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フランソワ=フレデリック・ギィ

 コロナ禍で来日がかなわず、インタビューが決まっていたにもかかわらず延期になっていたアーティストがいる。
 フランスのピアニスト、フランソワ=フレデリック・ギィもそのひとり。
 ようやく来日がかない、インタビューで話を聞くことができた。
 ギィはベートーヴェンのピアノ・ソナタで世界的に知られ、日本でも披露しているが、ソナタ全曲演奏は世界各地で10階行っているという。
 今回はそのベートーヴェンへの深い思いとともに、ドビュッシーとミュライユのアルバム、そしてショパンのアルバムについてさまざまなことを語ってもらった。
 とりわけ現代の作曲家との交流が深く、同時代の作品に積極的に取り組んでいるギィは、トリスタン・ミュライユとの出会い、交流、作品の魅力をことばを尽くして語った。
 そしてショパンの作品に関してはずっと録音の機会がなかったが、コロナ禍で楽譜をじっくり読み込み、ショパンの内面と対峙することができたため、2枚組のアルバムを完成させたという((キングインターナショナル)。
 このインタビューは、「音楽の友」に書く予定になっている。
 ギィは、会った途端にすごく親しげな笑顔を向けてくれ、インタビュー中もずっと楽しそうに話してくれた。時間が許すなら、もっともっと話したいという感じだった。
 今日の写真は、その親密的でキュートな笑顔のギィ。ヘアスタイルがとてもいい感じで、編集のKさんとカメラマンの3人で、「かわいい、かわいい」(失礼)といってしまった。
 演奏はシリアスで凛としているのに、素顔はとてもフランクで、何度でも会いたいと思わせる人である。

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posted by 伊熊よし子 at 23:19 | クラシックを愛す

九十九里浜の小ぶりなはまぐり

 いまは、九十九里浜の小ぶりなはまぐりが旬を迎えている。
 先日、吉祥寺の東急百貨店の地下にあるフードショーの貝専門店で見つけ、最初はお店の人に勧められるまま、パスタにしてみた。いつもボンゴレビアンコはあさりを使うのだが、今回ははまぐりで作ってみたら、これが絶品。
 にんにく、鷹の爪、オリーブオイル、白ワインというシンプルな材料で作ったのだが、はまぐりの新鮮さとおいしさで、これまで食べたボンゴレビアンコのなかで最高の味わいとなった。

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 これに味を占め、また買いに行ったら、お店の男性が「鍋もいいよ」といってくれたため、今度ははまぐり鍋にしてみた。
 新ごぼう、せり、長ねぎ、油揚げ、ぶなしめじなどを入れ、最後ははまぐりのだしが存分に出ているだし汁にごはんと卵をいれて、ぞうすいにした。これが卒倒するほどのおいしさ(ちょっとオーバーかな)。一緒に飲んだ獺祭の合うこと。

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 でも、これでますますやめられなくなり、3度めの正直でまた顔を出し、お店の気のいいおじさんに「また来ちゃった」というと、「いいねえ、毎日でも来て」と笑いながらいわれてしまった。
 そして、いよいよ登場しました。はまぐりのチャウダー。ふだんは、あさりや牡蠣で作っている私の得意料理のひとつ、チャウダー。今回ははまぐりでさらにグレードアップ。まあ、おいしいこと、自画自賛ですな(笑)。
 この時期の小ぶりなはまぐりは、本当に最高。みんなにふるまいたくなっちゃった。

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posted by 伊熊よし子 at 21:30 | 美味なるダイアリー

ルドルフ・ブッフビンダー

 5月25日、大阪のいずみホールにルドルフ・ブッフビンダーのリサイタルを聴きに行った。
 以前、このホールでブッフビンダーが室内楽のプロジェクトを行ったときにプログラム原稿を担当し、そのときに演奏を聴きに行く予定だったが、あいにく台風の時期で新幹線が止まってしまい、行かれなかったことがある。
 それ以来、いずみホールにはなんとか行きたいと考えていたが、今回もプログラム原稿を担当したため、ホールのSさんから「ぜひ、聴きにいらしてください」と誘われ、ようやく足を運ぶことができた。
 ブッフビンダーの今回の選曲は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第30番、第31番、第32番という後期の3大ソナタである。
 先日、「東京・春・音楽祭」で初期のソナタを聴いてそのみずみずしく内省的な美しい演奏に心がとらわれたばかりだが、今回の後期の3大ソナタは、まさに別世界へといざなわれたような思いを抱いた。
 ブッフビンダーのベートーヴェンは、ひとつひとつの音に研究心と分析力と探求心が宿っているものだが、けっして堅苦しくなく、全体を俯瞰する大きな目が印象的である。
 聴き込むほどに胸の奥にベートーヴェンの世界が広がり、感動の泉に満たされていく。
 なんという至福のひとときであろうか。
 とりわけ弱音の美しさが際立ち、第32番の第1楽章では、あまりにも高潔で上質な演奏に、涙がこぼれそうになった。
 いずみホールはその広さといい、内装の美しさといい、響きのやわらかさといい、とても印象的なホールである。京都の仕事部屋からは行きやすいが、もっと近かったら通いたいくらいだ。
 私の脳裏には、ウィーン楽友協会のブラームス・ザールが浮かんできた。
 今日の写真は、いずみホールの外観。前面が広場になっていて、ところどころに置かれている椅子でみんながくつろいでいた。
 いいねえ、こういう雰囲気。

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posted by 伊熊よし子 at 23:50 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
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