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久末航

 12月2日サントリーホールで、先日のエリザベート王妃国際音楽コンクール第2位入賞の久末航の「凱旋リサイタル」が開催された。
 プログラムはコンクールで演奏した思い入れの深い作品が並び、ラヴェル「高雅で感傷的なワルツ」で幕開け。ライヴ配信でもその情感豊かで成熟した音楽は存分に伝わってきたが、ナマで聴く演奏は格別だった。
 次いで得意とするデュザパンの「ピアノのためのエチュードより第2番」が登場し、先ごろリリースされた「パスカル・デュザパン ピアノ作品集」(東京エムプラス)を聴いていたため、やはりナマで聴く作品の醍醐味が味わえた。久末航は2017年のミュンヘン・コンクールにおいて、セミファイナルの委嘱作品課題曲「Did it again」で初めてデュザパンの作品に出会い、特別賞を受賞している。
 続いてリスト「巡礼の年第1年スイスより」3曲、「ウィーンの夜会より第6番」が奏され、舞曲のリズムがごく自然に奏でられ、テクニックを前面に押し出さず流麗な歌を奏でるように紡がれる技にまさに「大人の音楽」を聴くという感覚にとらわれた。
 その感覚は、後半のバルトーク「3つのブルレスク」でも健在。ユーモア、ウイット、エスプリを描き出すように奏でる彼のピアニズムに酔いしれることができた。
 最後はベートーヴェンのソナタ「熱情」が登場。これが当日の白眉。何度もいろんなピアニストで「熱情」は聴いてきたが、この日の演奏は深く心に響くものだった。肩の力が抜けた自然体で、しかも作品の内奥に鋭く切り込んでいく姿勢も見せ、ベートーヴェンの作品の偉大さを知らしめた。
 ああ、こういうピアニストでブラームスを聴きたいなあと思っていたら、アンコールの3曲目にブラームスの「ワルツ」op39―15がそっと静かに登場し、あまりにもチャーミングな演奏で、「うーん、まさに大人の音楽だ」と感じ入った次第。他のアンコールは、シベリウス「ピアノのための小品op76―10Elegiaco」とリスト「超絶技巧練習曲より 雪かき」。
 終演後の楽屋で少しだけ話をすることができ、「次回はぜひインタビューをしたい」と申し入れたところ、「こちらこそ、ぜひお願いします!」という返事が戻ってきた。この公演評は「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 今日の写真はその楽屋でのワンショット。

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posted by 伊熊よし子 at 21:46 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

松田華音

 12月1日、東京オペラシティコンサートホールで、松田華音のピアノ・リサイタルが開かれた。
 プログラムは、前半がチャイコフスキーの「四季」、後半がリストのピアノ・ソナタ ロ短調である。
 「四季」は、先日リリースされた新譜のライナーノーツを担当したため、録音はじっくり聴いていた(ユニバーサル)。ただし、ナマで聴くのはまた趣が異なっていて、それぞれの月の表現、自然描写がロシアの風土と自然、人々の営みを絵画的に描き出し、特有の情感を生み出していた。
 松田華音の演奏は、いつ聴いても、どんな作品を聴いても、そこには幼いころからロシアで研鑽を積んだ伝統的なロシア・ピアニズムの奏法が色濃く表れ、彼女の大きな特質となっている。
 一方、リストのロ短調ソナタでは、ダイナミックでヴィルトゥオーゾ的な表現と、繊細で静謐さを秘めた神秘的な表現のコントラストが際立ち、リストの奥深さを伝えた。
 アンコールはチャイコフスキー「ロマンス」、同「6つ小品」ナタワルツ、シチェドリン「ユモレスク」。
 デビュー当初から聴き続けているが、より大きく強く自信に満ちた演奏に変容し、たのもしい限りだ。 
 今日の写真は、終演後の楽屋でのワンショット。

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posted by 伊熊よし子 at 21:18 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

シブリアン・カツァリス

 先日、コンサート取材をして公演レポートを書いた記事が、ヤマハ「ピアニストラウンジ」にアップされた。
 ぜひ、読んでくださいね。
 
https://jp.yamaha.com/sp/pianist-lounge/report/cyprien-katsaris-piano-ricital/
 
posted by 伊熊よし子 at 15:49 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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