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東京文化会館小ホール

 東京文化会館小ホールは、すばらしい響きのホールである。
 親密的な空間で聴く演奏は、ひとつひとつの音が非常にクリアに聴こえ、ピアノはダイレクトに届き、弦楽器はやわらかな響きとなり、声楽は歌詞の発音が明瞭で、息遣いまで聴こえる。
 最近では、5月27日に「深沢亮子デビュー70周年記念 ピアノリサイタル2023」が行われ、ヴァイオリンの瀬川祥子、ヴィオラの安達真理、チェロの笹沼樹、コントラバスの大槻健とともにフンメルのピアノ五重奏曲変ホ長調作品87、シューベルトのピアノ五重奏曲イ長調「鱒」が演奏された。
 深沢亮子には何度かインタビューを行い、この公演に関しても話を聞き、それを記事にしているが、フンメルの作品はあまり演奏される機会がなく、とても貴重な体験となった。
 深沢亮子のピアノは成熟とか、円熟ということばでは表現しきれない奥深く洞察力に富む演奏で、ウィーン時代から演奏し続けているこれらの作品への愛情が詰まっていた。
 昨日は、「プロコフィエフ没後70年、滝千春が弾く新しい物語〜沼沢淑音と共に〜」と題し、ヴァイオリンの滝千春が子どものころから敬愛するプロコフィエフのデビューCDをリリースした記念コンサートが行われた。
 前半はカンチェリ、プロコフィエフ、シュニトケ、サイという重量級のプログラム。後半はR.シュトラウスのヴァイオリン・ソナタという構成だ。
 ファジル・サイの「内部奏法」のためにピアノを持ち込むというこだわりの姿勢を見せ、滝千春はCDもプログラムも解説を自身で綴っている。
 このホールはいずれの席も響きがよく、演奏家を間近に感じられるメリットもあり、上野駅すぐの前というアクセスもいい。
 また近々、コンサートに行きたいと思う。
posted by 伊熊よし子 at 18:39 | クラシックを愛す
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