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アレクサンダー・コブリン

 今日は、浜離宮朝日ホールにアレクサンダー・コブリンのピアノ・リサイタルを聴きに行った。
 プログラムはラフマニノフの練習曲集「音の絵」とチャイコフスキーの「四季」。
 以前、公演に先駆けてのオンラインインタビューを行い、その記事をブログにアップしたが、彼は今回ロシアプログラムを組むのに、とても迷ったという。
 というのは、いまヨーロッパやアメリカでは、戦争が行われているためロシア作品を弾くことを敬遠する聴衆が多いからだという。ただし、日本では、作品のすばらしさを評価してくれるため、今回の選曲に踏み切ったと話してくれた。
 コプリンの演奏は、以前から感じていることだが、完全なロシア・ピアニズムの継承者としての奏法と解釈の上に成り立っている。
 ラフマニノフは、情熱的でダイナミックでヴィルトゥオーゾ的。チャイコフスキーは、旋律の美しさを前面に押し出し、情感あふれる歌心に満ちたピアニズム。
 ピアノに向かう姿勢も美しく、上半身は微動だにせず、肩から腕、指先にいたるまで完璧なるコントロールがなされている。ペダリングもごく自然体。深く踏み込むときも、余分な動きや音はいっさいせず、静かでナチュラル。
 こういうピアノを聴くと、ロシア・ピアニズムの伝統が確実に受け継がれていることに感動すら覚える。
 コブリンはヴァン・クライバーン・コンクール優勝後はニューヨークに居を移し、活発な活動を展開している。
 ただし、アメリカ的なエンターテイナーのような演奏とは一線を画し、あくまでもロシア的な奏法を守り抜いている。
 その一途な姿勢がたのもしい。
posted by 伊熊よし子 at 23:09 | クラシックを愛す
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