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キリル・ペトレンコ

 11月14日から26日まで、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が4年ぶりに来日公演を行う(全国6都市全10公演)。今回は2019年に同オーケストラの首席指揮者・芸術監督に就任したキリル・ペトレンコとのコンビによる初来日公演にあたり、Aプロ、Bプロという興味深い2つのプログラムが組まれている。
 10月10日、そのマエストロ・ペトレンコが、オンライン共同会見を行った。インタビュアーは池田卓夫さん、ドイツ語通訳は蔵原順子さん。約1時間に及ぶ会見で、ペトレンコは選曲に関すること、これまでの自身の音楽体験、現在の世界情勢まで、幅広い内容をことばを尽くして語った。 
 すでにさまざまなメディアで全内容が発信されているため、ここではそのエッセンスを紹介したいと思う。

 まず、BプロのR.シュトラウス「英雄の生涯」に関しては、「この作品は演奏者たちがもつものをすべて出すことができ、とても効果的で美しい作品だから」というのが理由だという。
 このBプロの最初の曲は、レーガーの「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」が組まれている。
「レーガーは演奏される機会のない作曲家ですが、存命中はシュトラウスのライバルとみなされていた作曲家です。レーガーを選んだのは、ひとつのプログラムのなかで、シュトラウスとのコントラストをなす作品だと考えたからです」
 Aプロのブラームスの交響曲第4番は、ペトレンコが以前務めていたマイニンゲン州立歌劇場のオーケストラが作曲家の指揮で世界初演をしている。それに関しては…。
「オーケストラのアーカイヴには、第4番の世界初演が行われたパート譜が残っています。日本公演の前にもう一度マイニンゲンに足を運び、古い譜面を研究したいと思っています」
 Aプロにはベルクの「オーケストラのための3つの小品」が登場する。
「ベルクのこの作品はとても難しく、あまり演奏される機会がなく、これを日本にもっていくのは勇気のいることでした。非常に構成が大きく、マーラー以外は使わないハンマーなども第3楽章の《行進曲》で使用しています。これは黙示録的な音楽ですが、現在の私たちの世界情勢を見ると、こんなに今日的な音楽はないと思うくらいです」
 今回は、アマチュアを交えたプロジェクトも立ち上げ、若手の育成にも意欲を示している。
 さらに自身の両親のルーツなども紹介し、いま世界で起きている戦争に対して非常に心を痛めていると苦難の表情を浮かべたが、「でも、平和を信じていますし、私たちはいい音楽を演奏することに集中します」と明言した。

 ベルリン・フィルの100人を超す団員は各人がソリスト級の腕前の持ち主で、まさに精鋭集団。圧倒的な名演を披露する。コンサートマスターの樫本大進によると、みんなは終演後も音楽の話ばかりしていて、いま終わった演奏について話が止まらないという。よくオーケストラは本拠地のホールで音が磨かれるというが、フィールハーモニーは音響のよさで定評があり、サントリーホールのお手本となっている。ステージを客席が囲むヴィンヤード型で、大ホールは2440席。その演奏の醍醐味を来日公演で遺憾なく発揮する。ペトレンコとオーケストラが練りに練ったこだわりのプログラムで、彼らの絆を堪能したい。














posted by 伊熊よし子 at 22:42 | 親しき友との語らい
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