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ポール・ルイス

 先日、インタビューでハイドン、ベートーヴェン、ブラームスのシリーズ、「HBB PROJECT」について語っていたポール・ルイスの第1回のリサイタルが王子ホールで開催された。
 まず、ハイドンのピアノ・ソナタ第50番からスタート。ルイスが「ハイドンはすばらしい」と惚れ込んでいるだけあって、とても意欲的な演奏。ハイドンの作品は健康的で明るく、躍動感に満ちている。
 次いでベートーヴェンの「6つのバガテル」作品126が奏された。各々の作品の特徴を際立たせたルイスの演奏は、ベートーヴェンが「バガテル」に託したさまざまな特徴を浮き彫りにし、即興性、幻想的、休息、ユーモア、円舞曲などの要素が伝わってくる。
 後半は、ブラームスの「6つの小品」作品118から始まった。この晩年の作品は、ブラームスの特質を存分に表し、聴き込むほどに内省的でほの暗く、深遠な世界へと引き込まれる。
 最後は、ハイドンのピアノ・ソナタ第40番が登場。ルイスがこのシリーズを始める要因となったハイドンだが、本当にこの作曲家を深く愛している様子がひとつひとつの音からあふれ出ていた。
 ポール・ルイスは、本当に実直なピアニストである。聴き終わると、自然にホール全体が喝采に包まれるが、その拍手はワーッと盛り上がるものではない。
 みんなの心に、しみじみとしたピアノの響きが浸透して感銘を受けたという、まさにルイスの性格が映し出されたまっすぐなピアノに対する称賛の拍手である。
 アンコールは、シューベルトの「アレグレット ハ短調 D.915」。そして、鳴りやまぬ拍手に応えて「ほんの短い曲を」といって弾き始めたリストの「ピアノ小品 嬰ヘ長調」。
 この静かな幕の閉じ方が、ポール・ルイスの性格をよく表し、次回のシリーズへの期待を募らせた。
posted by 伊熊よし子 at 23:34 | 日々つづれ織り
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