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ティボー・ガルシア

 来日のたびに印象深い演奏を聴かせてくれるスペイン系フランスのギタリスト、ティボー・ガルシアが、「エル・ボエミオ(バリオス:ギター作品集)」をリリースした(ワーナー)。
 私の大好きなバリオスの音楽がたっぷり収録されている。
 6月21日のHakijuホールでのリサイタルでも、このアルバムに収録された作品を多数披露し、心に響くギターに深い感動を覚えた。
 今回のリサイタルは、ベートーヴェンの「月光」ソナタのバリオス編曲版からスタート。ふだん聴き慣れている「月光」が、まったく異なった景色を描き出し、バリオスの力量に感服したものだが、それが映像となって登場した(ワーナー提供)。
  ぜひ、じっくりガルシアの妙技に触れてほしい。



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posted by 伊熊よし子 at 21:04 | 親しき友との語らい

林喜代種さん

 音楽写真家の林喜代種さんが、9月7日に脳卒中で亡くなった。享年80。
 ついこの間まで一緒に仕事をしていたのに、突然の訃報にショックは隠せない。
 もう長年に渡って仕事の仲間という感じだったため、信じられない思いである。
 もうだいぶ前のことになるが、ジュネーヴにふたりで出張した。このときはスイス・ロマンド管弦楽団の取材や、さまざまな仕事が重なっていたが、ひとつスイスの楽譜を日本で発行する契約の仕事が含まれていた。
 その楽譜出版社の若い社長に会うことになり、彼が私のためにすばらしい景観のレストランでランチを用意してくれた。
 林さんに、「今日は社長さんに会うために、ランチに行ってくる」というと、「フーン、いいなあ」と、うらやましそうな表情をしていた。
 そして戻るなり、「社長さん、どうだった?」と聞くので、「すごくカッコいい人だった。趣味はアルプスのスキーと、スカイダイビングとヨットと馬術だって」というと、「ケーっ、なんだそれ。負けたあ。オレ、そのひとつもないよ」というので、大笑いになった。
 いまとなっては、なつかしい思い出である。
 林さんは、いつもにこやかで正直で自然体の人だった。音楽が大好きで、舞台写真も好きで、インタビューではアーティストのいい面を写し出そうとじっくり時間をかけて撮影した。
 いまはまだいなくなったことが信じられないため、いい思い出だけを反芻している。
 謹んでご冥福をお祈りいたします。

posted by 伊熊よし子 at 23:19 | クラシックを愛す

諏訪内晶子&エフゲニ・ボジャノフ

 9月17日、18日と、徳島に出張した
 諏訪内晶子&エフゲニ・ボジャノフのデュオ・リサイタル(あわぎんホール)のプレトークの講師を依頼されたからである。
 前日の夜に徳島に入り、18日の15時開演のリサイタル前、13時30分から14時30分の1時間の講座である。
 当日はかなり大勢の人が講座を聞きにきてくれ、演奏曲目のブラームスのヴァイオリン・ソナタ第1番から第3番の曲目に関して、デビュー以前からおつきあいのある諏訪内さんの人生と音楽の変遷、ショパン・コンクールを現地で聴いたボジャノフのことなど、多岐に渡る話題を取り上げた。
 その後、ブラームスのソナタを3曲聴き、終演後には楽屋でおふたりと会い、夜の便で東京に戻った。
 徳島は初めて訪れたが、空港の名前が「阿波踊り空港」というのには「なるほど」と思ってしまった。到着ロビーには大きなスクリーンがあり、阿波踊りが映し出されていて、訪れる人を明るく出迎えてくれた。
 諏訪内晶子とエフゲニ・ボジャノフのブラームスは、何度もリハーサルを繰り返しているだけあって、細部まで息がピッタリ。
 彼女の楽器は新たな出会いとなった、1732年製グァルネリ・デル・ジェズ「チャールズ・リード」。この深々と厚みのある音がブラームスにとてもよく合い、それを伝えると、諏訪内さんも「そうなのよ。いま、とってもいい状態なの」と、にこやかに語っていた。
 今日の写真は、あわぎんホールの外観と終演後のワンショット。このチャールズ・リード、ぜひナマで聴いてみてください。

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posted by 伊熊よし子 at 22:27 | 麗しき旅の記憶
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