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究極の室内楽

 3月5日、王子ホールで「究極の室内楽」と題されたコンサートが行われた。
 これは若手弦楽器奏者4人が出演するもので、第1ヴァイオリンは関 朋岳、第2ヴァイオリンは戸澤采紀、ヴィオラは島方 瞭、チェロは佐藤晴真というメンバー。
 プログラムは、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」で幕開けし、次いでメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番が演奏され、後半はシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」という構成である。
 このコンサートのプログラム(曲目解説)執筆依頼を受けていたため、以前から演奏を楽しみにしていた。
 いずれの作品も4人が非常にアグレッシブに、躍動感をもって生き生きと作品に対峙し、なかなかナマの演奏ができない現在、ライヴで演奏することがたまらなく楽しいという様子が伝わってきた。
 プログラムには、「一昨年の12月、私たち4人は初めて出会い、弦楽四重奏を弾く喜びとその奥深さに目が覚めたような感覚になりました」と綴っている。
  弦楽器奏者にとって、弦楽四重奏曲は音楽性と人間性の合う仲間が見つかり、一緒に演奏すると、限りない魅力に心が揺り動かされ、生涯弾き続けていきたいと思う分野である。
  若き4人も、これからよりレパートリーを増やし、ずっと演奏していくに違いない。
  この夜は、アンコールにバーバーの弦楽四重奏曲第1番の第2楽章が演奏された。これは「弦楽のためのアダージョ」に編曲され、映画音楽にも登場している人気の高い作品。
  終演後、帰路に着く間ずっとその静謐で荘厳さに満ちた旋律が脳裏に居座り、ついにはこの曲で「名曲レシピ」を考えようという気持ちになった。
posted by 伊熊よし子 at 22:38 | クラシックを愛す
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