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アンドレイ・ググニン

  ロシアは昔からピアニストの層が厚いことで知られるが、現在も次々に個性的な実力派が国際舞台に登場してくる。
  先日、1987年生まれのアンドレイ・ググニンにインタビューをしたが、彼もロシアの次世代のピアノ界を担うひとりとして、注目されている。
  彼はショスタコーヴィチの「前奏曲&ピアノ・ソナタ集」のアルバムをリリースしたばかり(東京エムプラス、輸入盤)。そのひとつひとつの作品について、ゆったりとした口調で、ことばを選びながら話してくれた。
  このインタビューは、「レコード芸術」に書くことになっている。
  ググニンは、人が選ばないような珍しい作品を演奏したり、埋もれた作品を発掘したり、個性的なプログラムを組むことが好きなようだ。
  過激なまでのプログラム構成と、熱く深く洞察力に富むピアニズムを聴かせるタイプだが、素顔のググニンはとても感じのいいおだやかなキャラクター。でも、内に秘めた音楽への情熱はふつふつと燃えたぎっているようだった。
  今回のアルバムは、ピアノ・ソナタ第1番、第2番、24の前奏曲、夜想曲(バレエ音楽《明るい川》より)という選曲。24の前奏曲が聴きどころ満載だが、ご本人は、あまり演奏される機会に恵まれないソナタ第2番をぜひ聴いてほしいと話していた。
「このソナタは、長大でとても難しい作品ですが、これを録音することは大きな意義があると思うのです」
  ロシア・ピアニズムに根差した伝統的な奏法は、モスクワ音楽院で磨き上げた賜物だ。
  今日の写真は、インタビュー中のワンショット。物静かに、ひとつずつの質問をじっくり考えながら、ていねいに答える。

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posted by 伊熊よし子 at 23:31 | アーティスト・クローズアップ

ベアトリーチェ・ヴェネツィ

  女性が指揮者になるのは、21世紀の現在でも、とても険しい道である。
  しかし、イタリア出身の若手指揮者、ベアトリーチエ・ヴェネツィはその高い壁をホップ・ステップ・ジャンプという形で見事に乗り越え、現在はイタリア・プッチーニ音楽祭首席客演指揮者、エレバン・アルメニア国立交響楽団副指揮者、ナポリ・オーケストラ・スカルラッティ・ヤング首席指揮者を務めている。
  そんなヴェネツィが、7月12日・13日新日本フィルハーモニー交響楽団のルビー〈アフタヌーン・コンサート・シリーズ〉の指揮台に立った。
  プログラムは、ニーノ・ロータの組曲「道」より抜粋、ヒナステラのハープ協奏曲(ソロは吉野直子)、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」全曲(ソロはメゾ・ソプラノの池田香織)という構成。
  ヴェネツィはたいていの女性指揮者がパンツスーツで登場するのに対し、ロングドレスで現れ、情熱的で躍動感あふれるタクトさばきを披露した。
  終演後、楽屋でインタビューを行った。
  オフステージでも、おしゃれなコットンのワンピースを着用し、「私は男性指揮者に負けまいと、自分を押し殺すようなことはしないの。あるがままの姿で指揮をしたい。だからドレスを着てステージに立つのよ」といっていた。
  ヴェネツィはプッチーニの生家のあるルッカ出身。私もルッカを訪ねたことがあるため、しばしプッチーニ談義となった。10月にはプッチーニのアルバムでデビューすることが決まっている(ワーナー)。
  彼女にとって、プッチーニはあこがれであり、尊敬の対象であり、彼の音楽は血となり肉となっているようだ。プッチーニの作品について語るとき、ヴェネツィの表情は明るく輝き、目の光が増すからだ。
  もちろん、女性が指揮者になることの難しさも十分に熟知しており、だからこそ頑張らなくてはならないと力を込めて語った。
  このインタビューは、「intoxicate」に書く予定になっている。
  実は、いまイタリアは文化的な予算が大幅に削られていて、クラシック音楽に関しても、オペラもオーケストラも存続が危ぶまれている危機的な状態だという。
「だからこそ、私は自分にできることは何でもやるの。私たちの世代が何とか道を拓いていかないと、ひどい状態になると思うわ。イタリアの音楽の伝統が失われてしまうことになりかねない」
  ヴェネツィは1990年生まれ。まだまだ若い指揮者である。しかし、現状を打破しようという気持ちはだれにも負けない。こういう人は、陰ながら応援したくなる。
  また、新譜がリリースされたときに、改めてその音楽について紹介したい。
  今日の写真は、インタビュー中のワンショット。話すときに顔の表情が幾重にも変化し、まるでオペラ歌手のようだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:53 | アーティスト・クローズアップ

中村太地

  2017年、うれしいニュースが飛び込んできた。
  ヴァイオリニストの中村太地が、ブラームス国際コンクールのヴァイオリン部門で、日本人初の優勝を遂げたのである。
  以来、ずっと中村太地に注目し、ナマの演奏を聴きたい、インタビューをしたいと思い続けてきた。
  先日、ついにその願いが実現。インタビューが行われることになり、彼に会いに出かけた。
  初めて会った印象は、「あれっ、リリースやコンサートのチラシの写真とはだいぶ違うなあ」というもの。
「実は、かなり太っちゃったんですよ。写真を撮ったころは結構やせていましたが、最近は食欲旺盛で、すっかり胃が大きくなっちゃって…」
  印象は異なっていたが、とても感じのいいナイスガイ。「やせなくちゃ」と何度もいっていた。
 でも、悪いことばかりではなく、体重が増えたことにより体力が増し、長時間の演奏が楽になったそうだ。
  中村太地は18歳よりウィーン国立音楽大学で研鑽を続け、現在はエリザベート王妃音楽大学において指揮者&ヴァイオリニストのオーギュスタン・デュメイにも師事している。
  今回は、デビュー・アルバム「ブラームス・ソナタ全集」(ビクター)江口玲(ピアノ)のこと、コンクールに関すること、子ども時代からの音楽とのかかわり方、趣味の野球、ヨーロッパでの生活、デュメイの指導法、今後の歩みなどを聞いた。
  このインタビューは、私のHP「音楽を語ろうよ」に書く予定である。
  やはりブラームスが大好きなようで、ブラームスの話になると一気に口調が熱気を帯びる。9月29日にサントリーホール、10月5日にザ・シンフォニーホールで江口玲とのリサイタルが予定され、そこではJ.S.バッハの「ヴァイオリンとハープシコードのためのソナタ」第4番、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番「雨の歌」がプログラムに組まれている。
  今日の写真はインタビュー後のワンショット。愛器の1828年製J.B.ヴィオーム(フランス)とともに。

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posted by 伊熊よし子 at 22:44 | アーティスト・クローズアップ
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