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ウィーン交響楽団

 6月2日、すみだトリフォニーホールにペトル・ポペルカ指揮ウィーン交響楽団を聴きに行った。
 プログラムは、前半がドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」、ラヴェル:ピアノ協奏曲(ピアノ:角野隼斗)、後半が後半がドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」。
 私はドヴォルザークの作品を聴くと、ずいぶん前に訪れた作曲家のネラホゼヴェスの生家が脳裏に浮かんでくる。この日も「新世界」を聴いているときに、生家の周囲の空気が思い出され、えもいわれぬなつかしさで胸が一杯になった。
 ポペルカはチェコの出身であり、弦楽器の渋くほの暗い音色、管楽器の輝かしく豊かな響きなどがドヴォルザークの特質をよく表していて、音楽に浸ることができた。
 角野隼斗はラヴェルのコンチェルトを今回ツアーで8回演奏しており、この日が最終日。オーケストラとの呼吸もピッタリで、実に楽しそうだ。
 もっとも印象的だったのは、アンコールに登場したガーシュインの「パリのアメリカ人」より抜粋。オケのメンバー3人とアンサンブルを行い、やんやの喝采を浴びた。
 オーケストラのアンコールは、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」op.72-2とJ.シュトラウス「雷鳴と電光」。
 プログラムのプロフィールを見て知ったのだが、ポペルカは2010年から2019年までシュターツカペレ・ドレスデンで副首席コントラバス奏者を務めていたそうで、2019/20シーズンに指揮者としてキャリアを開始したそうだ。いまやオペラとシンフォニーの指揮者として大活躍。最近はすばらしい才能を備えた若手指揮者が次々に登場してくるが、ポペルカもそのひとりだ。
posted by 伊熊よし子 at 23:12 | 日々つづれ織り

稲沢朋華

 昨日は、ヤマハ銀座コンサートサロンに稲沢朋華のピアノコンサートを聴きに行った。
 2025年第49回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、聴衆賞、オンライン聴衆賞第1位、文部科学大臣賞など各賞受賞の記念公演である。
 プログラムは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」から開始し、メンデルスゾーンの「厳格な変奏曲」へと移り、後半はシューベルトのピアノ・ソナタ第21番という構成である。
 こうした若手ピアニストの演奏を聴くと、これからいかようにも変貌し得る可能性を感じ、何年か後にまた聴いてみたいと思う。
 この公演評は、「ピアノの本」に書く予定になっている。
 
posted by 伊熊よし子 at 23:22 | 日々つづれ織り

シャルル・リシャール=アムラン

 私は「大人の音楽」を演奏するタイプのピアニストが大好きなのだが、2015年のショパン・コンクールで第2位に輝いたカナダのシャルル・リシャール=アムランもそのひとりだ。
 2016年の初来日時にはインタビューも行い、以来ずっと演奏を聴き続けてきた。
 昨日はヤマハホールでリサイタルがあり、前半はショパンのノクターン3曲、ドビュッシーの「ベルガマスク組曲」より「月の光」に続いてベートーヴェンのソナタ「月光」が演奏された。
 後半はショパンの「スケルツォ」を4曲。
 ずっと聴き続けているが、彼の美点である美しく成熟した音と磨き抜かれた技巧、自然で深々とした表現力はいっさい変わることがない。
 しかも、年々それらがより高みへと昇りつめ、いずれの曲もごく自然体で洞察力が増している。
 リシャール=アムランのピアノに向かう姿勢も大切で、彼はからだのどこにも余分な力が入っていない、完璧な脱力が出来上がった姿勢で演奏していく。もちろん、ペダリングも自然だ。
 こういうピアニストの演奏をヤマハホールの親密的な場所で聴くと、やはり音のひと粒ひと粒がリアルに心身に届けられ、感動が深くなる。
 これからもずっと長く聴いていきたいピアニストだという思いを新たにした。
 
posted by 伊熊よし子 at 22:55 | 日々つづれ織り
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