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エリソ・ヴィルサラーゼ

 先日、感動的なチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を演奏してくれたエリソ・ヴィルサラーゼに、インタビューすることができた。
 かなり前にも一度インタビューをしたことがあるが、そのときと同様、今回もとても有意義な時間を過ごすことができた。
 彼女のチャイコフスキーは、いままで聴いたどの演奏とも異なる新鮮さを放って聴き手の心に強いインパクトを与えたため、何かエディションが異なっているのかと思って版を聞いたら、「あら、まったく同じよ。だれでも使っている版で、カデンツァも変えていないわよ」とのこと。
 それであの強烈な印象を残す演奏とは…。
 ヴィルサラーゼは、これまで何人もの偉大な指揮者とこのコンチェルトを演奏してきたが、テミルカーノフとの共演がもっとも多いそうだ。
「マエストロ・テミルカーノフとサンクトペテルブルク・フィルとの共演では、自分がとても自由な気持ちで演奏することができるの」
 ヴィルサラーゼはとても知的で真面目。どんな質問に対しても真摯に、雄弁に、そして誠意をもった答えを戻してくれる。
 彼女は日本語も得意で、インタビューでは日本茶を飲んでいたが、途中で「すみません、お水いただけますか」と流暢な日本語で要求した。最後の撮影のときに、居合わせたマネージャーや雑誌の担当者たちと「男っぽいよね」「凛とした感じがすてき」「ハンサムウーマンっていう感じ」などと話していたら、ちらっとこちらを見て「日本語、わかるわよ」といわれてしまった。キャーっ、大変(笑)。
 このインタビューは、3月発売の「音楽の友」に掲載される予定だ。
 内容は、チャイコフスキーのことから得意のシューマンの話に移り、幼いころのピアノとのかかわり、ピアノの手ほどきを受けた祖母アナスターシャのこと、恩師のゲンリフ・ネイガウスとヤコフ・ザークのこと、さらにスヴァトスラフ・リヒテルのことまで、さまざまな方面に話が広がった。
 とりわけ印象深かったのは、私がチャイコフスキーのコンチェルトに感動した話をしたときのひとこと。
「私は常に新鮮な音楽を奏でるようにしているわ。どんなに弾き慣れた作品にも、新鮮な姿勢で立ち向かう。新鮮な演奏ができなければ、音楽をやっている意味がないから」
 彼女の話は、演奏とまったく同様の明快さとひたむきさと情熱が感じられるもの。そしてふだんはあまり笑わないが、最後に握手して「3日のリサイタルも楽しみにしています」といったときに見せた笑顔は、忘れがたい印象を残した。そして握手のガシッと力強いこと。やっぱり「ハンサムウーマン」だ。
 今日の写真は、インタビュー後の1枚。いつも黒を着ているけど、ホント、黒髪によく似合うよね。


 
タグ:"Yoshiko Ikuma"
posted by 伊熊よし子 at 21:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | アーティスト・クローズアップ
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