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二コラ・アンゲリッシュ

  今週はピアノの演奏会が続いた。
  14日(月)は紀尾井ホールで藤田真央、15日(火)は同じく紀尾井ホールで二コラ・アンゲリッシュ、そして今日はサントリーホールで「クリスチャン・ツィメルマン ブラームスを弾く―室内楽プロジェクト」と題し、ツィメルマンがマリシャ・ノヴァク(ヴァイオリン)、カタジナ・ブゥドニク(ヴィオラ)、岡本侑也(チェロ)とともにブラームスのピアノ四重奏曲第3番、第2番を演奏するという初めての試みを披露した。
  藤田真央はチャイコフスキー国際コンクール入賞後のリサイタルにあたり、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンをプログラムに組み、自信あふれる演奏を聴かせた。
  今日のツィメルマンのブラームスは、彼がいまこういう仲間との室内楽を心から切望しているのだろうなと感じさせる演奏で、ふだんのソロやコンチェルトのときとはまたひと味異なる深々とした抒情を示し、新たなツィメルマンを聴く思いがした。
  二コラ・アンゲリッシュのリサイタルは、J.S.バッハとブラームスとベートーヴェンとシューマン。これがすこぶる心に響く演奏で、こういうなんのけれんみもなく、ただひたすら作品のすばらしさを前面に押し出すピアニズムに、心がほんのりと温かくなる思いがした。
  翌日、二コラ・アンゲリッシュにインタビューを行った。
  彼はアルゲリッチ、諏訪内晶子をはじめ共演者が手放しで賞賛するピアニスト。素顔はとても謙虚で、ひとつずつの質問にていねいに答えてくれる。新譜は1892年製プレイエル・ピアノを使用し、ロランス・エキルベイ指揮インスラ・オーケストラ(ピリオド楽器のオーケストラ)と共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、第5番「皇帝」(ワーナー)。
  まず、その録音の話題から入り、子どものころからの音楽の付き合い方、恩師のアルド・チッコリーニのこと、今後の予定、趣味まで幅広く聞くことができた。
  アンゲリッシュの両親と祖父母はさまざまな国と民族の血が入っているため、自身もいろんなルーツを受け継いでいるそうだが、若いころは「自分の根っこはどこにあるのか」と悩んだそうだ。
  子ども時代の話がとても興味深く、多分にナイーブでシャイな性格のようだが、子ども時代の話のときはゲラゲラ笑いながら楽しそうに話していた。  
  このインタビューは、「日経新聞」に書く予定にしている。
  今日の写真は、インタビュー中の1枚。なんでもヨーグルトが大好きだそうで、レコード会社から差し入れされたヨーグルトに大喜びだった。

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posted by 伊熊よし子 at 23:07 | クラシックを愛す

グザヴィエ・ドゥ・メストレ&ルセロ・テナ

  フランス出身で、ウィーン・フィルのソロ・ハーピストも経験しているハープのグザヴィエ・ドゥ・メストレが、「スペインの至宝」と称されるカスタネットのルセロ・テナと、10月8日に紀尾井ホールでデュオ・リサイタルを行った。
  このリサイタルに関しては、当初からチラシ原稿やプログラム原稿を担当してきた。
  メストレには以前インタビューをしたことがあり、テナの演奏は「ラ・フォル・ジュルネ」で聴いたことがある。
  プログラムはアルベニス、グリーディ、ソレール、タレガ、ファリャなど、スペイン色が濃厚。ほとんどがメストレの編曲によるもので、彼が旋律と伴奏を何い、そこにテナがリズムを刻んでいく。
  メストレは自身の編曲ということもあり、全曲暗譜。ハープのみの演奏もあり、以前より一段とテクニックと表現力がアップした上質な演奏を聴かせる。
  テナはハープの横に立ち、両手を前に出してハープの響きに合わせてカスタネットを鳴らす。この技法がすばらしく、会場全体がため息を漏らすほどである。
  カスタネットからこんなにも饒舌で深い表現力と躍動感に満ちた音楽が生まれるとは、驚きである。「ラ・フォル・ジュルネ」で初めて聴いたときも衝撃だったが、今回のステージではまさにこの楽器のイメージをくつがえす響きを聴くことができ、カスタネットの幅広い可能性を耳にする思いだった。
  この日は、コンサートが終わってから楽屋でふたりにあいさつをし、すぐにタクシーに飛び乗ってフジテレビまで行き、22時半からベルリンの樫本大進に電話インタビューを行った。
  来春来日のベルリン・フィルのことを聞くインタビューである。
  真夜中に帰宅したが、九州出張から休みがないため、心身ともに疲弊してしまった。
  少し、からだを休めないとダメみたい…。
  今日の写真は、終演後のルセロ・テナとグザヴィエ・ドゥ・メストレ。心に響く演奏をありがとう!!
  この公演評は公明新聞に書く予定である。

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posted by 伊熊よし子 at 23:31 | クラシックを愛す

中村太地

 先日インタビューを行い、さまざまな話を聞いた、2017年ブラームス国際コンクール優勝のヴァイオリニスト、中村太地。
 彼が9月29日サントリーホールで、「3大Bプロジェクト」と題するリサイタルを開いた。
 オープニングはJ.S.バッハのヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ第4番。共演のピアニスト、江口玲と密度濃い音の対話を繰り広げていく。
  次いで、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」が登場。この作品は、もう何度もさまざまなヴァイオリニストとピアニストで聴いてきたが、そのつど作品のすばらしさに心打たれる。  
  今回も、中村太地のみずみずしい音色と、若々しいエネルギー、ピアノとのはげしい掛け合いが全編を彩り、聴き手をベートーヴェンの奥深い部分へといざなっていく。
  後半は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」。ブラームス国際コンクールの覇者としての真価を発揮するぺく、全身全霊を傾けた演奏を行い、ブラームスの深々とした内省的で情感豊かな曲想をゆったりと紡いでいく。
  ただし、ヴァイオリンとピアノのデュオを聴くには、サントリーホールはちょっと大きすぎる感じだ。もう少し小さなホールの方が、両楽器のこまやかなニュアンスを聴き取ることができる。
  この公演評は、次号の「モーストリー・クラシック」に掲載される予定である。
  今日の写真は、終演後のまだ湯気が立っているような中村太地。今後は、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全3曲を、親密的なホールで聴きたいと願う。すでに録音はデビューCDとしてリリースされている(ビクター)。

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posted by 伊熊よし子 at 22:23 | クラシックを愛す
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