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若林顕

 9月30日、東京文化会館大ホールに、川瀬賢太郎指揮東京都交響楽団のコンサートを聴きに行った。
 この日のプログラムは、前半がメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」で、後半がラフマニノフのピアノ協奏曲第3番。ソリストは若林顕である。
 このコンチェルトに関し、ヤマハ「ピアニストラウンジ」に公演レポートを綴ることになっており、出かけた次第である。
 実は、1987年のエリザベート王妃国際コンクールで若林顕が第2位入賞に輝いたとき、私は現地に取材に行っていたのである。当時は「ショパン」編集部に勤務していたため、国際コンクールの取材には頻繁に出かけていた。
 そのときに彼が本選で弾いたのが、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番という難曲に知られた作品。
 あれから37年の月日が流れたが、コンクールのことはよく覚えている。
 若林顕の演奏は、もちろん成熟し、圧倒的な説得力と存在感を示すものに変貌していたが、随所に22歳で演奏した当時のみずみずしい音色が顔をのぞかせ、なつかしい思いに駆られた。
 ひとりのアーティストを長年聴き続けるというのは、本当に意義あることだと思う。その人の人間性と音楽性の変遷をたどることができ、それにより自分の音楽の聴き方の変化にも気づくからである。
 この公演レポートには、そうした思いも盛り込みたいと思っている。

posted by 伊熊よし子 at 23:11 | クラシックを愛す
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