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ミヒャエル・ザンデルリンク

  ザンデルリンク家の3男、ミヒャエル・ザンデルリンクが首席指揮者を務めるドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団とともに来日し、シューベルト、ベートーヴェン、ドヴォルザーク、ブラームスというプログラムでオーケストラとの絆の深さを披露した。
  ザンデルリンクは同オーケストラと8シーズン目を迎えるが、このシーズンで勇退し、今回の来日公演がこのコンビにおける最後のツアーとなる。
  私が聴いたのは、最終日の7月3日のサントリーホール。ブラームスのヴァイオリン協奏曲と交響曲第1番というプログラムで、ヴァイオリンのソリストはユリア・フィッシャーである。
  このフィッシャーのソロが非常に高度な演奏で、冒頭からフィナーレまでブラームスの作品の内奥に迫り、オーケストラをリードする姿勢を見せ、底力を示す演奏だった。
  ユリア・フィッシャーには、まだインタビューの機会がない。いつの日か、話を聞いてみたいアーティストである。
  後半のブラームスの交響曲第1番は、ザンデルリンクとドレスデン・フィルの8年間の集大成ともいえる説得力のある演奏で、旧東ドイツ時代からの伝統と歴史を感じさせる深々とした響きだった。
  翌日、ザンデルリンクがソウルに演奏旅行に発つ直前にインタビューに応じてくれ、2年前に続いて話を聞くことができた。
  偉大な指揮者である父親のクルト・ザンデルリンクの思い出、初めてドレスデン・フィルを振ったときのこと、子どもの時代にチェロから音楽を始めたこと、同オーケストラとのベートーヴェンとショスタコーヴィチの録音プロジェクトについて、幼いころショスタコーヴィチに実際に会ったときのことなど、さまざまな話を聞くことができた。
  このインタビューは、「音楽の友」に書く予定になっている。
  今日の写真は、スリムでスタイリッシュなザンデルリンク。今後は、しばらくいろんなオーケストラの客演指揮を行っていきたいそうだ。

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posted by 伊熊よし子 at 23:21 | クラシックを愛す

外山啓介

  ピアニストの外山啓介は、精悍な風貌の持ち主である。
  先日、インタビューに現れたときは、かなり髪が短くなり、アスリートのよう。
「かなりさっぱりしていますねえ」
  というと、
「ちょっと短くしたら、どんどん短くなってしまって…」
  と、笑っていた。
  彼は9月 28日にサントリーホールで、「バッハ  ベートーヴェン  ショパン」と題したピアノ・リサイタルを開く。
  今回はそのリサイタルについてインタビューをしたが、その後は話題がさまざまな方面に広がり、笑いの絶えない楽しいひとときとなった。
  このインタビューは、次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
   外山啓介にはデビュー当時から話を聞いているが、ご本人が「ようやく、自分のピアニストとしての活動が仕事として考えられるようになりました」というだけあって、地に足の着いた話し方になってきた。
  もちろん、キャリアを積み重ねてきたことが大きな要因だろうが、自身の内面をしっかり見つめ、それを演奏に反映させるべく日々努力をしている。そんなたのもしい話し方だった。
  私はひとりのアーティストを長く取材し、演奏を聴き続けてくることがもっとも大切だと思っているが、こういう外山啓介のような人に会うと、そうした自分の仕事の在り方が改めて問われる感じがする。
  彼は、レイフ・オヴェ・アンスネスを「神さま」のように思っているそうだ。音楽性も人間性も尊敬と憧憬の対象で、演奏を聴くたびに感動しているという。
 「今度、アンスネスに会ったら、それを伝えるワ。きっとすごく喜ぶと思う」
  というと、
「えーっ、恥ずかしいなあ。昔から本当に敬愛しているので。何もかも素敵ですよねえ」
  こりゃ、本物だ(笑)。うーん、アンスネスに早く伝えなくっちゃ。…
  今回のリサイタルは、J.S.バッハの教会音楽編曲版からスタートし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」が前半に演奏され、後半はショパンの「プレリュード 第25番」が置かれ、そしてショパンの「12のエチュード」に移る。
  いま、満を持して登場するエチュードである。これまで数曲は演奏してきたが、全12曲を演奏するのは初の試みとなる。
  写真は、熱くショパンを語ったインタビュー後の1枚。それにしても、髪、短かくなったよねえ。ピアニストはステージで汗びっしょりになるから、この方が楽かな。

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posted by 伊熊よし子 at 22:13 | クラシックを愛す

ミッシャ・マイスキー チェロ・リサイタル

 5月19日、ミッシャ・マイスキーのチェロ・リサイタルが竹田市総合文化ホール、グランツたけた 廉太郎ホールで開催された。ピアノは長女のリリー・マイスキーである。
 プログラムは、前半がマルチェッロ/バッハ編曲:アダージョ チェンバロ協奏曲BWV974より第2楽章、バッハ:ラルゴ(アリオーソ)チェンバロ協奏曲第5番BWV1056より第2楽章、モーツァルト:パミーナのアリア「愛の喜びは露と消え」(歌劇《魔笛》より)、そしてブラームスのチェロ・ソナタ第2番。
 後半がチャイコフスキーの四季より10月「秋の歌」、同6つの小品より「感傷的なワルツ」、そしてショスタコーヴィチのチェロ・ソナタ ニ短調。
 私が担当したプレトーク(プレセミナー)では、主としてブラームスとショスタコーヴィチの作品について触れ、マイスキーの生い立ちから生き方、音楽の方向性、素顔、エピソードなどを紹介した。
 実は、当日は雨模様で、プレトークを聴きにきてくれるお客さまはそんなに多くないのではないかとスタッフの方たちと話していたのだが、小ホールは開演前にすでに椅子をガンガン増やさなくてはならない状態となり、最終的には100人を超すお客さまがきてくれ、立ち見の人も出てしまった。
 私の持ち時間は40分。いつもの早口でさまざまな角度からマイスキーの音楽を紹介。みなさん、とても熱心に集中して聞いてくれ、終わってからそのままコンサートホールへと移動となった。
 写真は、プレトークの会場。

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 グランツたけたはとても美しい新しいホールで、音響がすばらしかった。最初は1階の中央あたりで聴き、後半は3階に移ったのだが、この階の音響が実に自然でまろやか。マイスキーの哀愁に富んだ歌心あふれる低弦の響きがステージからふわりと立ち上がってきて、そのえもいわれぬ美音に酔いしれた。
 写真は、ホールの外観。緑豊かな広大な敷地に、個性的な建物が映える。

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 ブラームスは、渋く内省的で情熱的な響きが全編を覆い、ショスタコーヴィチはまさにマイスキーの魂の叫びともいうべきヒューマンな演奏だった。
 当日の白眉は、アンコールの第1曲目に演奏された「荒城の月」(滝廉太郎作曲、寺嶋陸也編曲)。リリーのピアノが始まったときは、みんな何の曲だろうと耳を澄ませている感じだったが、チェロの主題が奏でられると、会場中がシーンと静まり返り、1音も逃すまいと集中力と緊迫感がみなぎり、そっと目がしらを押さえている人も多く、廉太郎ホールはまさしく新たな「荒城の月」で満たされていった。
 この「荒城の月」は、多くの人が「生きていてよかった」「死ぬほど感動した」というほどのインパクトの強さ。その後、マイスキーは鳴りやまぬ拍手に応えてサン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」よりアリア「あなたの声に私の心は開く」、ドビュッシーの前奏曲集第1巻より第12曲「ミンストレル」、クライスラーの「愛の悲しみ」、バルトークの「ルーマニア民俗舞曲」、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」と立て続けに演奏し、リリーとともに竹田の聴衆と一体となった。
 写真は、廉太郎ホール。

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 前日もそうだったが、この日もスタンディングオベーション。マイスキーは楽屋で「竹田のお客さまは、反応がすばらしい。みなさん、とても熱心で温かく、いつまでも弾いていたい気持ちになった」と絶賛。
 この日はプレトークのアンケートでもいい反応をいただき、コンサートは大成功。スタッフとみんなで喜び合った。
 今日の写真は終演後のマイスキーとリリー。彼は長い時間、ホールの外で待っていたファンにもサインをし、スタッフが用意したロビーのラトヴィアのグッズも写真に収めていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:09 | クラシックを愛す
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