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ボーダン・ルーツ&田村響

 11月8日、王子ホールでボーダン・ルーツと田村響のデュオ・リサイタルが開かれた。
 ボーダン・ルーツは、2004年ウクライナ生まれのヴァイオリニスト。現在はウィーン市立音楽芸術大学で学んでいる。2023年に、18歳でロン=ティボー国際コンクールで第1位を獲得した。
 今回は初来日で、2007年にロン=ティボー・コンクールで優勝した田村響とともに、バッハとイザイの無伴奏作品(ボーダンのみ)、グリーグ、ラヴェルのソナタ、サン=サーンスのワルツ形式の練習曲を演奏した。
 使用楽器はRカルロ・アントニオ・テストーレを貸与されている。
 演奏は完全暗譜、冒頭から集中力と緊迫感に満ちた演奏だったが、とても自然体で、すべての作品が完全に手の内に入っている安定感があり、21歳とは思えない堂々とした演奏だった。
 ピアノの田村響も、より成熟したピアニズムを披露し、両者の呼吸もピタリ。とりわけラヴェルのソナタが聴きごたえ十分、粋で洒脱で色彩感あふれるデュオだった。
 私はグリーグのヴァイオリン・ソナタ第3番を聴くと、以前訪れたノルウェーのロストフ―スにあるグリーグの作曲小屋が脳裏に浮かんでくる。今回もあの幻想的なフィヨルドが思い出され、しばし心はロストフ―スに飛翔した。
 ボーダン・ルーツの演奏は、だいぶ前の初来日時に聴いたダニエル・ロザコヴィッチの演奏以来の若き才能に触れた思いがした。これからいかようにも変容する可能性を秘め、将来が楽しみな逸材だ。
 今回はリサイタル後の食事会にも招かれ、いろんなことを聞くことができた。田村響ともひさしぶりに会い、現在の様子を聞くことができた。
 今日の写真は、終演後のサイン会と、食事会のふたり。もっているのは生ガキだ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:21 | クラシックを愛す
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