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上杉春雄

 今日は、久しぶりにピアニストであり医学博士でもある上杉春雄にインタビューで会うことができた。
 彼は2011年にJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集第1巻」をリリースしており、リサイタルでもバッハを弾き続けている。
 今回完成させた録音は、「ゴールドベルク変奏曲」(オクタヴィア・レコード)。ライナーノーツも執筆し、そのなかでさまざまな角度からバッハを検証し、奥深い面に肉薄し、演奏とともにバッハを掘り下げている。
 今日のインタビューは、次号の「ぶらあぼ」に書く予定になっている。
 話は、上杉春雄がこれまで探求してきたバッハ論から作曲家本人のこと、バッハの時代について、作品における構造について、バッハが「ゴールドベルク変奏曲」でいいたかったことまで多岐に渡り、約束の1時間をはるかに超える熱いインタビューとなった。
 彼の話は多角的で多方面に広がり、はてしなく続いていくように思われた。自分で「オタク」と表現していたが、バッハに関しても、非常に専門的で濃密な内容を内包している。
 こういう話をどのように原稿にまとめるか、非常に頭を悩ませるところである。読者にわかりやすいように、しかも上杉春雄の真意に沿って綴らなくてはならない。
 最後にブログ用に写真を撮ろうとしたら、すごく明朗で歓喜に満ちた表情をしてくれた。
「今日は、とても楽しく話ができたので…」
 話の内容は非常に真摯で深遠で難解な面もあったのに、「楽しかった」と笑顔を見せてくれたため、ホッと安堵した次第である。
 写真は、その楽しそうな表情。さて、また時間をかけてゆっくり「ゴールドベルク変奏曲」に耳を傾けるとしましょうか。

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posted by 伊熊よし子 at 23:35 | アーティスト・クローズアップ

クレモナ四重奏団

 クレモナから戻り、弦楽器関係の仕事が続いている。
 昨夜は、樫本大進&キリル・ゲルシュタインのデュオ・リサイタルを聴きに東京オペラシティコンサートホールに出かけた。
 この演奏会のプログラムの大進の記事を書いたため、かなり前からコンサートを楽しみにしていた。
 曲目はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第2番からスタート。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第3番へと続き、後半はモーツァルトのヴァイオリン・ソナタ変ロ長調K.378、R.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ変ホ長調で幕を閉じるという趣向だった。
 これまで大進が何人ものピアニストと組んだデュオを聴いてきたが、キリル・ゲルシュタインはまったく異なる個性と表現とテクニックを備えたピアニストだった。
 ふたりは昔からの音楽仲間だそうだが、リサイタルで共演するのは初めて。ゲルシュタインはジャズを学んでいたこともあったという個性派で、クリアで躍動感あふれるピアニズムの持ち主。この夜のデュオは、R.シュトラウスのソナタが秀逸だった。
 終演後、ベルリン取材以来だったため、「家庭画報」のSさんと一緒にそのときのお礼とあいさつに楽屋に伺った。彼は自然なダイエットが功を奏し、かなり体重が落ちたそうだ。
 そして今日は、クレモナ四重奏団のインタビューにレコード会社に出向いた。
 開口一番、「先日、クレモナに取材に行ったんですよ」というと、4人は口をそろえて「ものすごく暑かったでしょう」といった。でも、今日は東京もハンパではない暑さだもんね。
 クレモナ四重奏団は、2012年から2015年にかけて、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲録音を敢行している(キングインターナショナル)。それを聴かせてもらったが、実にみずみずしく自由闊達で、型にはまらないのびやかな演奏である。
 インタビューでは4人がそれぞれの役割、ベートーヴェンの作品に対する思い、録音で得たもの、クレモナ四重奏団の今後などについてジョークを交えながら雄弁に語ってくれた。
 クァルテットのインタビューというと、いつもはとてもシリアスで哲学的な話に終始するのだが、さすがイタリアのクァルテットだけあって、陽気で愉しく、笑いが絶えなかった。
 このインタビューは、次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 今日の写真はそんな4人。左から第1ヴァイオリンのクリスティアーノ・グァルコ、ヴィオラのシモーネ・グラマーリャ、第2ヴァイオリンのパオロ・アンドレオーニ、チェロのジョヴァンニ・スカリオーネ。
 いまは日本音楽財団から貸与された、アントニオ・ストラディヴァリの製作による「パガニーニ・クァルテット」の4挺の楽器を使用している。

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posted by 伊熊よし子 at 23:59 | アーティスト・クローズアップ

ヴァディム・ホロデンコ

 ウクライナ出身のピアニスト、ヴァディム・ホロデンコには数年前にインタビューをしたことがあるが、今日は再会して新譜について話を聞いた。
 彼はモスクワ音楽院で、名教授と称されたヴェーラ・ゴルノスタエヴァに師事している。その教えについて、新譜のオール・スクリャービンのアルバムについて(キングインターナショナル)、スクリャービンの選曲について、子ども時代のことなど、いろんな話を聞くことができた。
 このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定になっている。
 もっとも印象に残ったのは、ゴルノスタエヴァの「知性を磨きなさい」という教え。彼女自身、非常に幅広い視野の持ち主で、音楽のみならず多方面に広い知識をもっていたという。
「ですから、ぼくも作品を学ぶときに楽譜を深く読むことと同時に、その作品が生まれた時代のことを幅広く知るように努力しています」
 ホロデンコの作品に対する考えは、かなり深く広く層が厚い。それらすべてが演奏に厚みをもたせている。
 以前、プロコフィエフの話を聞いたときも、自身のプロコフィエフに対する考えをじっくりことばを尽くして語ってくれた。
 誠実で真摯で、まっすぐに音楽と対峙するピアニストである。
 今日の写真はファツィオリのピアノに向かうホロデンコ。「スクリャービンは音の響きが大切。ファツィオリのピアノに出合って、それらの響きを十分に表現することが可能になると思い、今回の録音はファツィオリで録音した」と話していた。

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posted by 伊熊よし子 at 22:36 | アーティスト・クローズアップ
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