ブログ

荘村清志

 ギタリストの荘村清志はいつ会っても話が弾む、とても親密的な雰囲気を備えた人である。
 彼は1969年にデビューし、リサイタルを行ってから今年で50年を迎える。これを記念し、5月からデビュー50周年記念コンサートツアーを行っている。
 2年ぶりの録音も行われ、いまもっとも弾きたいというバッハの「シャコンヌ」をメインに据えたアルバム、「シャコンヌ」を5月15日にリリースする(ユニバーサル)。
 先日、新譜に関するインタビューでまた話を聞くことができたが、いつものように選曲の理由、各曲にまつわる思い出、スペイン留学時代のこと、イエペスのことからデビュー以来の歩みまで、さまざまなことを話してくれた。このインタビューは次号の「CDジャーナル」(WEB)に書く予定である。
 もっとも印象的だったのは、スランプに陥ったときのこと。アーティストはあまり自身のマイナス面を語ろうとしないが、荘村さんはとても正直で、どんなに辛かったか、どうやってそこから這い出たかなど、当時の様子を率直に語ってくれた。
 音楽家もひとりの人間である。その生き方が演奏にリアルに現れる。荘村さんの生き方は、そのまま音楽となって私たちの心に届けられる。
 今回のメモリアルイヤーに登場した「シャコンヌ」は、そんな彼のこれまでの生き様が映し出され、情感豊かな響きが聴き手の心をとらえる。
 今日の写真は、ゆったりとした表情で雄弁に語る荘村清志。ちょうどインタビュールームにお花が飾ってあったため、一緒にパチリ。白いシャツと白のお花が見事にマッチしている。

y3244_R.jpg
 
 
posted by 伊熊よし子 at 22:49 | クラシックを愛す

河村尚子

「母は強し」というが、まさにそれを実感したのが、つい先ごろインタビューで出会った河村尚子だった。
 彼女に最後にインタビューをしたのは、約5年前。おなかが大きいときで、真夏の暑いときだった。
「もう5年前ですよ、早いですよね。あれから人生が大きく変わりました」
 久しぶりに会った彼女は、とてもはつらつとして明るく、その元気がこちらにも移ってくる感じだった。
 以前から河村尚子は地に足の着いた人で、国際コンクールを受けていたころには、あまりにもしっかりしているため、参加者たちに「お母さん」と呼ばれていたこともある。
 それが実際に母となり、なお一層その強さに拍車がかかり、演奏も性格も人生に対する考え方もより存在感と重量感が増し、インタビューの受けごたえも当意即妙。さすがである。
 新譜は「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ集第1弾」の「悲愴&月光、第4番・第7番」(ソニー)。
 ベートーヴェンのシリーズを始めたきっかけから選曲のこと、録音時の様子、各々の作品に関する解釈、表現、奏法など、さまざまなことを聞いた。
 このインタビューは「intoxicate」に書く予定になっている。
 この日は、深紅のドレスで現れた河村尚子。陽気で真摯で前向きな語りが、ドレスの色とあいまって、本当に晴れやかな感じだった。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。
「次は、5年も間が空かないうちに会いたいですね」といわれ、私は「もちろん!」と答えた。
 ホント、元気をもらえたひとときだった。

y3253_R.jpg
posted by 伊熊よし子 at 22:39 | クラシックを愛す

伊藤悠貴

 チェロは、私が大好きな楽器である。
 これまでさまざまなチェリストの演奏を聴いてきたが、3月29日に紀尾井ホールで行われた伊藤悠貴のチェロ・リサイタルは、輝かしい未来を予感させるもので、心が高揚した。
 伊藤悠貴は15歳からロンドン在住で、2010年にブラームス国際コンクール第1位に輝き、翌年には英国の最高峰・ウィンザー祝祭国際弦楽コンクールでも第1位を受賞している。
 英国王立音楽大学を首席で卒業し、ナイツブリッジ管弦楽団の芸術監督を務めている。
 当日のプログラムは、オール・ラフマニノフ。前半が、チェロとピアノのための2つの小品作品2(前奏曲、東洋の踊り)、幻想的小品集作品3(エレジー、メロディー、セレナーデ)、前奏曲作品23-10、ロマンス、6つの歌曲(朝、夜のしじま、リラの花、ここはすばらしい、夢、春の水)。後半はチェロ・ソナタ作品19という構成である。
 ピアノは、2017年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝した藤田真央。ふたりの俊英によるラフマニノフは、冒頭から最後まで聴きごたえ十分。みずみずしい才能を発揮した。
 伊藤悠貴のチェロは力強さと繊細さ、壮大さと緻密さ、語りと歌など、さまざまな相対する響きと表現が横溢し、いずれの作品も実に豊かな表情に支えられている。
 このオール・ラフマニノフ・プロは、28歳の昨夏、ロンドンのウィグモア・ホールで史上初の開催となったもの。なかなか聴くことのできないプログラムで、チェロの醍醐味を思う存分味わうことができる一夜となった。このリサイタルは「公明新聞」に公演評を書くことになっている。
 今日の写真は、終演後のふたり。この後、CDのサイン会が行われた。

y3237_R.JPG

posted by 伊熊よし子 at 23:12 | クラシックを愛す
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE
検索ボックス