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ホアキン・アチューカロ

 1936年11月1日にスペイン・バスク州ビルバオに生まれたホアキン・アチューカロ(アチュカロ)が、長年演奏し続けてきたものの、録音を行わなかったショパンの作品集をリリースした(キングインターナショナル)。
「24の前奏曲」からスタートし、次いで「前奏曲嬰ハ短調」「前奏曲変イ長調」「幻想即興曲」「夜想曲第2番」「夜想曲第20番」が登場し、最後は「舟歌」でフィナーレを迎えるという選曲だ。
 冒頭から、あまりにも謙虚で真摯で内省的なショパンに、身も心も引き付けられ、最後まで頭を垂れて聴き入ってしまう。なぜこんなにも胸に響いてくる演奏なのだろうか。
 ルバートが絶妙で、ゆったりしたテンポのショパンに本来の作品の姿を見る思いだ。
 今日は、そのアチューカロのリサイタルが東京文化会館小ホールで行われ、前半がショパンの「24の前奏曲」だった。文化の小ホールの親密的な空間で聴くショパンは、まさに極上の音楽。
 後半は、アチューカロの独壇場のプログラム。「アラウンド・グラナダ」と題され、アルベニス、ファリャ、ドビュッシーが書いたグラナダにまつわる音楽が6曲披露された。
 グラナダを勝手に自分の故郷のように思っている私は、至福のときを味わった。1曲ごとに、グラナダの街並みや曲がりくねった迷路や白壁や輝く陽光を思い出し、心はグラナダへと飛翔していった。
 なんと味わい深い音楽を聴かせるピアニストだろうか。今回はインタビューする機会を逃したが、またすぐに来日予定があるそうなので、次回はぜひ話を聞きたいと思う。
 今日の写真は、プログラムの表紙と、ショパンのジャケット。
 CDにも収録されているが、今日のアンコールの最後に演奏されたショパンの夜想曲第2番は、ショパンの生家ジェラゾヴァヴォーラ村の緑豊かな景観を思い起こす、素朴で清涼な美しさに彩られていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:46 | アーティスト・クローズアップ

音楽事務所の新年会

 ついこの間、新年が明けたと思ったら、もう1月も3分の2ほど過ぎてしまった。なんと早いのだろう。昨日は音楽事務所ジャパン・アーツの新年会があり、所属アーティストも多数参加、にぎやかな会となった。
 今年開催される数々のコンサートの紹介があり、各々のアーティストの今年の予定も発表され、折しも来日しているアーティストの飛び入り参加もあり、まさにこれはサプライズとなった。
 スピーチするピエタリ・インキネン(指揮)と、クシシュトフ・ヤブウォンスキ(ピアノ)。
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 今日の写真は、新年会であいさつしながらワンショットで撮ったもの。一気に紹介しちゃいます。
 上から安藤赴美子(ソプラノ)、阪田知樹(ピアノ)、北村陽(チェロ)、鈴木優人(指揮、チェンバロ、オルガン、ピアノ、作曲)、松田華音(ピアノ)、木嶋真優(ヴァイオリン)、藤田真央(ピアノ)、大谷康子(ヴァイオリン)の各氏。今年もすばらしい演奏がたくさん聴けそうだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:21 | アーティスト・クローズアップ

藤田真央

 若きピアニスト藤田真央は、以前から注目しているアーティストである。
 今日はヤマハホールでリサイタルがあり、14時からの公演に出かけた。
 プログラムは、前半がモーツァルトの幻想曲ニ短調K.397、「デュポールのメヌエットの主題による9つの変奏曲」、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番。
 後半はシューベルトの3つのピアノ曲D.946、「さすらい人幻想曲」。
 まず、モーツァルトからゆったりとしたテンポの情感あふれる美しい音色が全開。近年、若手ピアニストはテクニックを前面に押し出し、スポーツカーのように疾走する演奏が多いが、藤田真央の演奏は実におだやかで、ひとつひとつの音が非常にクリアに聴き手のもとに届けられる。
 ヤマハホールは木造のやわらかい響きが特徴で、333席のぜいたくな空間で聴くと、ピアニストの息遣いまで聴こえくるようだ。
 藤田真央は、2017年のクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝の栄冠に輝いた。同コンクールの優勝者はみな柔軟性に富む美しい音色の持ち主で、音楽に対する熱き思いをけっして声高には表現せず、抒情的で内省的な演奏を特徴とする。
 クララ・ハスキルがモーツァルトを得意としたから、藤田真央もコンクールでモーツァルトを演奏したに違いない。今日のモーツァルトは、とても心に響き、幸せな気持ちにさせてくれた。
 ベートーヴェンは特に第3楽章のフーガが歌心に満ち、楽器を大きく豊かに鳴らす奏法が印象に残った。
 後半のシューベルトは、いまの藤田真央の心身の充実を示しているよう。彼はリートをうたうように旋律をたっぷりとうたい上げ、明るく晴朗な「3つのピアノ曲」で自身の歌を朗々と奏でた。
「さすらい人幻想曲」では、マレイ・ペライアが初来日したころの演奏を思い出した。作品に関してではなく、その奏法と解釈、聴き手に与える印象においてである。
 ペライアのような息の長いピアニストになってほしいと思う。
 今日の公演評は、「公明新聞」に書く予定である。 
posted by 伊熊よし子 at 23:25 | アーティスト・クローズアップ
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