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ティボー・ガルシア

「天才ギタリスト」と称されるティボー・ガルシアが、4年ぶりに来日している。
 先日は「音楽の友」のインタビューを行い、久しぶりに楽しい時間を過ごすことができた。
 ティボーはとても率直で素直で自然体。その語りは音楽に通じ、会った人をみな笑顔にさせる。
 彼は、私が大好きなバリオスの作品を必ずといっていいほどリサイタルのプログラムに入れ、録音でも何曲か収録している。
 次作の録音も、バリオスの作品集だそうだ。
 今日はHakujuホールでリサイタルがあり、聴きに行ってきた。プログラムはベートーヴェンの「月光」やバリオスが編曲したショパンの前奏曲などが含まれ、前半はバリオスずくし。
 後半は得意とするスペイン作品がずらり。とりわけ「アルハンブラの想い出」が心に響いた。
 スペイン好きの私は何度かグラナダを旅しているが、ティボーの弾く「アルハンブラ」はかの地のさまざまな場所を蘇らせてくれ、それが走馬灯のように駆け巡り、涙が出そうなほどなつかしさでいっぱいになった。
 この人の弾くスペイン作品は、まいるなあ。あまりにも表現力が深く、描写的で、心がスペインに飛んでいってしまう。
 至福のときを過ごすことができ、この感動は何日間も忘れることができない。なんとすばらしいことか…。
 今日の写真は、インタビュー時の2枚。記事では、熱心に話してくれたバリオスの話を盛り込みたいと思う。

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posted by 伊熊よし子 at 23:55 | クラシックを愛す

スティーヴン・ハフ

 来日アーティストのコンサートが続くなか、実力派のピアニスト、スティーヴン・ハフが6月14日にトッパンホールでリサイタルを開いた。
 プログラムは前半が、モンポウ「魔法の歌」、ドビュッシー「版画」、ショパン「バラード第3番」「ノクターン第5番」。
後半がハフ「パルティータ」、リスト「巡礼の年第2年イタリアよりペトラルカのソネット、ダンテを読んで」。
 いずれも成熟した演奏で、あるべき音がそこにあるという説得力のあるピアニズム。こういうピアノを聴くと、何時間でも聴いていたくなり、さらに得意とするモンポウは、さまざまな作品を聴きたくなる。
 トッパンホールの親密的な空間に、ハフの円熟味あふれる音色は温かくヒューマンな響きとなってホール全体を満たし、磨き抜かれた音に全身が包まれる感覚を抱いた。
 この公演評は、いくつかの雑誌に書き分けすることになっている。
 今年は1月から何人かのピアニストのすばらしい演奏に触れているため、「音楽の友」の2023年コンサートベスト10のリスト出しに迷いそうだ。
 まだ半年あるから、もっとたくさんのいい演奏に出会いそう…。



posted by 伊熊よし子 at 21:56 | クラシックを愛す

東京文化会館小ホール

 東京文化会館小ホールは、すばらしい響きのホールである。
 親密的な空間で聴く演奏は、ひとつひとつの音が非常にクリアに聴こえ、ピアノはダイレクトに届き、弦楽器はやわらかな響きとなり、声楽は歌詞の発音が明瞭で、息遣いまで聴こえる。
 最近では、5月27日に「深沢亮子デビュー70周年記念 ピアノリサイタル2023」が行われ、ヴァイオリンの瀬川祥子、ヴィオラの安達真理、チェロの笹沼樹、コントラバスの大槻健とともにフンメルのピアノ五重奏曲変ホ長調作品87、シューベルトのピアノ五重奏曲イ長調「鱒」が演奏された。
 深沢亮子には何度かインタビューを行い、この公演に関しても話を聞き、それを記事にしているが、フンメルの作品はあまり演奏される機会がなく、とても貴重な体験となった。
 深沢亮子のピアノは成熟とか、円熟ということばでは表現しきれない奥深く洞察力に富む演奏で、ウィーン時代から演奏し続けているこれらの作品への愛情が詰まっていた。
 昨日は、「プロコフィエフ没後70年、滝千春が弾く新しい物語〜沼沢淑音と共に〜」と題し、ヴァイオリンの滝千春が子どものころから敬愛するプロコフィエフのデビューCDをリリースした記念コンサートが行われた。
 前半はカンチェリ、プロコフィエフ、シュニトケ、サイという重量級のプログラム。後半はR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタという構成だ。
 ファジル・サイの「内部奏法」のためにピアノを持ち込むというこだわりの姿勢を見せ、滝千春はCDもプログラムも解説を自身で綴っている。
 このホールはいずれの席も響きがよく、演奏家を間近に感じられるメリットもあり、上野駅すぐの前というアクセスもいい。
 また近々、コンサートに行きたいと思う。
posted by 伊熊よし子 at 18:39 | クラシックを愛す
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