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金子三勇士

 金子三勇士は、デビュー当初からリストを弾き続けてきた。
 日本人の父とハンガリー人の母をもつ彼は、祖国の偉大な作曲家&ピアニストのリストを深く敬愛し、その作品の研究を重ね、いま新たな視点をもつ新譜を編み出した。
 題して「リスト・リサイタル」(ユニバーサル)。ここにはピアノ・ソナタ ロ短調、コンソレーション(慰め)第3番、《巡礼の年》第1年:スイスから「泉のほとりで」、メフィストワルツ第1番《村の居酒屋での踊り》、献呈《シューマンの歌曲による》が収録されている。
 先日、その新譜の話を聞くため、インタビューを行った。
 金子三勇士と会うと、いつもいろんな話題へと話が発展していく。もちろん「レコード芸術」のインタビューだったため新譜の話が中心で、各々の作品にまつわることからリストの作品論、選曲に関する話を聞いた。
 だが、金子三勇士の話術は非常に巧みで、ハンガリーでの生活やハンガリー語のこと、食生活まで、ハンガリー色が濃厚になり、とても有意義なひとときとなった。
 その日は、たまたま私が以前上海の素敵なお店で購入した、黒のニットの刺繍が施されたカーディガンを着ていた。すると彼が「伊熊さん、それハンガリー製ですか。今日のために着てきてくれたの。えっ、上海? 冗談でしょう。絶対、ハンガリーの刺繍ですよ。どこかでつながっているんでしょうね」
 こういって、しばしカーディガンの話に花が咲いた。
 今回のリストのアルバムは、金子三勇士が血で奏でているような自然体の演奏。もちろんいずれの作品も長年弾き続けているものだが、やはり祖国とは切り離せない感じだ。
 彼は、「いま、ピアノを弾くことがたまらなく楽しい。すごく充実しているんです」と、笑顔を見せた。
 写真は、そんな充実した表情を見せるワンショット。「充実している」と言い切ることができるのは、本当に幸せである。なるほど、いい表情しているもんね。

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posted by 伊熊よし子 at 22:33 | 日々つづれ織り
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