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カルテット・アロド

フランスからはモディリアーニ弦楽四重奏団、エベーヌ弦楽四重奏団をはじめ、若手カルテットが次々に国際舞台へと出現してくる。
 2013年に結成され、翌年から次々に国際コンクールで第1位を成し遂げ、2016年ミュンヘン国際音楽コンクールで優勝の栄冠に輝いたカルテット・アロドもそのひとつ。ミュンヘン・コンクールは、どの部門もなかなか第1位を出さないことで知られる難関のコンクールである。
 メンバーはジョルダン・ヴィクトリア(ヴァイオリン)、アレクサンドル・ヴ(ヴァイオリン)、コランタン・アパレイー(ヴィオラ)、サミー・ラシド(チェロ)。グループ名の「アロド」とは、「ロード・オブ・ザ・リング」に登場する馬の名前だそうだ。
 彼らが4年前に出会ったときに初めて一緒に演奏したのが、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第2番イ短調作品13。それゆえ、デビュー録音ではメンデルスゾーンを収録するのは当然のことに思えたという。
 デビューCD「メンデルスゾーン」(ワーナー)は、弦楽四重奏曲第4番ホ短調作品44-2、弦楽四重奏の4つの小品作品81、メゾ・ソプラノのマリアンヌ・クレバッサをゲストに迎えた「12の歌」作品9-1「問い」が収録されている。
 弦楽四重奏曲が大好きな私は、カルテット・アロドの録音を初めて聴いたときから、強く惹かれるものを感じた。彼らの演奏は各々の主張が強く、4人とも自身の音楽を確固たる姿勢で貫いているが、そのなかで4つの弦楽器がときにお互いの音に寄り添い、融合し、あるときは断固として主張を貫いている。
 もちろん、聴こえてくるのは弦の音色だが、あたかもオペラの四重唱を聴いているような感覚を抱き、心が高揚していく。
 先日、初来日のカルテット・アロドにインタビューを行い、昨日は王子ホールに演奏を聴きにいった。インタビューのときは、ヴィオラのコランタンが体調を崩して参加できず3人だったが、音楽を始めたときの話、グルーブを結成したときのこと、メンデルスゾーンの作品とのかかわり、各々の子ども時代のことや家族のこと、ミュンヘン・コンクール後の活動に関してなど、幅広い話を聞くことができた。
 このインタビューは、「日経新聞」と私のHP「音楽を語ろうよ」に書く予定である。
 昨日のコンサートは、前半がモーツァルトの弦楽四重奏曲第15番ニ短調K.421から始まり、現代フランスの作曲家バンジャマン・アタイールの{弦楽四重奏のための《アスル》(午後の礼拝)」(カルテット・アロドのために2017年に書かれた作品)が演奏された。
 後半は、いよいよメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第2番の登場。まさしく手の内に入った自家薬籠中の作品で、みずみずしいアンサンブル、4つの弦の見事な融合を聴かせ、圧倒的な存在感を放った。
 彼らはこの作品こそ自分たちのすべてを表現することができるもので、いずれのコンクールでも演奏してきたそうだ。その代名詞的な作品を演奏する4人は、他の作品とは異なり、大いなる自信がみなぎっていた。
 今日の写真は、インタビュー時の3人と、昨夜のコンサート後にサイン会の準備をしている4人。

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posted by 伊熊よし子 at 22:51 | アーティスト・クローズアップ

ヤン・リシエツキ

 ポーランド人の両親のもとカナダに生まれたヤン・リシエツキは、10代前半からめきめきと頭角を現し、2011年、15歳のときにドイツ・グラモフォンと契約するという快挙を成し遂げた。
 以後、ショパン、シューマン、モーツァルトなどのアルバムをリリースし、若き才能を遺憾なく発揮している。
 今回の来日で久しぶりに会ったリシエツキは、22歳の輝かしいオーラを放つ国際的なピアニストに成長していた。
 最新録音は、「アンダンテ・スピアナートと華麗なるポロネーズ他〜ショパン:ピアノと管弦楽のための作品集」(ユニバーサル)。クシシュトフ・ウルバンスキ指揮NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団との共演である。
 昨日は彼にインタビューを行い、ショパンのこと、ここ数年の活動の様子、今回の来日プログラムの組み立て、次なるレコーディングなど、さまざまなことを聞いた。このインタビューは、次号の「intoxicate」に書く予定になっている。
 そして今日は、紀尾井ホールでリサイタルが行われた。
 プログラムは前半がショパンの「夜想曲」第15番、第16番、シューマンの「4つの夜曲」作品23、ラヴェルの「夜のガスパール」、後半がラフマニノフの「幻想的小品集」作品3、ショパンの「夜想曲」第19番と「スケルツォ」第1番という凝った構成。あまり演奏される機会に恵まれない作品も含まれ、そうした曲を紹介していくのが「ピアニストとしての自分の使命」だと語っていた。
 いずれもリシエツキの鍛え抜かれたテクニックと、みずみずしい音色と躍動感に満ちたリズム感が横溢する演奏だったが、やはり出色はショパンの「スケルツォ」第1番だった。
 リシエツキのショパンは、やはり血で奏でるといおうか、からだの奥から自然に湧き出てくるような音楽性に満ちている。彼はインタビューでも、ショパンの作品にまつわる舞曲の要素や、エディションに関しても雄弁に語った。
 こういう若き才能は、ぐんぐん成長し、変貌を遂げ、以前聴いたときとはまったく様相が変化していることが多い。それゆえ、またすぐにでも来日してほしいと思う。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。髪型もすらりとした容姿も以前とは変わっていなかったが、顔つきがすっかり大人になり、国際舞台で活躍しているという自信にあふれた目をしていた。

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posted by 伊熊よし子 at 23:52 | アーティスト・クローズアップ

フィリップ・ジョルダン

 昨日は、来日したばかりのフィリップ・ジョルダンを囲んで、記者懇親会が行われた。
 フィリップ・ジョルダンは、11月26日から12月3日まで、首席指揮者を務めているウィーン交響楽団とともに全国7公演を行うことになっている。
 今回のプログラムは、樫本大進をソリストに迎えるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲、ブラームスの交響曲第1番、マーラーの交響曲第1番「巨人」、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」など、同オーケストラの得意とする作品が組まれている。
 その作品について、オーケストラの現在の状況、マエストロ・ジョルダンの今後の活動に関してなど、幅広い話題が出る記者懇親会となった。
 とりわけ、ウィーン交響楽団ならではのベートーヴェンの演奏に関する話題に花が咲いた。
 ジョルダンは、現在パリ国立オペラ座の音楽監督としてオペラの世界でも大活躍をしているが、2020年のシーズンよりウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任することが決まっている。まさに、大きなステップアップであり、世界中が注目している。
 それに関しては、「大きな課題が要求されることになるため、3年後のステップに向けて万全の準備をしたい。わくわくする思いだ」と語った。  
 ウィーン交響楽団はいま自主レーベルを立ち上げ、ジョルダンとともにベートーヴェンの交響曲全集の録音に着手している。そのレコーディングに関しては、マネージング・ディレクターのヨハネス・ノイベルト氏が詳細を説明した。
 ジョルダンは、今春パリ国立オペラ座管弦楽団とムソルグスキー/ラヴェル編の「展覧会の絵」とプロコフィエフの交響曲第1番「古典交響曲」をリリースしている(ワーナー)。
 この懇親会の記事は、私のHP「音楽を語ろうよ」などで紹介するつもりだが、レコーディングに関しても取り上げたいと思っている。
 コンサートは12月1日のサントリーホールに聴きに行く予定である。
 今日の写真は、マエストロ・ジョルダンとノイベルト氏。 

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posted by 伊熊よし子 at 22:49 | アーティスト・クローズアップ
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