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ローレンツ・ナストゥリカ

 セルジュ・チェリビダッケのオーディションに受かり、1992年からチェリビダッケが亡くなる1996年までの4年間、ミュンヘン・フィルのコンサートマスターとして巨匠とともに演奏してきたローレンツ・ナストゥリカ。
 今日は、来日中のナストゥリカにインタビューを行い、チェリビダッケの思い出、その音楽性、巨匠の素顔、リハーサルの様子から、現在のミュンヘン・フィルの活動まで、さまざまな話を聞いた。
 ナストゥリカは体格が非常によく、陽気で大声でよくしゃべる。一度、興味のある話題に触れると、ずっと話していて、止まらなくなる。
 チェリビダッケをずっと敬愛し、彼の音楽と教えを守り続け、ミュンヘン・フィルの次世代のメンバーにも継承していきたいと、熱弁をふるった。
 チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルの録音は、彼が録音をあまり好まなかったったため、そう多くはないが、これから徐々に貴重な録音がリリースされる予定である(ワーナー)。
 チェリビダッケに関しては興味深い話がたくさん飛び出し、時間が足りないほどだった。
 もちろん、ナストゥリカ自身のキャリアや現在のオーケストラの様子も話題となり、いまのシェフ、ワレリー・ゲルギエフとの絆についても話に花が咲いた。
 このあと、音楽仲間と焼肉を食べにいくことになっているそうで、「早く食べたい、たくさん食べたい、ああ、待ち遠しい」と、途中からそればかり。
 いろんな話を聞いたからいいけど、1時間近くたったら、「これで、おしまい!」と自分からインタビューを切り上げ、「焼肉、焼肉」と明るく叫びながら、部屋をあとにした。
 ナストゥリカの話を聞いていると、いまのミュンヘン・フィルの演奏をすぐにでも聴きたくなる。それほど、このオーケストラの特質を自慢げに話してくれた。
 このインタビューは、「CDジャーナル」に書く予定になっている。数々の興味深い話が出たため、すべて書きたいが、さて、ページはどのくらい取れるだろうか…。
 今日の写真は、ブログ用の写真を撮ろうとしたら、さっと「CDジャーナル」を抱えてポーズ。サービス精神旺盛である。
 さすがに長年ミュンヘン・フィルのコンサートマスターを務めているだけあって、人を惹きつけ、場をなごませ、空気を変える力を有する。今後の録音が楽しみである。すごいシリーズが予定されているんですよ。


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posted by 伊熊よし子 at 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ

アンジェラ・ヒューイット

 カナダ出身のピアニスト、アンジェラ・ヒューイットは、長年J.S.バッハの作品を演奏し、世界中で高い評価を得てきた。
 バッハを主軸に幅広いレパートリーを誇り、ドイツ・オーストリアからフランス、スペインまでさまざまな作品を演奏し、各地からひっぱりだこの人気である。
 そんな彼女が、スカルラッティのソナタ集Vol.2をリリース(東京エムプラス)。今日は、その新譜の話を聞きに、ファツィオリのショールームに出かけた。
 ヒューイットは、ロンドンとオタワ、そしてイタリアのウンブリア州にも居を構えている。オタワは出身地であり、ロンドンは活動の拠点。そしてウンブリア州では、「トラジメーノ音楽祭」の芸術監督を務めている。
 今日は、スカルラッティの話のなかで、イタリアに住むことでスカルラッティの気質に近づけるという話題になり、しばしイタリア談義となった。
 もう音楽祭は13回を迎えるそうで、徐々に規模が大きくなっているという。そして、私がぜひ聴きにいきたいといったところ、来年ヴェネツィアで開催するという新たな音楽祭の話が出た。
 ヒューイットのスケジュールはハンパではない。世界各地で演奏し、マスタークラスで指導し、音楽祭を主宰し、録音もひっきりなしに行っている。
「どうやって体調を維持しているんですか」と聞くと、「そうねえ、本当に忙しいけど、好きな音楽に身を投じているから、過密なスケジュールがこなせるのかも。でも、時差だけは弱いのよ」といっていた。
 インタビューは、スカルラッティからライフワークのバッハに移り、各作品の解釈や表現、版の話まで発展。さらにファツィオリのピアノの魅力を熱く語った。このインタビューは「レコード芸術」に書くことになっている。
 ヒューイットは、9月13日と14日、紀尾井ホールでバッハの「パルティータ」を2夜に渡って演奏する。
 これは2016年秋にプロジェクトを発表し、向こう4年間に渡り、バッハのソロ鍵盤音楽のすべてをロンドン、ニューヨーク、オタワ、東京、フィレンツェの各都市で、各々12回公演で完奏するという「バッハ・オデッセイ:バッハ遍歴の旅」の東京におけるリサイタル。
 バッハは長年さまさまな作品を弾いているが、「けっして同じ演奏はしない」と明言していた。「パルティータ」が楽しみである。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。とてもお洒落で、物腰もエレガント。しかし、ピアノにかけるエネルギーは強靭なものを備えている。
「ヴェネツィアの音楽祭の予定が決まったら、メールするわね」といい、「よかったら、聴きにきて?」と笑顔を見せながら、インタビュー会場をあとにした。
 そりゃあ、いきたいのはやまやま。でもねえ、無理ってもんでしょ(笑)。


 
 
 
 

 
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posted by 伊熊よし子 at 23:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ

セルゲイ・カスプロフ

 ロシア・ピアニズムの真の継承者だが、伝統に自由さを加えたユニークな奏法を得意とするセルゲイ・カスプロフ。
 彼の演奏は旧ソ連の響きを備えているといわれ、2008年のリヒテル国際ピアノコンクールでは、審査委員長を務めたヴァレリー・アファナシエフに絶賛され、モスクワ市政府賞を受賞した。このほかにも、数々のコンクールで入賞に輝いている。
 初来日は2015年。ピアノ好きをうならせる個性的で深い思考に根差した演奏を披露し、一気にファン層を広げた。
 今日は3度目の来日を果たし、東京文化会館小ホールでリサイタルが行われた。
 カスプロフは常に作品と作品の間に関連性を持たせたプログラムを組んでいるが、今回は「3つのソナタと変奏曲」と題し、前半にハイドンの「アンダンテと変奏曲 ヘ短調」とベートーヴェンのピアノ・ソナタ第23番「熱情」を組み、後半はベルクのピアノ・ソナタ作品1とリストのピアノ・ソナタ ロ短調が演奏された。
 いずれも楽器を存分に鳴らし、豊かな歌を奏でる強音と頬をなでる微風のような弱音が交錯するもので、ダイナミズムの広さが印象的。確かにピアノを弾いているのだが、その演奏からは多彩な楽器の響きが聴こえ、あるときはシンフォニーのようでもあり、ときにオペラのようでもある。
 極度の集中力に支配され、ステージに登場する様子も演奏中も、余分なパフォーマンスはいっさいなし。ただひたら音楽に身を捧げる修行僧のようでもある。
 変奏曲とソナタ3曲を聴き、こちらも集中力を要求されたためか、アンコールでは一気に開放された。曲は、ショパンの「スケルツォ 第1番」、スカルラッティのソナタ ホ長調、ヴィラ=ロボスの「赤ちゃんの一族 第1組曲」より「道化師」。
 カスプロフはスカルラッティを好んで演奏しているが、今日の演奏もピアノの響きを存分に生かした、生き生きとしたスカルラッティだった。
 この後、銀座のヤマハのスタジオに場所を移してインタビューを行った。
 彼は、モスクワ音楽院でアレクセイ・リュビモフに師事し、現在は恩師の助手を務めている。それゆえ、ロシア・ピアニズムの源流について、その伝統の継承について、さらに子ども時代のピアノとのかかわり、プログラムの考察など、さまざまな角度から話をしてもらった。
 演奏は非常に尖鋭的で旧ソ連の空気を伝えるものだが、素顔はとてもおだやかで真摯で話好き。とても時間内では語りきれないというように、雄弁に話してくれた。
「じゃ、その続きは、また今度の来日時に話してくださいね」
 こういうと、「2019年にまたきますよ」とのこと。
 このインタビューは、ヤマハのWEB「ピアニスト・ラウンジ」に書く予定である。
 今日の写真は、ピアノに向かうカスプロフ。私が今回のプログラムの関連性について聞くと、すぐにピアノのところにいって、「ほら、この曲のここと、この曲のここは似ているでしょう」と、実践で聴かせてくれた。




 リサイタルでは、とてつもなく長い指の持ち主だと思ったが、彼は足も細くて長い。その長身を折り曲げるようにして、ピアノと対峙する。



 もう1枚は、「ブログ用に写真をください」といって撮影した1枚。カメラマンのMさんが、照明を工夫してくれたため、本人も「おおっ」と喜びの声を上げたほど、いい表情に撮れた。



 カスプロフは録音にも積極的で、古楽器も演奏するためレパートリーは膨大。それらを次々にレコーディングしている。
タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 22:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ
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