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舘野泉

  演奏生活60周年を迎えるピアニストの舘野泉が、11月10日(火)に東京オペラシティコンサートホールで「ピアノ・リサイタル〜悦楽の園」と題した演奏会を開く。
  この日は、館野さんの84歳のお誕生日。バッハ(ブラームス編):「シャコンヌ」、スクリャービン:「2つの左手のための小品より 前奏曲、夜想曲」から始まり、光永浩一郎、新実徳英、パブロ・エスカンデの世界初演の作品が演奏される。
  舘野さんは、今年前半はコロナ禍で日本からフィンランドに帰ることができなかったが、ようやく夏になって戻ることができたという。
  そのフライトを控えた前日、2枚のCDを送ってくださった。
  1959年春、東京藝大3年生だった舘野泉と藝大付属高校3年生のヴァイオリニスト浦川宣也が藝大奏楽堂で共演したショーソンの「ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のための協奏曲ニ長調」で、弦楽四重奏は舘野晶子、林瑤子、白神定典、館野英司が担当している。
  いまや巨匠の域に達したふたりの演奏が、まさに60年のときを経て蘇ったことになる。
  演奏は、若い音楽家たちによる夢に向かってひたすら進んでいくようなみずみずしいエネルギーを感じさせるもので、その奥にえもいわれぬなつかしさと心が締め付けられるようなひたむきさが見え隠れしている(ヒビキミュージック)。
  もう1枚は、1988年1月にフィンランドのシベリウス・ホールで収録された「フィンランド ピアノ名曲コレクション」(2枚組
オクタヴィア。シベリウス、パルムグレン、メリカントらの作品が41曲収録されている。
  これは長年、廃盤になっていたが、ようやく再発売されたものである。
  舘野さんの手にかかると、これらの小品が絵画のように美しい色彩と北欧特有の空気をまとってひとつの世界となって現れ、しばし異国の地へと運ばれていく。まさに「音の絵」である。
  いつも舘野さんと会うと、私のしゃべり方が彼の3倍も5倍も速いため、途中でトーンを落とすことになる。舘野さんはそんな私を見て、ゆったりとにこやかに笑っている。
  11月のリサイタルは、本当に楽しみである。コロナ禍で、みんなの心が疲弊しているなか、きっと舘野さんの音楽はいつしか聴き手の心身を癒し、前向きに歩めるよう、そっと背中を押してくれるに違いない。
  今日の写真は、館野泉の近影( ◎横関一浩)。

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posted by 伊熊よし子 at 22:16 | 情報・特急便
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