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音楽プロデューサー協会

 今日は、14時から東京文化会館の会議室で行われた「音楽プロデューサー協会」の例会にゲストスピーカーとして招かれ、クラシック界の現状や仕事上の懸案事項、国際コンクールやコンサートに関して、インタビューをする上での自分自身の対応、今後の仕事の方向性などについて講義を行った。
 参加者は会員15名ほど。途中から質疑応答のような形を取り、現在のクラシック界を取り巻く環境やさまざまな事柄についてみんなが意見を出し合い、結局2時間半にわたる長い時間を共有することになった。
 しかし、かなり先輩の方から、私の仕事に対する姿勢にきびしい意見も出され、ひたすら拝聴する形となった。
 以前から知っている人も何人かいて、こちらは久しぶりに会った歓びを分かち合ったり、「また会いたい」「今度、ゆっくり話をしようね」といわれたり、うれしい再会となった。
 こういう講義はぶっつけ本番ゆえ、どういう反応が戻ってくるのか予測がつかなかったが、大先輩たちからは非常にシビアな意見が出され、クラシック界の現状のきびしさを思い知らされた。
 やはり2時間半以上いろんな意見を聞いていると、クラシック界の今後は本当にきびしいものがあると痛感。いまや活字文化は低迷し、雑誌も新聞も読む人が少なく、みんなネットで記事を読み、音楽を聴き、それで済まされてしまう。
 いったい今後の音楽界はどうなるのだろうか。さまざまなことを考えさせられた日となった。
posted by 伊熊よし子 at 22:34 | 日々つづれ織り

北村陽

 若きチェリスト、北村陽(20歳)がパブロ・カザルス国際賞でドイツ出身のアンネ・ツェラーとともに第1位を獲得した。
 このニュースは、11月16日の深夜(日本時間)に伝わってきた。
 早速、インタビューを行いたいと思い、帰国を待っていたが、ようやく25日にオンラインインタビューが可能になった。
 彼は、1年前からベルリン芸術大学でイェンス=ペーター・マインツに師事している。今回は、各地でコンサートが行われ、12月11日にはHakujuホールでリサイタルが予定されている。
 まず、カザルス国際賞のことに関していろんなことを話してくれ、そこからリサイタルのプログラムについて、現在のベルリンでの勉強や生活について、子どものころからのチェロとのかかわりについて、そしていまの混沌とした時代に音楽で平和を訴えたいことなど、多岐にわたる面に話が広がった。
 北村陽には、まだ10代前半のころにマネジメント会社の新年会で初めて会ったが、「もう20歳!」とビックリ。自分の考えをしっかりもち、一生懸命ことばを尽くして話してくれるひたむきな姿勢と、音楽に懸ける一途な精神が実にさわやかで好感がもて、これからも応援したい気持ちが募った。
 このインタビューは「ぴあ」のサイトに掲載される予定である。


posted by 伊熊よし子 at 22:26 | 情報・特急便

アリーナ・イブラギモヴァ&セドリック・ティベルギアン

 11月23日、三鷹市芸術文化センター・風のホールにアリーナ・イブラギモヴァとセドリック・ティベルギアンのデュオ・リサイタルを聴きに行った。
 プログラムは、前半がドビュッシーのヴァイオリン・ソナタとプーランクのヴァイオリン・ソナタ。後半が武満徹の「妖精の距離」とシューマンのヴァイオリン・ソナタ第2番という構成だ。
 アリーナとセドリックには何度かインタビューをしているが、ふたりとも本当に人間性と音楽性がぴたりと合うようで、こういうデュオは、まさにステージで音楽が一体化する。
 今回も、ドビュッシーは静かに始まり、次第に情熱とエネルギーが増していき、華麗に曲が閉じられた。
 プーランクは、私が大好きなスペインの詩人、フェデリコ・ガルシア・ロルカの思い出に捧げられたソナタ。はげしさとほの暗い旋律がメランコリックでノスタルジックな主題と相まって、聴き手の胸の奥に突き刺さるように飛び込んでくる。
 こういう作品こそ、ふたりの独壇場である。ヴァイオリンは咆哮し、嗚咽の表情を見せ、ピアノは悲鳴を上げ、血のしたたるような生々しい響きを醸し出す。
 後半の武満徹では、光輝な美しさを放つ旋律が両楽器で奏でられ、繊細な表情が心に響く。
 最後のシューマンでは、力強い和音といくつもの変奏がていねいに紡がれていき、シューマンの幾重にも変容していく曲想がふたりの息の合ったデュオで存分に披露された。
 まさに、ヴァイオリンとピアノのデュオを堪能したひとときとなった。
posted by 伊熊よし子 at 16:28 | 日々つづれ織り
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