2021年03月29日
藤田真央
若い才能は聴くたびにぐんぐんその実力が伸びていき、大きな未来を感じさせる。
今日は王子ホールで行われた、藤田真央の「モーツァルト ピアノ・ソナタ全曲演奏会」第1回(全5回)〜清らかな始まり〜の演奏を聴きに行った。
プログラムは、前半がピアノ・ソナタ第7番、フランスの歌「ねえ、ママ、あなたに言うわ」による12の変奏曲、ピアノ・ソナタ第16番、6つのウィーン・ソナチネ第1番。後半がピアノ・ソナタ第1番、ピアノ・ソナタ第10番。
王子ホールの親密な空間に響き渡るモーツァルトは実に馨しく情感豊かで、心から作品のすばらしさに酔える。
モーツァルトのソナタは多分にオペラティックな面があり、ひとつのフレーズが語りかけると、もうひとつのフレーズがそれに応えてうたい出す。
藤田真央の演奏は、まさに自由闊達な歌を奏で、モーツァルトの極意を知らしめた。
こういう若くすばらしい才能が出現してくると、日本のピアノ界が活性化し、いろんな面で大いに盛り上がる。
藤田真央は、インタビューではいつも楽しそうに話してくれるが、演奏もまたピアノと戯れているような嬉々とした様子が伝わり、聴き手の心もほんのり温かくなり、次第に笑顔になっていく。
このシリーズは始まったばかり。モーツァルトを聴いて至福のときを味わいたい人は、ぜひ次回に足を運んで。
なお、アンコールに演奏されたラフマニノフの前奏曲第4番が、私の心に深い印象をもたらし、藤田真央の輝かしい未来を強く感じさせた。
posted by 伊熊よし子 at 22:59
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