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クラウス・マケラ指揮パリ管

 最近は、シンフォニーのコンサートでスタンディングオベーションが起きるというのは、稀である。
 昨夜のクラウス・マケラ指揮パリ管弦楽団のコンサート(サントリーホール)では、後半のベルリオーズ「幻想交響曲」の最後の音が鳴り終わるやいなや、1階の客席に座っていた人たちが「ウワーっ」と叫んで一斉に立ち上がった。まさに壮観だ。
 私は2階席の前に座っていたのだが、1階の聴衆は徐々に立ち上がるのではなく、ド〜っと一気に全員が立ち上がったのである。前半はサン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付」が演奏されたが、このときも拍手が鳴りやまなかった。
 マケラは何度もステージに呼び戻され、アンコールにラヴェル「クープランの墓」より「リゴードン」、そして最後にビゼーの「カルメン」より序曲を演奏し、聴衆の熱気は最高潮に達した。
 いずれの演奏もパリ管との絆の強さを示す演奏で、とりわけ管楽器群のすばらしさが際立っていた。
 フランスは管楽器の演奏が抜きんでており、楽器の製造も盛んだが、パリ管も管楽器のメンバーが充実している。マケラはそれを意識してプログラムを組んでいるのだろうか。
 華があり、勢いがあり、スター性もあるマケラだが、以前オンラインインタビューしたときには、当意即妙。けっして自分が目立つことはせず、作品に寄り添うことをモットーとし、オーケストラのもてる最大限のものを引き出そうとしているようだったが、それでもすべての人の目を指揮姿に引き付けてしまう。
 この日は、熱い拍手だけではなく、ジャン、ジャンとみんなが手をそろえてたたく拍手も起き、マケラもオーケストラも笑顔でステージを去った。

 
 
posted by 伊熊よし子 at 14:43 | クラシックを愛す
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