2024年11月26日
アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン
11月23日、三鷹市芸術文化センター・風のホールにアリーナ・イブラギモヴァとセドリック・ティベルギアンのデュオ・リサイタルを聴きに行った。
プログラムは、前半がドビュッシーのヴァイオリン・ソナタとプーランクのヴァイオリン・ソナタ。後半が武満徹の「妖精の距離」とシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番という構成だ。
アリーナとセドリックには何度かインタビューをしているが、ふたりとも本当に人間性と音楽性がぴたりと合うようで、こういうデュオは、まさにステージで音楽が一体化する。
今回も、ドビュッシーは静かに始まり、次第に情熱とエネルギーが増していき、華麗に曲が閉じられた。
プーランクは、私が大好きなスペインの詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカの思い出に捧げられたソナタ。はげしさとほの暗い旋律がメランコリックでノスタルジックな主題と相まって、聴き手の胸の奥に突き刺さるように飛び込んでくる。
こういう作品こそ、ふたりの独壇場である。ヴァイオリンは咆哮し、嗚咽の表情を見せ、ピアノは悲鳴を上げ、血のしたたるような生々しい響きを醸し出す。
後半の武満徹では、光輝な美しさを放つ旋律が両楽器で奏でられ、繊細な表情が心に響く。
最後のシューマンでは、力強い和音といくつもの変奏がていねいに紡がれていき、シューマンの幾重にも変容していく曲想がふたりの息の合ったデュオで存分に披露された。
まさに、ヴァイオリンとピアノのデュオを堪能したひとときとなった。
posted by 伊熊よし子 at 16:28
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