このインタビューは、「intoxicate」に書く予定である。
 ルイスはいつ会っても実に感じがよく、ひとつひとつの質問にことばを選びながらていねいに答えてくれ、その実直さが彼のまっすぐで深みのある演奏を連想させる。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。
 ポール・ルイスの写真というと、あまり笑っているものを見たことがない。いつも真摯な表情をしている。でも、インタビュー中はジョークもいうし、おどけた表情もするし、終始にこやかである。この写真も、自然な笑顔でしょ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:10 | 情報・特急便
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