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トン・コープマン

 昨日は、すみだトリフォニーホールに、トン・コープマンのチェンバロ&オルガンリサイタルを聴きに行った。
 トン・コープマンは、私が鍋島元子先生のところでチェンバロを習っていた時期に、一度だけマスタークラスを受けたことがある。フローベルガーとルイ・クープランの作品で教えを受けた。
 あれからもう何年が経つだろうか。
 私はすっかり楽器の演奏とは縁がなくなり、ピアノもチェンバロも人手に渡ってしまった。いまは、キーボードをたたくのは、パソコンのみという、とても寂しい状況である(笑)。
  今回のトン・コープマンのプログラムは前半がチェンバロ。J.S.バッハ、Ⅼ.クープラン、デュフリ、フォルクレ、ヘンデルという構成。後半がオルガンで、作曲者不詳の「バッターリア」から開始し、ブルーナ、ブクステフーデ、J.S.バッハという選曲である。
 チェンバロは、鈴木雅明氏所有のヴィレム・クルスベルヘン作フレミッシュ(ユトレヒト、1982年)で、リュッカースの楽器をモデルに製作された2段鍵盤(8フィート×2と4フィート)。
  ホールのオルガンは、ドレスデンのイェームリッヒ社製。3段手鍵盤と足鍵盤、4735本のパイプを擁するドイツ・バロック様式。
 チェンバロの方はホールが広いため音楽に集中し、1音たりとも逃すまいと集中して聴くことになった。コープマンは鍵盤の選定、タッチ、アーティキュレーション、リズム、フレーズ、装飾音にいたるまで、実にこまやかに神経を張り巡らし、流れる水のような清らかで流麗、しかもクリアな音色を紡ぎ出した。
 オルガンの方は、打って変わってホール全体に荘厳で情熱的で迫力に富む音色が響き渡る。
 こうしてひとつのリサイタルで、ふたつの楽器の演奏を聴くことができるのは、至福の歓びである。
 アンコールも3曲登場。バッハ、スカルラッティ、ブクステフーデの作品が個性豊かに奏された。
 この公演評は、「公明新聞」に書く予定である。
 今日の写真は、美しい姿を見せているチェンバロ。一度でいいから、こんなすばらしい楽器、弾いてみたいなあ。

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posted by 伊熊よし子 at 22:22 | クラシックを愛す
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