2024年10月29日
名倉誠人
昨夜、東京文化会館小ホールに「名倉誠人 60マリンバ・リサイタルV」を聴きに行った。
このリサイタルは「Aspirations:夢を追い続ける者」と題され、バッハの無伴奏作品の編曲版からスタート。フィリップ・ラサー、デイヴィッド・コンティのマリンバとピアノの作品(日本初演)と続き、最後はベンジャミン・C.S.ボイルの「天国への帯 マリンバとバリトンのための歌曲集」(世界初演)という構成である。
以前、名倉さんにインタビューしたとき、彼は「マリンバはオリジナル作品が少ないため、いろんな作品の編曲版を演奏したり、現代の作曲家への委嘱を積極的に行っている」と語っていた。
この日はプレトークもあり、名倉さんと作曲家のボイル氏が対談を行い、作品についてさまざまなことを語った。
いつも演奏を聴いて思うことだが、名倉誠人のマリンバは1台でオーケストラのような多様性と多彩な音色に富み、響きがとても美しく、聴き手の心の内奥にスーッと浸透してくる。
昨夜の演奏も、バッハから現代作品までそれぞれバチを変え、ピアノやバリトンとの共演にも合う奏法と表現力で一瞬たりとも弛緩しない緊迫感と、また野性的で人間の本能に訴えかける音を披露し、聴き手の心を虜にした。
アンコールの最後に演奏された、プーランク「アッシジの聖フランチェスコの4つの小さな祈り」の編曲版がすばらしく心に響き、短い曲ながら音色がとても色彩感豊かだったため、私の脳裏には以前訪れたアッシジが蘇ってきた。
今日の写真は、終演後の名倉誠人。赤のベストがステージに映えていた。
posted by 伊熊よし子 at 23:57
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