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英国ロイヤル・オペラ

 ヴェルディの「リゴレット」は、すばらしいアリアの数々が全編にちりばめられている印象的なオペラである。
 かなり前のことになるが、アレーナ・ディ・ヴェローナでレオ・ヌッチのリゴレットを聴き、当たり役といわれるそのタイトルロールを役者のような演技力と、広大なアレーナの隅々まで響く歌声で聴かせた歌唱に心を打たれた。
 さて、6月から7月にかけて来日した英国ロイヤル・オペラは、この「リゴレット」とプッチーニの「トゥーランドット」というプログラム。6月28日(NHKホール)は「リゴレット」。アントニオ・パッパーノの指揮、ハヴィエル・カマレナのマントヴァ公爵、エティエンヌ・デュピュイのリゴレット、ネイディーン・シエラのジルダという、いまロイヤル・オペラが誇る布陣である。
 三者三葉の個性と実力を発揮し、パッパーノがロイヤル・オペラハウス管弦楽団、合唱団とともに歌手を盛り立て、オープニングからフィナーレまで一瞬たりとも弛緩せず、緊迫感あふれる舞台となった。
 とりわけ上質で説得力のある歌声を披露したのは、ジルダ役のネイディーン・シエラ。美しく凛とした浸透力のある高音が特徴で、アリアも重唱も輝きを放っていた。
 休憩をはさみ3時間近い舞台だったが、帰路に着く間、さまざまなアリアが脳裏に蘇り、口ずさみながら歩いている自分に気づいた。幸せな瞬間である。
  この公演評は、「公明新聞」に書く予定になっている。
posted by 伊熊よし子 at 23:58 | クラシックを愛す
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