2018年10月23日
エリアス・ケッラー
新たな才能との出会いは常に心が高揚するものだが、まだ11歳の“スーパーキッズピアニスト”となると、より強い感情が沸いてくる。
思えば、キーシン、レーピン、ヴェンゲーロフの3人が出現してきたときは、世の中は大騒ぎだった。初来日のときの彼らの演奏は、まだ脳裏にしっかり焼き付いている。
日本にも小林愛美や牛田智大という若き才能が登場し、ピアノ界は活性化したものだ。
今日は、オーストリア出身のエリアス・ケッラー(2007年9月フィラッハ市生まれ)が初来日し、ドイツ文化センターでミニ・コンサートと記者会見を行った。
プログラムはモーツァルト:メヌエット ト長調 KV1、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第5番 ト長調 KV283より第1楽章、シューベルト:即興曲 Op.90-4 D899、ラフマニノフ:プレリュード 嬰ハ短調、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番 Op.2-1より第2楽章、リスト:リゴレット・パラフレーズ。
まだ身長は日本の小学生とそう変わらないが、筋肉質でがっちりした体型。全体に指の力も強く、小指の力強さが際立っている。リズム感もよく、音楽が勢いに満ちている。
今日の演奏のなかでは、ベートーヴェンのソナタの第2楽章がもっとも印象に残った。
記者会見では、初来日の様子を聞かれ、「日本にはずっとあこがれていて、ぜひ訪れてみたいと思っていた。もっと小さな国だと思っていたけど、東京はものすごく大きな都市で、カッコいい。クールだ! 異なる文化に触れることができてうれしい。食事も、何を食べてもものすごくおいしい。もっといろんなところを見たいし、いろんな体験をしたい」と、興味津々。
記者会見終了後には、インタビューをすることができた。
エリアスはコンクール歴が豊かだが、音楽ばかりではなく数学コンクールでも入賞し、現在は飛び級で年長の子どもたちと一緒に学んでいる。
「もちろん学校にいってさまざまな科目を学ぶのは大切だけど、ぼくにとっては音楽の勉強が一番。いまは学校の勉強に疑問を感じることもあるよ。学校のない日は5時間くらいピアノの練習している。でも、いつもピアノの前にいるわけではなく、サッカーやスキーも大好き」と屈託がない。
きちんと相手の目を見てしっかり自分の意見をいうタイプで、音楽についての話題となると、いっそう雄弁になる。
「ごく幼いころは、楽器を習うなんて考えられなかった。でも、ぼくは好奇心が旺盛で、いつも何かに取り組んでいないと満足しない性格。6歳になったときに両親の勧めでピアノを始めたら、この楽器のとりこになってしまったんだ。それからはずっとピアノひと筋。いつも曲を弾くときは自分なりのストーリーを描き、音楽のなかに入り込んでいく。好きなピアニストも多く、ソコロフ、アルゲリッチ、ブロンフマン、ポリーニをはじめ、いろんな人のピアノを聴く。いつの日か、ぼくもそうした人の心に響く音楽を奏でるピアニストになりたい。指揮も大好きで、作曲も学んでいる。将来は幅広いことができるピアニストになりたい」
エリアスは、演奏姿勢がとても美しい。背筋がビシッと伸び、上半身は微動だにしない。
「1年前に先生が変わったんだけど、その先生が姿勢を直してくれた。いまは全身の脱力が自然にできて、とても弾きやすくなったんだよ」
エリアスは2019年9月27日にサントリーホールのブルーローズにおいて、アンサンブルハーモニー・ウィーンとコンサートを行う予定になっている。
また、詳細が決まったら、紹介しますね。
今日の写真は、キュートな笑顔のエリアス。「夢は、世界中のホールで演奏できるピアニストになること」だそうだ。数年後にはぐっと身長が伸びて、声も低くなり、がっしりした青年のピアニストに変貌するのではないだろうか。演奏の成長がひたすら楽しみである。


思えば、キーシン、レーピン、ヴェンゲーロフの3人が出現してきたときは、世の中は大騒ぎだった。初来日のときの彼らの演奏は、まだ脳裏にしっかり焼き付いている。
日本にも小林愛美や牛田智大という若き才能が登場し、ピアノ界は活性化したものだ。
今日は、オーストリア出身のエリアス・ケッラー(2007年9月フィラッハ市生まれ)が初来日し、ドイツ文化センターでミニ・コンサートと記者会見を行った。
プログラムはモーツァルト:メヌエット ト長調 KV1、モーツァルト:ピアノ・ソナタ第5番 ト長調 KV283より第1楽章、シューベルト:即興曲 Op.90-4 D899、ラフマニノフ:プレリュード 嬰ハ短調、ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1番 Op.2-1より第2楽章、リスト:リゴレット・パラフレーズ。
まだ身長は日本の小学生とそう変わらないが、筋肉質でがっちりした体型。全体に指の力も強く、小指の力強さが際立っている。リズム感もよく、音楽が勢いに満ちている。
今日の演奏のなかでは、ベートーヴェンのソナタの第2楽章がもっとも印象に残った。
記者会見では、初来日の様子を聞かれ、「日本にはずっとあこがれていて、ぜひ訪れてみたいと思っていた。もっと小さな国だと思っていたけど、東京はものすごく大きな都市で、カッコいい。クールだ! 異なる文化に触れることができてうれしい。食事も、何を食べてもものすごくおいしい。もっといろんなところを見たいし、いろんな体験をしたい」と、興味津々。
記者会見終了後には、インタビューをすることができた。
エリアスはコンクール歴が豊かだが、音楽ばかりではなく数学コンクールでも入賞し、現在は飛び級で年長の子どもたちと一緒に学んでいる。
「もちろん学校にいってさまざまな科目を学ぶのは大切だけど、ぼくにとっては音楽の勉強が一番。いまは学校の勉強に疑問を感じることもあるよ。学校のない日は5時間くらいピアノの練習している。でも、いつもピアノの前にいるわけではなく、サッカーやスキーも大好き」と屈託がない。
きちんと相手の目を見てしっかり自分の意見をいうタイプで、音楽についての話題となると、いっそう雄弁になる。
「ごく幼いころは、楽器を習うなんて考えられなかった。でも、ぼくは好奇心が旺盛で、いつも何かに取り組んでいないと満足しない性格。6歳になったときに両親の勧めでピアノを始めたら、この楽器のとりこになってしまったんだ。それからはずっとピアノひと筋。いつも曲を弾くときは自分なりのストーリーを描き、音楽のなかに入り込んでいく。好きなピアニストも多く、ソコロフ、アルゲリッチ、ブロンフマン、ポリーニをはじめ、いろんな人のピアノを聴く。いつの日か、ぼくもそうした人の心に響く音楽を奏でるピアニストになりたい。指揮も大好きで、作曲も学んでいる。将来は幅広いことができるピアニストになりたい」
エリアスは、演奏姿勢がとても美しい。背筋がビシッと伸び、上半身は微動だにしない。
「1年前に先生が変わったんだけど、その先生が姿勢を直してくれた。いまは全身の脱力が自然にできて、とても弾きやすくなったんだよ」
エリアスは2019年9月27日にサントリーホールのブルーローズにおいて、アンサンブルハーモニー・ウィーンとコンサートを行う予定になっている。
また、詳細が決まったら、紹介しますね。
今日の写真は、キュートな笑顔のエリアス。「夢は、世界中のホールで演奏できるピアニストになること」だそうだ。数年後にはぐっと身長が伸びて、声も低くなり、がっしりした青年のピアニストに変貌するのではないだろうか。演奏の成長がひたすら楽しみである。
posted by 伊熊よし子 at 23:27
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