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北村陽

 先日、オンラインインタビューを行い、その記事アップのお知らせをした、北村陽のリサイタルに出かけた。
 12月11日のHAKUJU HALLである。
 親密的なホールゆえ、いずれの作品も非常に音が響きやすく、聴き手の心に自然に届けられる。
 実は、当日のプログラムは、当初発表されていた順番とは異なり、ヤナーチェクとショスタコーヴィチが前半、ベートーヴェンとブラームスが後半という構成に変わっていた。
 開演前にアーティスト本人がマイクをもち、前半と後半の曲順が変わった理由を説明した。
 それによると、少し前にスティーヴン・イッサーリスと話す機会があり、リサイタルのプログラムについて内容を伝えると、「メッセージ性が強いショスタコーヴィチのチェロ・ソナタを前半にもってきた方がいいのではないか」と提案されたそうだ。
 そのことば通り、ヤナーチェクの「おとぎ話」で始まり、ショスタコーヴィチに移るという展開は非常にインパクトが強く、作品の暗さや影の部分、葬送行進曲の作風などが強烈に伝わり、北村陽のみずみずしい才能が全面的に開花していた。
 後半のベートーヴェンとブラームスのチェロ・ソナタでは、現在ベルリンでドイツ作品をじっくり学んでいる成果が現れ、これからいかようにも変化し得る可能性を示唆した。
 今日の写真は、終演後の楽屋でのワンショット。とても素直で純粋で前向きなキャラクター。続けて応援したいと思う若き逸材である。

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posted by 伊熊よし子 at 22:26 | 日々つづれ織り
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