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伊藤悠貴

 チェロは、私が大好きな楽器である。
 これまでさまざまなチェリストの演奏を聴いてきたが、3月29日に紀尾井ホールで行われた伊藤悠貴のチェロ・リサイタルは、輝かしい未来を予感させるもので、心が高揚した。
 伊藤悠貴は15歳からロンドン在住で、2010年にブラームス国際コンクール第1位に輝き、翌年には英国の最高峰・ウィンザー祝祭国際弦楽コンクールでも第1位を受賞している。
 英国王立音楽大学を首席で卒業し、ナイツブリッジ管弦楽団の芸術監督を務めている。
 当日のプログラムは、オール・ラフマニノフ。前半が、チェロとピアノのための2つの小品作品2(前奏曲、東洋の踊り)、幻想的小品集作品3(エレジー、メロディー、セレナーデ)、前奏曲作品23-10、ロマンス、6つの歌曲(朝、夜のしじま、リラの花、ここはすばらしい、夢、春の水)。後半はチェロ・ソナタ作品19という構成である。
 ピアノは、2017年にクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝した藤田真央。ふたりの俊英によるラフマニノフは、冒頭から最後まで聴きごたえ十分。みずみずしい才能を発揮した。
 伊藤悠貴のチェロは力強さと繊細さ、壮大さと緻密さ、語りと歌など、さまざまな相対する響きと表現が横溢し、いずれの作品も実に豊かな表情に支えられている。
 このオール・ラフマニノフ・プロは、28歳の昨夏、ロンドンのウィグモア・ホールで史上初の開催となったもの。なかなか聴くことのできないプログラムで、チェロの醍醐味を思う存分味わうことができる一夜となった。このリサイタルは「公明新聞」に公演評を書くことになっている。
 今日の写真は、終演後のふたり。この後、CDのサイン会が行われた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:12 | クラシックを愛す

アンコールに魅せられて

 昨日と今日、コンチェルトの演奏後にソリストが弾いたアンコールに魅了されている。
 昨夜は、ファビオ・ルイージ指揮デンマーク国立交響楽団のコンサートで、ソリストのアラベラ・美歩・シュタインバッハ―がブルッフのヴァイオリン協奏曲を演奏した。
 ブルッフのコンチェルトはとても美しい第2楽章を備えた名曲。このコンサート・シリーズでは毎年プログラムのソリスト・インタビューを行っているため、彼女にもブルッフの作品の魅力を聞いていた。
 だが、私がアラベラの演奏に注目したのは、アンコールに演奏されたクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース」である。
 繊細で情感に富む彼女の弦の響きがサントリーホールの広大な空間にゆっくりと染み渡っていき、クライスラーとしてはとても珍しい無伴奏ヴァイオリン曲が、聴き手の心を潤した。
 次いで、今夜は東京文化会館にウラディーミル・ユロフスキー指揮ベルリン放送交響楽団を聴きに行った。ソリストはレイフ・オヴェ・アンスネスである。
 彼は昨年12月より右ひじの故障に悩まされ、今回のリサイタルをすべてキャンセルせざるを得なかった。しかし、コンチェルトだけは演奏可能ということで、当初のブラームスのピアノ協奏曲第1番からモーツァルトのピアノ協奏曲第21番に変更し、今夜のステージに立った。
 アンスネスは先月2月22日に、ベルリンでユロフスキー&ベルリン放送響との共演でこの作品を演奏して活動を再開。今回も曲目を変更して日本公演に臨んだわけである。
 もちろんそのモーツァルトはオーケストラとの呼吸もピタリと合い、かろやかで躍動感がある演奏で、ひじの故障を感じさせることなく、私は内心ホッとしたが、アンコールに登場したショパンの夜想曲第4番にすっかり魅了されてしまった。
 これは昨秋リリースされたショパン・アルパムに収録されている作品だが、ナマで聴くとアンスネスのショパンに対する深い敬愛の念が感じられ、その巨匠的なピアニズムに心打たれた。
 アンスネスには来週インタビューすることになっている。このショパンについても聞こうっと。
 
posted by 伊熊よし子 at 23:32 | クラシックを愛す

クリスティアン・アルミンク

 指揮者のインタビューは、とてもおもしろい。
 本人は音を出すことができず、オーケストラやソリストに演奏してもらわなければならないため、当然のことながら自身の音楽観を饒舌に語る人が多い。
 今日はウィーン生まれの指揮者、クリスティアン・アルミンクにインタビューを行った。
 彼は2003年から13年まで新日本フィルの音楽監督を務めていたから、日本にもファンは多い。片言の日本語も交え、楽しいインタビューとなった。
 現在はベルギー王立リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団の音楽監督を務め、このコンビで6月から7月にかけて初来日を果たすことになっている。
 そのリエージュのオーケストラについて、子どものころからの音楽とのつきあい方、指揮者になるまでのいきさつ、日本のとのかかわり、得意なレパートリー、リエージュのオーケストラを今後どのような方向にもっていきたいかなど、さまざまなことを聞いた。
 彼は日本の数字の表記にとても興味をもっていて、「ベートーヴェンのシンフォニー第3番」というとき、「ダイサンバン」とそこだけ日本語になる。日本語をもっと覚えたいそうだ。
 ウィーンは音楽の都ゆえ、幼いころから数多くの偉大な音楽家の演奏を聴いて育ったというが、もっとも印象に残っているのはカラヤンのリハーサルを聴いたときだそうで、「どうしたらあんなにすばらしい音をオーケストラから引き出せるのか、本当に不思議だ」といっていた。
 アルミンクは和食も大好きで、いま一番ハマっているのは「広島のお好み焼き」。「もうたまらないおいしさ」と目がウルウル。あまりにもイメージが異なるため、大笑いしてしまった。
「もっと気取ったお料理が好きかと思いました」というと、「いやいや、私はウィンナシュニッツェルばかり食べているわけではないんですよ」といい、いまもっともおいしいウィーンのレストランは「Huth」だと教えてくれた。市の中心にある、おいしくてリーズナブルなお店だそうだ。ウィーンに旅したら、ぜひアルミンクお薦めの「Huth」へどうぞ。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。「あっ、これいい写真だねえ」とご本人からOKが出ました。

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posted by 伊熊よし子 at 22:54 | クラシックを愛す
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