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フォルテ・ディ・クアトロ 4

[日本は一度で大好きになった。食べ物がすばらしいし、みんなマナーがいい。またすぐにでも訪れたい]

 そんな彼らは今夏、韓国のファンを乗せたクルーズ船でうたい、日本の港に立ち寄った。そのときにほんの少しだけ銀座に寄ったという。そのときの感想も4人4様だ。
 フンジョンは「日本のビールって最高だよね。もう全銘柄を飲みくらべたかったくらい。牛カツもおいしかったなあ」。
 ヒョンスは「とんかつもおいしかったじゃない、蕎麦もね。なんか、食事に哲学を感じるよなあ」。
 TJは「なんといっても本場の寿司だよ、ウニが最高。お金をためて、星がいくつか付いたいいお店で食べたいなあ」。
 そこにビョリのひとことが入る。「コンビニの卵サンドイッチに驚いたよ。なんておいしい物が日本にはあるんだって、目からウロコ。卵サンドがこんなにおいしいなんて、生まれて初めて知ったよ。コンビニでこのレベルだから、パン屋さんが作った卵サンドはどれだけおいしいんだろう。ああ、卵サンドの夢を見そう」
 3人は初めての日本だったが、フンジョンは友人がいるため、しばしば来日しているそうだ。彼は野球が趣味で、ピッチャーとキャッチャーを担当するそうだが(?)、銀座で貴重なグローブを手に入れたという。
 これに続きヒョンスに趣味を聞くと、またまた変てこりんな答えが戻ってきた。
「ぼくは趣味を探しているところなんです。完璧主義なので、趣味もじっくり探さなくてはならない。いま、新しい趣味を探求しているところです」
 みんながクスクス笑っている。
 TJの趣味は食べ歩きと旅。「両方を兼ねたグルメ旅が一番楽しい。今度、日本に行ったら、食べまくるつもり、ああ、ウニの寿司、待ち遠しい」。
 そして、ビョリはやはりサプライズだ。
「ぼくは多趣味なんです。第3の趣味は水上スキーとロッククライミング。すごいでしょう、結構大変なんですよ。第2の趣味は絵を描くこと。子どものころからいつも絵を描いています。マンガも得意です。プラモデルを作るのも好きだったけど、これは時間がかかるのでいまはできません。そして第1の趣味は食べ歩き。卵サンドが呼んでいる(笑)」
 このインタビューの間に、TJがずっといい続けていたことばがある。それは「すみません」という日本語。
「日本にいったら、人に声をかけるときも、お礼をいうときも、支払いをするときも、エレベーターに乗るときも、食事を注文するときも、全部“すみません”で済む。このことば、すごく便利だよね。もうこれだけで用が足りる」
 それからは、みんなで「すみません」「すみません」の連呼。まさに陽気で人なつこいナイスガイの4人だった。
 今日の写真は、デビュー・アルバム「フォルテ・ディ・クアトロ」のジャケット写真。

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posted by 伊熊よし子 at 17:53 | 終わりよければ…取材奮闘記

フォルテ・ディ・クアトロ 3

[4人ともまったく性格が異なり、歌声も違う。だから喧嘩はいっさいしたことがない]

 さて、それぞれが質問に答えているときも、いろんな話が飛び込み、和気あいあいの雰囲気。そこで、あるメンバーからある人を評してもらうと…。
 まず、ヒョンスからフンジョンを見ると。
「フンジョンは、ステージではトークも目いっぱい頑張っているけど、ふだんはとても物静か。いつも何かをじっと考えているようなタイプで、とんがっているところがまったくない。もちろんみんないいヤツだけど、フンジョンもとてもいいヤツだよ。でも、ときどきちょっと狂っているな、と感じることがある。でも、ぼくも異常だから、3人の方がふつうかもしれない(笑)」
 フンジョンからビョリを見ると。
「彼は、ふつうの人がやらないことを平気でやれるタイプ。ふだんは自分をあまり出さないため、最初は何を考えているのかよくわからなかったんです。オーディションのときも、ピョリだけは性格が見えなかった。でも、いまはステージでサプライズを起こす名人」
 それでは、ビョリからTJを評して。
「彼は人間の形状をしているけど、本当は彼のなかには熊がいるんですよ。大きくて、あったかくて、包容力がある。声は一番低いけど、背は高い。性格に重みがあるしね。でも、ふだんはかわいい面も繊細な面もあるんですよ」
 さて、最後にTJからヒョンスを語ってもらうと。
「まあ、ひとことでいうと、彼は変人ですね。自分では天才だと思っているようで、ぼくたちも最初はそうかと信じそうになったけど、まったく違った、ただの変人(笑)。4人ともまったく色が異なり、性格も歌声も違うからうまくいっています、喧嘩はいっさいしたことがないし。全員が自分の役割を完全に理解し、いい歌をうたうことに全力を傾けているから。ただし、ヒョンスだけはいつもちょっと変。何かにつけていいわけをするしね。だれかがいったことに同調することはせず、まずひとこといいわけをするんですよ」
 フンジョンもビョリも、「そうそう」とうなずいている。だが、当のヒョンスは「いいんだよ、何をいわれても。ぼくは天才だから気にしない」と、どこ吹く風。
 
 今日の写真は、コンサート後の楽屋での4人。長時間に渡るコンサートだったが、まったく疲れた様子も見せず、汗をかいている感じもなく、すっきりさわやか。Vサインがとても好きなようだ。

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posted by 伊熊よし子 at 14:40 | 終わりよければ…取材奮闘記

フォルテ・ディ・クアトロ 2

[オーディションまでの経緯はさまざま。全員が子ども時代から無類の音楽好き]

 ここで、4人のこれまでのキャリアについて自ら語ってもらいたいと思う。レコード会社のプロフィールで紹介していることは割愛し、オーディションまでの経緯を簡単に…。まず、コ・フンジョンから。

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「ぼくは昔から音楽が好きで、とにかく音楽の仕事に就きたかった。演技にも興味があったため、ミュージカルに携わることになったんです。本格的にミュージカルの舞台に立ったのは2009年から。いろんな人と共演し、韓国の有名な女優の相手役をしたこともあります。その後、プロデューサーとしての仕事に興味を抱き、もっと自分の違う面を出したいなと考えていたとき、このオーディションを知り、そのコンセプトに共感し、これまで自分が勉強してきたこと、積み重ねてきたことが生かせるのではないかと判断して応募しました。結果的にすばらしいメンバーと出会え、いろんな可能性が広がった。いまはステージでうたうときには、全体をいかにプロデュースすべきかも考えています。初めてのレコーディングのときはみんなすごく緊張したけど、全員がコンディションを整え、最高の状態で臨みました」
 次いでキム・ヒョンスの登場。

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「ぼくは、ソウル大学ではクラシックを専門に学びました。卒業後、実質的には6年前から歌手としての活動を続けています。主としてクラシックの活動で、オペラをうたうのが大好きです。ぼくも韓国の女優と共演したことがあり、テレビやラジオ出演も経験しました。オペラでは主役のテノールをうたうのが大好きで、6カ月間ひとつの作品に集中したこともあります。兵役にいっているときは、軍楽隊で演奏していました。そのときは、クラシック以外の曲もうたい、さまざまな曲に出合った時期です。オーディションに応募したときは、得意とするオペラ・アリアを中心にうたいました。デビュー・アルバムの録音は、確かに全員が全力を出し切ったけど、いま考えるともっと何かできたと思う。ぼくにとっては、少し物足りない。もっと完璧な美を追求しなくてはならないと思っています」
 イ・ビョリはシンデレラボーイだが、彼のオーディションまでのいきさつはとてもおもしろい。

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「ぼくも子どものころから音楽が大好きで、フルートを演奏していました。ヴォーカル・グループのリーダーや合唱隊のリーダーを務めたこともありますが、目立つことは何もありませんでした。神学大学に進み、そのなかで音楽を基礎から学びました。このときに何か楽器も演奏したかったのですが、楽器を新たに買わなくてはならない。そのお金がなかったため、自分を楽器としてとらえる“歌”に集中することにしました。公園にいってうたったり、夜中に湖にいって大声を出したり、いろんなことをしています」
 ところがある日、イ・ビョリの運命を決めるできごとに遭遇する。
「公園の水たまりに蛇がいて、かまれてしまったんです。ぼくは兵役に就いていたころ、北朝鮮の国境沿いの水たまりで、いつも訓練のじゃまになるからと蛇を素手で排除していたため慣れていると思ったら、これが大まちがい。すさまじい毒蛇だったんです。週末だったため病院が開いていなくて、どんどんからだに毒が回り、治療を受けたときには瀕死の状態。入院中、人生には何が起こるかわからない、人はいつ死ぬかわからないと思い、何かチャンスがあったら試すべきだと考え、友人が紹介してくれたオーディションに挑戦したんです。いまでも、蛇にかまれた指は麻痺しているんですよ。でも、ぼくにこういうチャンスを与えてくれたんだから、蛇には感謝すべきかも(笑)」
 隣で笑っていたTJソンが、最後に自己紹介をする。彼の本名はテジン・ソンだが、学生時代からTJソンと呼ばれている。

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「ぼくはヒョンスと同じ大学で学びました。子どものころからインターナショナル・スクールで学び、海外で過ごすことが多かった。ソウル大学に入学する前も、フランスのホテル経営学科で勉強することが決まっていたんです。ただし、幼いころから音楽が大好きだったのでソウル大学で音楽を幅広く学びたいと思い、入学を決めました。ところが、大学ではクラシックが中心だった。もちろんそこではみっちり勉強し、兵役にいってからいろんなジャンルの曲をうたうようになったんです。ぼくはクロスオーバー・ミュージックが韓国に根付くことを希望しているため、このオーディションは願ってもないことでした。こうしていいメンバーに出会うことができましたし、マーケットが少しでも広がればいいと思っています。デビュー・アルバムでは、ひとりでも多くの人に自分たちのいろんな面を知ってほしいとさまざまな曲を入れましたが、今後はあるコンセプトに基づくアルバムを考えています」
 TJはひとりバスで声が低いため、テノールの3人を客観的に見ているような感じがする。大きく俯瞰してこのユニットをとらえているようだ。それが証拠に、彼はフォルテ・ディ・クアトロをこう説明してくれた。
「ステージの立ち位置で説明すると、向かって一番右がハイヴォイスのヒョンス。繊細で美しい高音の持ち主。ヒョンスよりちょっと低めのフンジョンは、ミュージカルで鍛えた表現力が武器。そして左から2番目がハイヴォイスのビョリ。のどが強く、リズム感もあり、ノリがいい。一番左がバスのぼく。だから、右からhigh、middle、high、lawというわけ。わかりやすいでしょう」
posted by 伊熊よし子 at 10:35 | 終わりよければ…取材奮闘記
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