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近藤嘉宏

 ピアニストの近藤嘉宏が、デビュー30周年を迎える。
 これを記念して、10月2日に浜離宮朝日ホールでアンナ・ドゥチマル=ムローズ指揮アマデウス室内オーケストラとの共演で、ショパンのピアノ協奏曲2曲を演奏する。
 その話を聞きに、音楽事務所まで出かけた。
 近藤嘉宏にはデビュー当初から話を聞き、もちろん演奏も聴いてきた。デビューCDは、ライナーノーツも担当した。ああ、あれから30年が経ったのだと感慨深い。
 会って話すと、いつも最初に会ったときとまったく変わらない。常に雄弁である。
 今回も、ショパンのコンチェルト2曲を弦楽オーケストラとの共演で演奏することに対し、ことばを尽くしてその魅力を語り、ポーランドのポズナンに設立されたこの室内オーケストラとの共演を非常に楽しみにしていると熱く語った。
 さらにピアノは、彼がこよなく愛すベヒシュタインを使用するそうで、その音色の魅力も「話し出したら止まらない」というほど、この楽器に惚れ込んでいる様子が伝わってきた。
 最近は楽譜の校訂(奏法に関して)も行っていて、春秋社の「新版リスト作品集」では楽曲と演奏からひも解くリストとベヒシュタインとのかかわりに関して執筆したそうだ。
 その話のなかで驚いたのは、原稿はすべてスマホで書き、電車のなかでもひたすら書いていたそうだ。
 彼はひとつのことに集中すると、周りの人や音などがまったく気にならなくなるという。
 これと同じようなことをいっていたのはアシュケナージである。やはり音楽家は集中力が違うのだろうか。
 このインタビューは、次号の「音楽の友」に書く予定になっている。
 今日の写真は、インタビュー後のワンショット。

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posted by 伊熊よし子 at 16:35 | 日々つづれ織り

スイス・ロマンド管弦楽団

 7月9日、サントリーホールでジョナサン・ノット指揮スイス・ロマンド管弦楽団のコンサートが行われた。
 プログラムは、ミカエル・ジャレル(1958〜)のドビュッシーによる3つのエチュード」からスタート。スイス・ロマンド管の色彩感豊かな音色がホール全体に広がっていく。
 私がスイス・ロマンド管の取材をしたのは、もうかなり前のこと。アルミン・ジョルダンが首席指揮者を務めていた時代である。彼はインタビューのなかで、「いま息子が指揮者としていい仕事をしていて、近い将来、重要なポストに就くと思うよ」と話していたのを思い出す。
 フィリップ・ジョルダンが来日したとき、その話を伝えると、「えーっ、本当。父がそんなことをいっていたの」と驚き、すぐににこやかな笑顔を見せた。
 そんなことを思い出しながら聴いていると、ソリストのHIMARIが登場。シベリウスのヴァイオリン協奏曲の演奏か始まった。彼女の類まれなる集中力と作品のなかに一途に入り込んでいく姿勢が、ホールを埋め尽くした聴衆全員をくぎ付けにし、一瞬たりとも目と耳が離せない。
 この引力の強さはいったい何だろうか。私はヴェンゲーロフの初来日のときの衝撃を思い出していた。
 オーケストラとの一体感も特別で、才能の豊かさを感じさせる。
 後半はこのオーケストラが得意とするストラヴィンスキー「春の祭典」でオケの底力が爆発。ジョナサン・ノットの指揮はスイス・ロマンド管の特質を存分に際立たせるもので、各々の楽器から雄弁な歌を引き出すことに成功していた。
 アンコールは、HIMARIがイザイの「無伴奏ソナタ」第6番、オケはラヴェルの「マ・メール・ロワ」より「妖精の園」。
 もうひとつ思い出したことがある。以前の取材時に、オケの担当者がアンセルメのものすごく大きなポスターをプレゼントしてくれた。だが、入れる筒などはないため、くるくると丸めて渡してくれたのだが、これを飛行機のなかで傷つけないようにもって帰るのが大変だった。いまは仕事部屋にケースに入れて、飾ってある。これを見るたびに、オケの本拠地ヴィクトリアホールの壁面を飾っているアンセルメの大きな肖像画を思い出す。
posted by 伊熊よし子 at 22:52 | クラシックを愛す

ダヴィッド・フレイ

 14年前の2011年、フランスのユニークな個性の持ち主、ダヴィッド・フレイが来日した。
 その彼が、今年の10月30日に浜離宮朝日ホールで日本初のリサイタルを開く。
 プログラムがフレイらしくとてもこだわりの冒険心あふれるもので、得意とするバッハを主軸にヘンデル、スカルラッティ、ロワイエ、クープラン、ラモーが前半、後半はワーグナーの編曲版がメインとなる。
 こんなプログラムを組むのは、フレイしかいないだろう。
 さらに11月1日には、すみだトリフォニーホールでバッハ「ゴルトベルク変奏曲」を演奏する。
 その両方のホールから原稿依頼が届いた。以前の来日時に演奏を聴きに行き、フレイにインタビューをしているからだ。
 写真を見ると、おだやかな表情をした美形だったが、実際に会ったら実にユニーク。話がとてもおもしろく、個性的な演奏はさもありなんと思った次第だ。
 このときの様子はブログの2011年11月27日に書いているので、興味のある方は、ぜひ読んでくださいな。
 久し振りの来日も本当に楽しみ。両方のプロをじっくり聴きたいし、可能ならまたインタビューをしたい。
 14年かあ、どんな演奏に変貌を遂げているか、興味津々である。
posted by 伊熊よし子 at 22:36 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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