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ベフゾド・アブドゥライモフ

 来日アーティストが増え、連日さまざまなコンサートが行われている。
 昨日はトッパンホールにベフゾド・アブドゥライモフのピアノを聴きに行った。
 アブドゥライモフは、1990年ウズベキスタンのタシケント生まれ。2009年にロンドン国際ピアノコンクールで優勝し、欧米で幅広く過活動を展開している。
 今回のリサイタルはトッパンホールに初登場、東京でのリサイタルも初めてとなる。
 プログラムは前半がフランク(バウアー編)のフーガと変奏曲作品18、ウズベキスタンの作曲家ディロロム・サイダミノヴァの古代ブハラの壁、ラヴェルの夜のガスパール。後半がラフマニノフの13の前奏曲より第5番、10の前奏曲より第5番、プロコフィエフのロメオとジュリエットからの10の小品。
 アブドゥライモフのピアノの特質は、深い打鍵に支えられた強靭なタッチ。だが、その奥にえもいわれぬ叙情的な美音が潜む。今回はトッパンホールの会場の広さに合わせ、かなり音量を抑制し、繊細さと弱音を駆使している箇所が見られた。
 おそらく大ホールで演奏するときは、思いっきり自身のもてる最大限の音の響きを発揮するのだろう。
 さまざまな作品を聴いたが、やはり最後のプロコフィエフがもっとも手の内に入った雄弁な音楽で、いずれの曲からも内容的な描写が絵画のように表現され、大きな絵巻物を見る思いに駆られた。
 今年33歳。これからいかようにも伸びていく、将来性を感じさせるアブドゥライモフ。次回はコンチェルトを聴いてみたい。

posted by 伊熊よし子 at 15:10 | 日々つづれ織り
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