2025年03月02日
偉大な巨匠たちの遺産
昨年から今年にかけて、偉大な指揮者やピアニストをはじめとする巨匠たちの遺産が次々とリリースされている。
二コラ・アンゲリッシュ、ラルス・フォークト、ネルソン・フレイレのセット物、ニコラウス・アーノンクール、セルジュ・チェリビダッケのブルックナー、そしてマウリツィオ・ポリーニの18歳のときのショパン。
いずれもすばらしい録音を残してくれた人ばかり。
二コラ・アンゲリッシュ、ラルス・フォークト、ネルソン・フレイレはインタビュー時の様子を思い出し、CDを聴き込むほどに涙がこぼれそうになって困る。
アーノンクールは、ウィーン・フィルとのリハーサルの最中、ひとつの音符、ひとつの休符に疑問がわくと、オーケストラを待たせておいてウィーン楽友協会のなかにある資料室で原譜を徹底的に調べ、納得してからステージに戻ったという。ウィーン・フィルの取材のときに、その資料室に入れてもらい、ことばにできないほど感銘を受けたことを覚えている。
チェリビダッケは、ある年の年末にウィーンでナマの演奏を聴くはずだったが、直前に体調不良で出演がキャンセルとなり、がっかりした記憶がある。
ここに登場したポリーニのショパン「12の練習曲集」は、一度聴くとそのみずみずしく躍動感あふれ、若木がぐんぐん空に向かって伸びていくような演奏に心身が震え、毎日聴きたくなるような魅惑的なピアニズム。手放せなくなってしまう愛聴盤の誕生だ。
posted by 伊熊よし子 at 14:40
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