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ティボー・ガルシア

 ギター好き、スペイン好きの私が、最近ほとんど毎日聴いているCDがある。
 ギター界の新星、スペインの血を引く、フランス生まれのティボー・ガルシア22歳の録音である。
 ガルシアは21歳までに各地の国際コンクールを6度も受け、すべて優勝という快挙を成し遂げた。
 そして2015年、現在のギター・コンクールの最高峰と称されるアメリカのGFA国際ギター・コンクールで第1位を獲得し、これを機にカーネギー・ホールで演奏したり、録音を行ったり…。
 私が聴いているのは、エラート・レーベル専属契約の第1弾で、ラテン・ギターの伝説的作品をぎっしり詰め込んだ「レイエンダ?伝説のギター」(ワーナー)。彼の演奏は、繊細かつ情熱的で、豊かな歌心が全編を覆っている。
 このアルバムにはアルベニス、ファリャ、ロドリーゴ、タレガというスペインの作曲家の有名な作品が選ばれ、ピアソラの曲も含まれていて、ガルシアがライナーノーツに綴っているように、彼の人生、旅、スペイン系のルーツを思い出させる選曲となっている。
 なかでも印象的なのは、スペインに生まれ、アルゼンチンで亡くなったアントニオ・ヒメネス・マンホーン(1866?1919)の「バスクの歌」が収録されていること。ガルシアの得意とする曲のようで、コンクールでも演奏し、手の内に入った演奏となっている
 ふだんあまり耳にする機会のない曲だが、バスク地方特有のリズム、哀愁と情熱に彩られた旋律がまっすぐ心に響いてきて、深い感動をもたらす。
 近年、ギター界にはミロシュが登場し、みずみずしく鮮烈なギターで話題を呼んだが、またまた新たな才能が現れた。
 ティボー・ガルシアの切々と語りかけるタレガの「アルハンブラの思い出」の演奏は、私をグラナダへと一気にいざなってくれる。
 今日の写真は、そのジャケット写真。ぜひ来日してほしいと願う。ギターはナマの音で真価が明確になるから。


タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 21:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 情報・特急便
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