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イーヴォ・ポゴレリチ

  イーヴォ・ポゴレリチにインタビューするのは、本当に久しぶりである。
  以前は来日のたびに話を聞いていたが、最近は機会がなく、先日久しぶりに会うことができた。
  彼は長年ドイツ・グラモフォンで録音をしていたが、ソニーに移籍し、昨年8月21日にソニー・クラシカルからのデビュー・アルバムをリリースした。
  曲目はラフマニノフのピアノ・ソナタ第2番と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第22番、第24番という組み合わせである。
  今回のインタビューはその新譜の話を中心に、近況など幅広く聞いた。
  ポゴレリチは、一見すると非常にインタビューしにくいアーティストのように思える。気難しく、どんな質問を好むのか理解しにくいからである。
  しかし、長年に渡って彼に話を聞いてきたため、ごく自然に話に入ることができた。
  このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定にしている。
  ポゴレリチは、あるときからとてもリラックスした雰囲気をただよわせるようになった。もちろん、最初に来日したころはピリピリしていて、あまり雄弁ではなく、インタビューの部屋の空気は張り詰めたものだった。
  ところが、あるときからジョークをいうようになり、よく笑い、こちらの反応を見て話の方向性を幾重にも変えていくようになった。
  今回も、新たな話題が突然飛び出したり、これまで耳にしたことのないような内容を話し出したり、実に興味深いインタビューとなった。そのすべてを記事に反映させたいと思っている。
  なお、2月16日にはサントリーホールでリサイタルが予定されている。
  今日の写真は、インタビュー後のワンショット。この日はとても寒い日で、ポゴレリチはホテルのなかでも真っ赤なニット帽をかぶっていた。さすがに、写真を撮るときは外していたが…。

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posted by 伊熊よし子 at 21:55 | アーティスト・クローズアップ

古部賢一

 日本を代表するオーボエ奏者のひとり、古部賢一には、長年インタビューの機会がなかった。
 だが、なんと20年ぶりくらいに昨日会うことができた。
 「音楽の友」の次号の「マリアージュなこの1本」に出演してもらったからだ。
  このページは、アーティストがリラックスするときとか、演奏後などに「この1本」のお酒をたしなむというコンセプトで、インタビュー記事と写真で構成されている。
  これまではアーティストにおなじみのお店を紹介してもらい、編集者、カメラマン、私がそこに出向き、取材をするという形だった。
  ところが、古部さんは大の料理好き。というわけで、彼の自宅での取材となった次第である。
  これは初めての展開。彼は撮影のために腕をふるい、いろんなお料理を作って私たち取材班をもてなしてくれたのである。
  まだ雑誌が出版される前ゆえ、詳細は控えるが、そのお料理はどれも絶品。素材の味を生かした薄味で、とてもヘルシー。
  インタビューと撮影が終わって食事会となり、深夜までワイワイと楽しい雰囲気で美味なるお料理の数々をいただいた。
  演奏中ももちろん真剣な表情だが、調理をしている古部さんもまた真剣そのもの。
  インタビューでも幅広い話が飛び出したため、その雰囲気を伝えるべく、いい記事を書かなくてはならない。
  今日の写真は、カメラマンのヒダキトモコさんの要求に応えてポーズを取る料理中の古部さん。
  もう1枚は、肉料理にも魚料理にも合うと、最近ずっと愛飲しているというロゼワインと共に。表情がシブいよねえ、我ながらいい写真だ(笑)。

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posted by 伊熊よし子 at 23:26 | アーティスト・クローズアップ

ニュウニュウ

 若きピアニスト、ニュウニュウは会うたびに大きな成長を見せ、驚くばかりだ。
 私は11歳のころから取材を続けているが、2018年9月に新譜をリリースし、そのときに久しぶりに会ったら身長180センチを超える大人のピアニストになっていて、いやはや年月の経つのは早いとビックリ。
「久しぶりに来日したら、みんなに”背が伸びたねえ”といわれ、驚きの声ばかり。僕自身はちっとも変っていませんが、子どものころに会った人は僕を見てビックリするみたいですよ」
  今回は1年半ぶりだったため、そう驚きはしなかったが、もっとも変化していたのはインタビューに対する受け答えのすばらしさである。
  ニュウニュウはとても礼儀正しく、どんな質問にもことばを尽くしてしっかり答えてくれるが、今回はいずれも精神性の高さを示す適格な返答で、大きな成長を印象づけた。
  このインタビューは、次号の「音楽の友」に掲載される予定である。
  もっとも印象深かったのは、ごく幼いころから「神童」といわれ、世界各地で演奏してきたことに対する自分の気持ちを率直に表現したこと。
 「とても複雑な人生で、ことばでは表現できないほど難しいことがあり、辛かった」と話す。
  でも、いまは各地で演奏することにより、音楽で人々とのコミュニケーションがとれることに大きな意義を感じているそうだ。
  いろんなことを聞いたが、最後にいわれたひとことが、私の脳裏に深く刻まれることになった。
「デビュー以来、ずっと温かくサポートをしてくれて、本当に感謝しています。僕はデビュー10周年を超え、また新たなる10年、20年を見据え、前向きに生きていきたいと思っています。10年後、20年後もずっと応援してくださいね」
  いやあ、困った。20年後…、なんと返事をしたらいいのだろうか。仕事をしているのか、生きているのかもわからない(笑)。
  若いアーティストにこういわれちゃうと、返答に窮する。
  一応、「健康に気をつけ、頑張ってみます」と答えておいたが、こんなことをいわれたのは初めてゆえ、いまでもずっとそのことばが頭から離れない。
  今日の写真は、インタビュー中のニュウニュウ。う〜ん、印象に残る日だった。

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posted by 伊熊よし子 at 22:49 | アーティスト・クローズアップ
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