2019年12月07日
佐藤晴真
2019年9月に行われたミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で、日本人として初優勝に輝いた佐藤晴真が、12月6日に紀尾井ホールでリサイタルを開いた。
コンクール後の帰国時(10月20日)にインタビューをした様子はブログに綴り、「東京新聞」に記事を書いた。
リサイタルは、前半がドビュッシーのチェロとピアノのためのソナタ、プーランクのチェロとピアノのためのソナタ。後半がオール・ブラームス・プロで、「5つの歌曲」「6つの歌」よりのチェロとピアノ版が奏され、最後にピアノとチェロのためのソナタ第2番が演奏された。
佐藤晴真のチェロはのびやかでよくうたうが、内省的で抒情的で聴き手の心の奥深く響いてくるものを備えている。
コンクールでも、人の心に訴える力が高く評価されたに違いない。
とりわけブラームスのソナタ第2番の第2楽章(アダージョ)が美しく、息の長い旋律を朗々とうたわせる部分が印象に残った。
ご本人が、「僕の声は低いので、チェロの音と同質のような気がするんです」と語っていたが、まさに自身の心の声を表現しているようだった。
ちなみに、使用楽器は宗次コレクションより貸与されている1903年製E.ロッカ。弓は匿名のコレクターより貸与されているF.Tourteである。
今日の写真は、終演後にピアニストの薗田奈緒子と。
2020年もベルリンと日本を何度も往復し、コンサートを行う予定。3月14日にはめぐろパーシモンホール(小ホール)でリサイタルが予定されている。
大海原へと漕ぎ出す若きチェリストの未来に期待したい。
posted by 伊熊よし子 at 23:14
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