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イリヤ・イーティン

 昨日は、14時からヤマハホールで行われたイリヤ・イーティンのピアノ・リサイタルを聴きに行った。
 イーティンの演奏は2021年から毎年のように聴き、そのつど熟成されたピアニズムと、構成のしっかりしたプログラムに感銘を受けている。
 何より印象的なのは、その美しい演奏姿勢である。
 上半身はほとんど動かさず、肩、腕、指までの脱力が完璧にできているため、指先だけのコントロールでどんな強音も速いパッセージも楽々と自然に演奏できる。
 ペダリングも同様で、けっして足をバタバタと動かすことはせず、ほんの少しの動きで踏み込みもごく自然。
 いかにしたら、このような演奏姿勢を保つことができるのか、いつも実際に話を聞いてみたいなあと思うのだが、コンサートレビューを書く仕事が多いため、残念ながらこれまでインタビューの機会はない。
 昨日のプログラムは、前半がベートーヴェンの「2つのロンド」第1番とピアノ・ソナタ第23番「熱情」。後半がショパンの「ノクターン」第3番とピアノ・ソナタ第3番という構成。
 ベートーヴェンの「熱情」とショパンのピアノ・ソナタの前に、序曲のようにロンドとノクターンを置き、席を立つことなくメイン・プログラムに入っていくスタイル。
 すべてが有機的なつながりを備え、全体像を俯瞰しているような感覚をもたらし、まさに成熟したピアノを存分に聴いたという思いを抱いた。
 このコンサートレビューは、次号の「ピアノの本」に書く予定である。

posted by 伊熊よし子 at 22:43 | 日々つづれ織り
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