12月1日、東京音楽大学池袋キャンパスの100周年記念ホールに、TCMオーケストラ・アカデミーの演奏を聴きに行った。

　このオーケストラは音大生たちが参加しているもので、第13回定期演奏会の指揮を担当したのは、オランダ出身のユペール・スダーン。プログラムはベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番と、シューマンの交響曲第1番「春」で、ピアノのソリストは先ごろ浜松国際ピアノコンクールで優勝を果たした、鈴木愛美である。

　彼女は現在、東京音楽大学大学院修士課程に特別特待奨学生として在学中。

　若きソリストとオーケストラがみずみずしく躍動感あふれる演奏を展開し、とりわけ鈴木愛美の浜松コンクール優勝直後のベートーヴェンのコンチェルトを聴くことができて印象深かった。

　同コンクールの優勝者と第2位入賞者は、来年のショパン国際ピアノ・コンクールの予備選を免除されることで知られる。

　それゆえ、終演後にその件を聞くと、「ショパン・コンクールは受けません」という答えが戻ってきた。

　そして修士課程が終了したら、ドイツ方面に留学したいと話してくれた。ドイツ音楽をより深く勉強したいのかもしれない。

　まだこれからいかようにも変化し得る、鈴木愛美のピアニズム。優れた才能の持ち主である後輩の今後を見守りたい。

　今日の写真は、楽屋でマエストロと一緒の1枚。