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ダン・タイ・ソン

 昨日、銀座のヤマハホールにダン・タイ・ソンのリサイタルを聴きに行った。
 思えば、1980年のショパン・コンクール優勝時から彼の演奏は聴き続け、来日公演のたびにインタビューを行い、単行本も書き、長年にわたって演奏を聴き続けている。
 この日のプログラムは、前半がラヴェルとドビュッシーとフランク。後半がオール・ショパンという構成。
 いずれの作品も、巨匠の域に入った熟成した演奏で、長年聴き続けている私は感慨深い。
 ダン・タイ・ソンは、後進の指導にも重きを置いていて、昨年のショパン・コンクールの覇者、ブルース・リウは愛弟子である。
 この優勝により、恩師と弟子の両方がショパン・コンクールで大きな結果を残したことになる。
 いまはなかなか楽屋に行って話をすることができないが、次回ダン・タイ・ソンにインタビューする機会があったら、弟子への指導の方法や極意を聞きたいと思っている。
 今回の演奏でとりわけ心に残ったのは、ショパンのポロネーズ、マズルカ、ワルツ、エコセーズ、タランテラと、作曲家が作品に取り入れた民族色豊かな舞踊のリズムを選曲したこと。
 すべてが磨き抜かれ、鍛えられ、究極の美しさを放ち、ショパン弾きならではのリズム表現だった。
 この公演評は、「モーストリー・クラシック」に書く予定である。
 ヤマハホールの親密な会場で聴く、心温まるひとときとなった。

posted by 伊熊よし子 at 22:16 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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