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クリムト「接吻」

 通常、海外出張の場合は、着いたその日の夜からとか、明朝からすぐに仕事が開始されるため、ほとんど観光する時間や自由時間はない。
 だが、今回のウィーンでは、ホテルがベルヴェデーレ宮殿のすぐそばだったこともあり、ほんの短時間だったが、宮殿のオーストリア絵画館に絵を見にいくことができた。
 お目当ては、グスタフ・クリムトが1907年から翌年にかけて描いた有名な「接吻」である。
 クリムトと恋人エミーリエ・フレーゲがモデルといわれるこの絵は、180センチ×180センチの油絵。数多く展示されている絵画のなかでもっとも人気のある絵で、各地から訪れた人々がじっと食い入るように見つめたり、写真を撮ったり、大人気となっていた。
 クリムトの「黄金の時代」といわれる時期に描かれたこの絵は、ふんだんに金箔が使用され、見る者にある種の狂気を感じさせるような不思議なオーラを発している。
 以前、セセッション館(分離派会館)のベートーヴェン・フリーズを見たときにも感じた、背中がぞくぞくしてくるような狂気。絵の前に立つと、しばらくじっと動けなくなるような存在感と緊迫感。
 クリムトの「接吻」は世紀末ウィーンの妖艶で退廃的で甘美で深遠な空気を放つと同時に、死の影ものぞかせ、私の時差ボケや疲れを一気に吹き飛ばしてくれた。
 今日の写真は、その「接吻」。実際に見ると、実に精緻で巧妙で官能的で迫力に満ち、魅入られてしまう。

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posted by 伊熊よし子 at 21:45 | 麗しき旅の記憶
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