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アンナ・ネトレプコ

「世界のディーヴァ(歌の女神)」と称されるソプラノのアンナ・ネトレプコが、夫君のテノール、ユシフ・エイヴァゾフとともに、スペシャル・コンサートを開いた(10月3日、東京オペラシティコンサートホール、ミハイル・タタルニコフ指揮東京フィル、ゲスト:エルチン・アジゾフ バリトン)。
 プログラムは前半がヴェルディのオペラからネトレプコ、エイヴァゾフ、アジゾフの各々のソロ、デュオなどで、ネトレプコは冒頭から「マクベス」の「勝利の日に?来たれ、急いで」をうたい、パワー全開。
 力強く、豊かな声量と深い表現力を発揮し、圧巻の歌唱力を披露した。
 後半はプッチーニ、ジョルダーノ、リムスキー=コネサコフにレハールが加わり、多彩な選曲となり、「トゥーランドット」の「この宮殿の中で」をオペラシティのステージ後方の2階に立ってうたうというサプライズを見せ、拍手喝采と「ブラヴォー」を浴びた。
 ネトレプコの声はしなやかで光沢のある、輝かしいベルベットのようである。色彩感に富み、鍛え抜かれたテクニックを存分に生かし、オペラの役になりきる。その奥には、えもいわれぬ女らしさとかわいらしさが見え隠れする。
 彼女はいまやオペラ界を代表するディーヴァとなったが、常に親密感を抱かせる存在である。
 もうかなり昔のことになるが、指揮者のワレリー・ゲルギエフが、デビューしたばかりのネトレプコを連れて来日したときのことを思い出す。そのときは立食パーティのようなスタイルの食事会が行われ、そこで若きネトレプコとほんの少しだけ話を交わした。
 というのは、真夏だったため、私は素足にスペイン製のミュールを履いていた。するとネトレプコが「あなたのサンダル、いいわねえ。どこで買ったの?」と聞いてきたのである。「スペインで」と答えると、「あらあ、日本じやないの、がっかり。お店を教えてもらおうと思ったのに」と、残念そうな顔をしたのである。
 まだいまのような貫禄はなくスリムで、気さくな感じだった。
 あれからずいぶん時が経ち、ネトレプコは堂々たる体格になり、女王のような風格がただよう、まさにディーヴァとなった。感無量である。
 今日の歌では、リムスキー=コルサコフの「皇帝の花嫁」から「イヴァン・セルゲーヴィチ、庭に行きましょう」が、ネトレプコの成熟度を存分に表現し、声は透明感にあふれ、演技力も伴い、聴きごたえ十分な1曲となった。 
 今日の写真は、コンサートのチラシ。
 
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タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | クラシックを愛す
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