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ダン・タイ・ソン

 昨日、銀座のヤマハホールにダン・タイ・ソンのリサイタルを聴きに行った。
 思えば、1980年のショパン・コンクール優勝時から彼の演奏は聴き続け、来日公演のたびにインタビューを行い、単行本も書き、長年にわたって演奏を聴き続けている。
 この日のプログラムは、前半がラヴェルとドビュッシーとフランク。後半がオール・ショパンという構成。
 いずれの作品も、巨匠の域に入った熟成した演奏で、長年聴き続けている私は感慨深い。
 ダン・タイ・ソンは、後進の指導にも重きを置いていて、昨年のショパン・コンクールの覇者、ブルース・リウは愛弟子である。
 この優勝により、恩師と弟子の両方がショパン・コンクールで大きな結果を残したことになる。
 いまはなかなか楽屋に行って話をすることができないが、次回ダン・タイ・ソンにインタビューする機会があったら、弟子への指導の方法や極意を聞きたいと思っている。
 今回の演奏でとりわけ心に残ったのは、ショパンのポロネーズ、マズルカ、ワルツ、エコセーズ、タランテラと、作曲家が作品に取り入れた民族色豊かな舞踊のリズムを選曲したこと。
 すべてが磨き抜かれ、鍛えられ、究極の美しさを放ち、ショパン弾きならではのリズム表現だった。
 この公演評は、「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 ヤマハホールの親密な会場で聴く、心温まるひとときとなった。

posted by 伊熊よし子 at 22:16 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

アレクサンドル・カントロフ、ホアキン・アチュカロ

 先週は、来日ピアニストのすばらしい演奏を2度聴くことができた。
 6月30日(木)には東京オペラシティコンサートホールで、アレクサンドル・カントロフのピアノ・リサイタルが開かれた。
 昨年のブラームスの公演は、「音楽の友」の年間ベストワンに挙げたほど。さて、今年のプログラムは、リストの「巡礼の年」が中心で、シューマンのピアノ・ソナタ第1番とスクリャービンの詩曲「焔に向かって」が挟まれる趣向。
 作品によるのだろうが、昨年の滋味豊かな心に切々と響いてくる演奏とは一線を画し、エネルギッシュで情熱的で楽器を大きく鳴らす奏法だった。
 この公演評は「モーストリー・クラシック」に掲載される予定である。
 ここしばらく来日アーティストの演奏は、アンコールが盛りだくさん。コロナ禍でなかなか来日できなかったためか、アンコールだけで第3部が構成されるような形である。
 カントロフも、7曲も弾いてくれ、私が聴きたかったブラームスの「4つのバラード」が含まれていた。ああ、大満足…。
 7月3日(日)には王子ホールで、今秋90歳を迎える巨匠、ホアキン・アチュカロのピアノ・リサイタルが行われた。
 前半はブラームスのピアノ・ソナタ第3番、後半はリスト、ラフマニノフから始まり、得意とするグラナドス、アルベニスへと移った。
 アチュカロは、インタビューしたときもそのエネルギッシュで前向きで、音楽にすべてを駆けている姿勢に感服したが、今回の演奏も聴き手を元気にするもの。私も大いなる活力をもらうことができた。
 やはり、こうしたナマの演奏は何物にも代えがたい。感染状況が微妙でちょっと心配だが、なんとかコンサートが続くことを願いたい。

posted by 伊熊よし子 at 23:04 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

ネルソン・フレイレ

 私の大好きなピアニスト、ネルソン・フレイレが11月1日にリオデジャネイロの自宅で亡くなった。享年77。
 数年前に転倒して肩や腕を痛め、リハビリをしていたそうだが、ピアノを弾くことはできなくなってしまったようだ。
 最近はうつ状態だったというが、そのニュースを聞いてから、私の心の奥になんともいえない複雑な思いが宿り、元気だったころのフレイレを思い出しては、悲痛な思いを払拭しようと心がけている。
 フレイレに関しては、これまでブログにも何度か登場してもらった。
 2014年10月16日、2017年7月4日、2018年8月5日。
 興味のあるかたは、ぜひ検索してみてくださいね。
 いずれ、ゆっくり追悼文を書きたいと思っている。
posted by 伊熊よし子 at 17:40 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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