2024年03月27日
マウリツィオ・ポリーニ
マウリツィオ・ポリーニが3月23日にミラノで亡くなった。享年82。
思えば、1974年の初来日以来、長年にわたって彼の演奏を聴き続けてきた。
訃報の後、いくつかの雑誌から記事の依頼が入り、これからその原稿を書くことになる。
私がレコード会社に勤めていた時代には、ポリーニの来日時に間近で接する機会が何度もあったが、最初はミケランジェロの彫像のように美しく整った顔に見とれてしまったほどだ。
ステージのピアノの位置を数センチ刻みで動かして音の響きの調整をしたり、ホールの鳴り具合を丹念に調べたりと、とても神経質な感じがしたが、そのひたむきに音楽に没頭していく姿勢にも、深く魅了された。
そして演奏が始まると、聴き手は完璧なるピアニズムに身も心も奪われ、最後まで奏者とともに呼吸をしているような感覚にとらわれたものだ。
最近、偉大な音楽家の訃報が相次いでいる。とても残念で胸の奥が痛いほどだが、彼らはすばらしい記憶を残してくれた。そして録音という記録も残してくれた。
さて、ポリーニの原稿には私の想い出を思いっきり綴りたいと思う。
posted by 伊熊よし子 at 22:53
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