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ニュウニュウ

 中国出身の「神童」と称されたピアニスト、ニュウニュウ(牛牛)に初めて会ったのは、初来日の2009年のことだった。
 当時、12歳。11歳でCDデビューを果たし、破竹の勢いで階段を駆け上がっている時期だった。
 そのときは演奏も聴き、レコード会社のコンベンションの司会なども担当し、一緒に食事にも出かけたが、とても明るく元気いっぱいで、「神童」というよりはやんちゃな少年という感じだった。
 ところが、数年後に会ったときは身長がかなり伸び、自信に満ちた表情をしていた。
 そして今日、久しぶりに会ったニュウニュウは、180センチを越す長身の、立派な大人のピアニストに成長していた。現在21歳である。
「もうジュリアード音楽院を卒業したんですよ」
 こういって、今後は先生に頼らず自分で音楽を作っていかなくてはならないと、強い意志をのぞかせていた。
 ニュウニュウは2018年9月19日、「リスト:ピアノ・ソナタ〜ヴィルトゥオーゾ&ロマンティック・ピアノ作品集」(Decca ユニバーサル)をリリース。曲目は、幼いころから弾き込んでいるメンデルスゾーンの「ロンド・カプリチオーソ」、もっとも好きだという作曲家、ショパンの即興曲第2番、第3番、ぜひ収録したかったというシューベルトの即興曲第3番、メインに据えたかったと語るリストのピアノ・ソナタと「ウィーンの夜会:シューベルトによるワルツ・カプリース第6番」という選曲である。
 今日は久しぶりの再会を喜び合い、インタビューは最初からスムーズに流れた。
 どんな質問にもていねいにことばを尽くして話してくれ、上達した英語で自身の感情、音楽に対する熱い思いを存分に表現した。このインタビューは、「東京新聞」の連載コラムに書く予定である。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。本当に大人になったよねえ。
 彼はとても礼儀正しく、思いやりがあり、ごく自然にふるまうため、会った人をみな魅了してしまう。
 2019年は日本ツアーを行うそうだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:55 | クラシックを愛す

ローマ歌劇場

 いよいよ、ローマ歌劇場の引っ越し公演が幕を開けた。
 昨日は初日のヴェルディ「椿姫」。ヤデル・ビニャミーニ指揮、ローマ歌劇場管弦楽団・合唱団・バレエ団、ソフィア・コッポラ演出、フランチェスカ・ドット(ヴィオレッタ)、アントニオ・ポーリ(アルフレード)、アンブロージョ・マエストリ(ジェルモン)という布陣だ。
 日本ではほとんどの人が初めて聴く歌手が多いと思うが、ヴィオレッタ役のドットはヴィオレッタが当たり役とのことで、非常に張りのあるのびやかな歌声の持ち主。演技力もあり、最後のシーンで彼女が亡くなる前にアルフレードを一途に思うアリアをうたい上げたときには泣いている聴衆もいて、これが「音楽の力」かと感慨深かった。
 アルフレード役のポーリは、もう何度もこの役をうたい込んでいるようで、最初から最後までヴィオレッタに愛を捧げる強い気持ちをひたむきに表現した。
 ジェルモン役のマエストリは非常に恰幅のいいバリトンで、堂々とした舞台姿と声量を誇る歌唱が光った。
 今回は、「ヴィオレッタを、私たちの時代に生きる女性として感じてほしい」というソフィア・コッポラの演出と、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの各々の幕に合わせたヴィオレッタの華麗で味わい深い衣裳が特徴。
 初日は出演者全員の緊迫感と集中力に満ちた舞台となり、ヴェルディの名旋律の数々に酔うことができた。
この公演評は、「公明新聞」に書くことにしている。
「椿姫」は9月12日、15日、17日と上演され、プッチーニの「マノン・レスコー」が16日、20日、22日と続く。
 昨日は、先日のクレモナ出張の際に通訳・コーディネーターを務めてくれたローマ在住のIさんと再会した。彼女は今回の公演では照明係の通訳を担当しているため、帰国していたのである。
 終演後、ふたりでスペイン料理を食べに行き、オペラの話、仕事、近況などの話に花が咲いた。

 
posted by 伊熊よし子 at 23:00 | クラシックを愛す

山田和樹

 指揮者の山田和樹の快進撃が続いている。
 2016/17シーズンからモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼音楽監督に就任し、2010年から17年まではスイス・ロマンド管弦楽団の首席客演指揮者を務めた。
 そして国内では日本フィルの正指揮者として、また東京混声合唱団音楽監督兼理事長を務ね、学生時代に創設した横浜シンフォニエッタの音楽監督としても活動している。
 この多忙な任務に、さらに2018年4月からは読売日本交響楽団首席客演指揮者に就任するというニュースが伝わり、ごく最近では2018/2019シーズンからバーミンガム市交響楽団の首席客演指揮者に就任することが発表された。
 いったいどのようにして、この過密なスケジュールをこなしているのだろうか。
 今日は日本フィルのリハーサル会場にお邪魔し、演奏前にインタビューを行った。
「そう、結構あちこち行き来が大変ですね。でも、バーミンガム市響が決まったときはすごくうれしくて、子どもがおもちゃを与えられたような気分でした。もちろん、オーケストラをおもちゃなんていったら失礼ですが、たとえ話として、そんなうれしさいっぱいの気分だったんです」
 山田和樹は、いつ会っても元気いっぱい。実に楽しそうに音楽について語ってくれる。
「本当はものすごく疲れているときでも、まわりから元気だねえといわれる。どうしてでしょう。伊熊さんだっていつも元気そうで、生き生きとしているじゃないですか。えっ、元気じゃない? そんなわけないでしょ。すごく元気に見えますよ。話していて、エネルギーが伝わりますし」
 こういわれちゃなあ。疲れているなんて、いえないし(笑)。
 山田和樹にはスイス・ロマンド管のポジションが決まったときにも話を聞いたが、そのときもバーミンガム市響と同様に、とても楽しいと話していた。
 いま振り返ると、このオーケストラとは本当に「いい仕事ができた」。さらに「学ぶことが多かった」「こういう音色を出すオーケストラは他にない」と述懐する。
 このインタビューは、次号の「日経新聞」の連載記事に書く予定である。
 彼はとても話しやすく、何を質問しても幅広い答えを戻してくれる。音楽がすべてという生活を送り、モンテカルロでは重責を担っているが、そういう話もさらりと語る。音楽監督ゆえ、大変な苦労を重ねているようだが、「これもすべて音楽のため」と割り切っている。
 現在は、日本フィル&東京混声合唱団と「アンセム・プロジェクト」を実践、世界のアンセム(愛唱歌)を2020年へ向けてシリーズ化している(キングレコード)。さらに日本音楽史を塗り替えた作曲家、「大澤壽人の芸術」(コロムビア)の作品もレコーディングしている。
 世界に飛翔する山田和樹の歩みは加速するばかり。だが、ご本人はとてもおだやかな口調で話し、すべての音楽を楽しんでいるという表情を崩さない。その演奏と同様、会った人を元気にさせてくれる人だ。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。リラックスした雰囲気、伝わるでしょう。

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posted by 伊熊よし子 at 22:44 | クラシックを愛す
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