ブログ

マウリツィオ・ポリーニ

 マウリツィオ・ポリーニが3月23日にミラノで亡くなった。享年82。
 思えば、1974年の初来日以来、長年にわたって彼の演奏を聴き続けてきた。
 訃報の後、いくつかの雑誌から記事の依頼が入り、これからその原稿を書くことになる。
 私がレコード会社に勤めていた時代には、ポリーニの来日時に間近で接する機会が何度もあったが、最初はミケランジェロの彫像のように美しく整った顔に見とれてしまったほどだ。
 ステージのピアノの位置を数センチ刻みで動かして音の響きの調整をしたり、ホールの鳴り具合を丹念に調べたりと、とても神経質な感じがしたが、そのひたむきに音楽に没頭していく姿勢にも、深く魅了された。
 そして演奏が始まると、聴き手は完璧なるピアニズムに身も心も奪われ、最後まで奏者とともに呼吸をしているような感覚にとらわれたものだ。
 最近、偉大な音楽家の訃報が相次いでいる。とても残念で胸の奥が痛いほどだが、彼らはすばらしい記憶を残してくれた。そして録音という記録も残してくれた。
 さて、ポリーニの原稿には私の想い出を思いっきり綴りたいと思う。
posted by 伊熊よし子 at 22:53 | マイ・フェイバリット・ピアニスト

ハイブコーヒー

 京都の仕事部屋の近くに、Hive Coffee(ハイブコーヒー ミツバチの巣)という名のカフェがある。
 地下鉄の今出川駅から徒歩2分の立地で、ひっきりなしにお客さまが訪れるお店である。
 このお店の特徴は、7時から16時までモーニングプレートが供されること。
 私も、いつもこのメニューを頼む。トーストが厚切りで、結構おなかがいっぱいになる。
 4人用のテーブル席と、あとは気軽なカウンター席なので、おひとりさまの利用客が多いようだ。
 今出川は駅のごく近くに広いスペースのコメダができ、連日超満員。少し前まで駅周辺は閉店のお店などもあり、暗い感じだったのが、一気に明るくにぎやかな雰囲気になった。
 いまはウィークデイでも、京都はどこも混んでいて、カフェやレストランも予約なしでは入れないところが多い。
 その点、仕事部屋の近くにこういうカフェがあると、ふらりと寄ることができて便利だ。
 今日の写真は、ハイブコーヒーの外観とモーニングプレート。これにおいしいコーヒーが付く。

 Y4786.JPG

 Y4785.JPG




posted by 伊熊よし子 at 16:56 | ゆったりまったり京都ぐらし

ルドルフ・ブッフビンダー

 先日、インタビュー記事でも紹介したが、ルドルフ・ブッフビンダーが「塔居・春・音楽祭」でベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲演奏会を行っている。
 昨夜はその初日で、ソナタ第1番で幕開け。次いで前半は第10番、第13番が演奏され、後半は第4番、最後に第14番「月光」が登場した(東京文化会館小ホール)。
 ブッフビンダーのベートーヴェンは、いつも原稿に書いているが、ひとつひとつの音をとことん研究・分析し、楽譜もいくつもの版を比べて細部まで極めていく。
 ふだんあまり耳にすることのないソナタも、ブッフビンダーの手にかかると、ベートーヴェンの真意が浮かび上がり、聴き手を作品の内奥へと自然にいざなっていく。
 いずれの作品も格調高く、エレガンスにあふれ、各曲に込めたベートーヴェンの深い想いが伝わってくる。
 とりわけ印象的だったのは、最後の「月光」ソナタ。冒頭から適切なテンポ、淡々とした表現、詩的で清らかで情感豊かな響きが心に響き、「本物の美しさ」に触れる思い。
 この全曲演奏は15日から22日まで組まれている。本当は全曲聴きたいけど、残念ながらそれはかなわない。
 1日聴いただけで、ブッフビンダーの偉大さがわかる。もしもチャンスのある人は、1日でもいいから聴いてみて!。

posted by 伊熊よし子 at 16:23 | マイ・フェイバリット・ピアニスト
CATEGORIES
ARCHIVES
LINKS
PROFILE
検索ボックス