2017年10月18日
ヴァレリー・アファナシエフ
10月15日、紀尾井ホールでヴァレリー・アファナシエフのリサイタルが行われた。
プログラムは、前半がベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番と第17番「テンペスト。後半がショパンのノクターン作品9-1、15-2、27-1、27-2、32-1、72-1。
今回、アファナシエフはベーゼンドルファー model 280VCのピアノを使用。特有の指を伸ばした弾き方で、ロシア・ピアニズムの伝統的な奏法をたっぷりと披露していく。
以前から、アファナシエフのピアニズムは超個性的で、テンポは異様なほどゆっくりとしたものだったが、今回のリサイタルではそれほどテンポを落とさず、淡々とした奏法が印象的だった。
ベートーヴェンのソナタ第7番と「テンペスト」は新譜がリリースされ(ソニー)、じっくり聴き込んでいたため、耳にすっかりなじんだ演奏だった。
しかし、ショパンのノクターンは、アファナシエフならではの特有のショパンの解釈。テンポ、フレーズ、リズム、ルバートにいたるまで、だれもまねできない個性的なショパン。
特に音の強弱の幅が著しく、ショパン・コンクールなどで作品を聴き慣れている私は、初めて聴くはげしく訴えかけてくるようなノクターンに、最後まで心がざわついた。
なんと、饒舌なショパンなのだろう。しかし、時折、静謐な空気と特有の間が存在する。それゆえ、音楽を聴いて心がおだやかになるとか、癒されるということはなく、終始緊張感を強いられた。
アファナシエフのピアノは、1980年代にシューベルトのソナタ3曲をゆったりしたテンポで延々と弾き続けたときにも感じたが、聴き終わると緊張感から一気に解き放たれるのだが、心身を元に戻すのに時間がかかる。奏者とともに呼吸をしているような感覚を抱くからだ。
実は、リサイタルに先駆けた12日、彼にインタビューを行った。2018年5月17日にサントリーホールで佐渡裕指揮トーンキュンストラー管弦楽団と共演し、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏することになったからである。
この最新ニュースを受けて、アファナシエフにブラームスのコンチェルトに関してなど、さまざまな質問を試みた。
いつもながら、彼は質問からどんどん話が逸れて、自分の話したいことに飛んでいってしまう。でも、長年の経験で慣れているため、私はアファナシエフの話をうまく元に戻していく。これは結構コツのいることだが、アファナシエフは「フフフ」と含み笑いをしながら、ちゃんと基本的な質問には答えてくれる。
まさに、駆け引きですなあ(笑)。インタビューはここがうまくいくと、とても内容の濃いものになるが、一度失敗すると、もう収拾がつかなくなってしまう。その意味で、アファナシエフのインタビューは、とてもスリリングである。
来年のこのコンサートに関しては、順次情報が公開されそうだ。
今日の写真は、インタビュー中の1枚と、ピアノを練習している様子。

プログラムは、前半がベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番と第17番「テンペスト。後半がショパンのノクターン作品9-1、15-2、27-1、27-2、32-1、72-1。
今回、アファナシエフはベーゼンドルファー model 280VCのピアノを使用。特有の指を伸ばした弾き方で、ロシア・ピアニズムの伝統的な奏法をたっぷりと披露していく。
以前から、アファナシエフのピアニズムは超個性的で、テンポは異様なほどゆっくりとしたものだったが、今回のリサイタルではそれほどテンポを落とさず、淡々とした奏法が印象的だった。
ベートーヴェンのソナタ第7番と「テンペスト」は新譜がリリースされ(ソニー)、じっくり聴き込んでいたため、耳にすっかりなじんだ演奏だった。
しかし、ショパンのノクターンは、アファナシエフならではの特有のショパンの解釈。テンポ、フレーズ、リズム、ルバートにいたるまで、だれもまねできない個性的なショパン。
特に音の強弱の幅が著しく、ショパン・コンクールなどで作品を聴き慣れている私は、初めて聴くはげしく訴えかけてくるようなノクターンに、最後まで心がざわついた。
なんと、饒舌なショパンなのだろう。しかし、時折、静謐な空気と特有の間が存在する。それゆえ、音楽を聴いて心がおだやかになるとか、癒されるということはなく、終始緊張感を強いられた。
アファナシエフのピアノは、1980年代にシューベルトのソナタ3曲をゆったりしたテンポで延々と弾き続けたときにも感じたが、聴き終わると緊張感から一気に解き放たれるのだが、心身を元に戻すのに時間がかかる。奏者とともに呼吸をしているような感覚を抱くからだ。
実は、リサイタルに先駆けた12日、彼にインタビューを行った。2018年5月17日にサントリーホールで佐渡裕指揮トーンキュンストラー管弦楽団と共演し、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏することになったからである。
この最新ニュースを受けて、アファナシエフにブラームスのコンチェルトに関してなど、さまざまな質問を試みた。
いつもながら、彼は質問からどんどん話が逸れて、自分の話したいことに飛んでいってしまう。でも、長年の経験で慣れているため、私はアファナシエフの話をうまく元に戻していく。これは結構コツのいることだが、アファナシエフは「フフフ」と含み笑いをしながら、ちゃんと基本的な質問には答えてくれる。
まさに、駆け引きですなあ(笑)。インタビューはここがうまくいくと、とても内容の濃いものになるが、一度失敗すると、もう収拾がつかなくなってしまう。その意味で、アファナシエフのインタビューは、とてもスリリングである。
来年のこのコンサートに関しては、順次情報が公開されそうだ。
今日の写真は、インタビュー中の1枚と、ピアノを練習している様子。
posted by 伊熊よし子 at 22:55
| 情報・特急便