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ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキ

 4月10日、先日インタビューしたポーランド出身のカウンター・テナー、ヤクブ・ユゼフ・オルリンスキのリサイタルが東京芸術劇場で行われた。
 プログラムはヘンデル、バイルト、パーセル、カルウォヴィチで構成され、ポーランドの作曲家、タデウシュ・バイルトとミェチスワフ・カルウォヴィチの作品がうたわれたのが印象的だった。
 オルリンスキはインタビューでもとても親密的でチャーミングで、人なつこい笑顔が忘れられないが、ステージでも一瞬にして聴衆を魅了してしまうほどのオーラを発していた。
 歌声は、冒頭から声量がすばらしく、その声はホールの隅々まで届く見事なまでの強靭さに支えられている。
カウンターテナーの繊細さと情感の豊かさと表現力の幅広さはもちろんのこと、いずれの作品も聴き手のひとりひとりに語りかけるような歌唱法である。
 時折、紙を見ながら日本語で語りかけ、一気に客席との距離を縮めていく。
 先日のインタビューでは非常にラフな装いだったが、ステージでは白のシャツに黒のスーツ、そして赤の靴下がのぞく。この靴下のことをみんなが話題にしていた。
 録音で聴いていたときもバロック時代の空気に包まれる感覚を抱いたが、ナマの声はやはり別格だ。とりわけヘンデルとパーセルは、作品が生まれた時代へと心が飛翔し、ぜひバロック・オペラを聴いてみたいという気持ちになった。
 アンコールは下記の写真の4曲。合間に、一瞬ブレイキン(ブレイクダンス)を披露し、宙返りをしてやんやの喝采を浴びた。彼の得意技である。「キャーッ、もっとやってえ」と心のなかで叫んでしまった(笑)。
 オランダやスイスのオペラハウスでバロック・オペラをうたうときに、演出家がオルリンスキのためにブレイキンを盛り込んでいると語っていたが、すばらしいだろうなあ。こんなオペラ歌手、いないよね。
 また、すぐにでも来日してほしい。そして特筆すべきは盟友のピアニスト、ミハウ・ビエルの圧巻のピアニズム。カウンター・テナーに魅せられて一緒に組み始めたといっていたが、声と一体化し、まさにふたりの音が「ひとつの声」のように感じられた。インタビューのときの名コンビぶりもよかったが、ステージでの音の対話は、いつまでも心の奥に感動が宿る。今年前半の、一押しのコンサートとなった。

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posted by 伊熊よし子 at 23:16 | クラシックを愛す
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