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ダニエル・バレンボイム

  先日に続き、バレンボイムの新情報第2弾は、ピアニストとしての彼の活動を紹介したい。

  指揮活動で多忙を極めるバレンボイムが、コロナ禍で3カ月間というものピアノを弾くことだけに集中することができ、5度目のベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を完成させたのである(ユニバーサル)。 

  類まれなるタフな音楽家として知られるバレンボイムは、2020年のベートーヴェン生誕250年の4月から6月にかけて、ベルリンのピエール・ブーレーズザールでピアノ・ソナタ全32曲と、「ディアベッリ変奏曲」をレコーディング。このベートーヴェンの集中力がハンパではなく、来日公演における彼の緊迫感あふれる演奏を思い出させた。

  私はピアノ・ソナタ第2番の第4楽章の上昇していく旋律が大好きなのだが、ここでバレンボイムはクリアかつ情感あふれる表現で音の粒を天空へと運ぶ。実は、このソナタ第2番の第4楽章のすばらしさに目覚めたのは、ラファウ・ブレハッチの録音だった。聴き慣れた音楽が、新たな魅力と斬新な響きをもって耳に飛び込んできたからだ。

  以来、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲録音を聴くときには、真っ先にこの楽章を聴くようにしている。

  今回のバレンボイムの13枚組のCDには、ボーナストラックとして1958年3月にニューヨークで録音したウエストミンスター録音(モノラル)が加わり、ここにはソナタ第8番、第14番、第21番、第23番、第29番、第32番が収録されている。

  毎日1枚ずつじっくり聴きたい、そんなピアノ好きの心をとらえる新譜である。


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posted by 伊熊よし子 at 21:59 | 情報・特急便
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